グローバルサウスにおける通貨多極化の加速と非米ドル決済網の進展:マクロ経済分析
起点:BRICSによる非米ドル決済網構築への動きと通貨多極化の議論
2026年3月13日、BRICSサミットが開催され、「世界通貨リセット」や共通通貨に関する議論が行われたと報じられています。BRICS同盟は2026年にさらなる拡大を予定しており、これにより世界のGDPの35%以上、世界人口の45%を代表する巨大な経済ブロックを形成し、世界的な脱ドル化の取り組みを加速させています。BRICSの主要な目的は、国境を越えた貿易と金融決済における米ドルへの依存を減らすことであり、この動きは国際金融システムにおける通貨の多極化への明確な挑戦として位置づけられます。統一されたBRICS通貨に関する議論は継続中であるものの、当面の焦点は決済チャネルの多様化とメンバー間の通貨主権の強化に置かれています。
非米ドル決済網の具体的な進展:CBDCと現地通貨決済
非米ドル決済網構築に向けた具体的な進展として、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発状況が注目されます。特に中国のデジタル人民元(e-CNY)は、2026年1月に世界初となる利息付与制度を開始し、CBDCの新たな段階に突入しました。デジタル人民元の開発背景には、国内の資金の流れを把握する目的のほか、人民元の国際化や米ドル基軸通貨体制への対抗という戦略的な狙いがあるとされています。2025年11月末時点で、デジタル人民元の取引件数は累計約34億8000万件、取引金額は累計約16兆7000億元(約2.37兆ドル)に達しています。また、BRICS諸国間では現地通貨による貿易決済が加速しており、特にロシアと中国間の貿易では、ルーブルと元を使用した決済が大幅に増加しています。これは米ドルへの依存を減らし、ブロック内の経済的結びつきを強化する目的であるとされています。
通貨多極化の動向と国際金融システムへの影響
グローバルサウス諸国における非米ドル決済網の構築は、国際金融システムにおける通貨の多極化に寄与しています。BRICSの拡大は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、中東全体の新興市場の経済的重みをさらに強化し、貿易と金融交渉におけるグローバルサウスの交渉力を強化しています。一方で、地政学的リスクも通貨多極化の動きに影響を与えています。2024年11月30日、当時のトランプ次期米大統領候補は、BRICS諸国が脱ドル化を進める場合、これらの国に対して100%の関税を課す意向を示したと報じられました。この発言は、BRICS諸国の存在が国際社会で大きくなっていることを示唆し、反米の基軸となる芽を摘む思惑があると考えられます。デロイトトーマツのレポートは、世界が多極化に向かう流れは避けられないだろうと指摘しています。
主要国・地域の対応と今後の展望
グローバルサウスの動きに対し、日本を含む主要国・地域は、CBDCやブロックチェーン技術を活用した国際決済の検討を進めています。日本銀行の植田和男総裁は2026年3月、ブロックチェーン技術を用いた「中央銀行マネー」を海外送金や日銀当座預金の決済に活用することを検討すると表明しました。日銀はBIS(国際決済銀行)主導の共同プロジェクトにおいて、中銀マネーをトークン化預金として発行できる仕組みを検討しており、これが国際送金の業務効率化に革新をもたらす可能性を秘めています。各国・地域は異なるデジタル通貨戦略を持っており、例えば欧州や中国はCBDCに注力し、英国はトークン化預金を優先しています。日本は金融市場の安定維持の観点からCBDCとトークン化預金の併用が理想的と考えるものの、当面は決済様式の多様化に備えて選択肢を絞るべきではないとの姿勢を示しています。通貨多極化の進展は、マクロ経済アナリストにとって、国際金融市場の構造変化、資本フローの動態、そして各国の金融政策に新たな評価軸をもたらす重要なトレンドとして、今後も詳細な分析が求められるでしょう。
Reference / エビデンス
- 3/12:2026年3月13日(金)BRICSサミット!七王国と世界通貨リセット発表?! | s-manabinoyaのブログ 2026年3月13日にBRICSサミットが開催され、「世界通貨リセット」や共通通貨に関する議論が行われたと報じられている。
- BRICS 2026年の拡大:世界のGDPの35%と人口の45%を代表するブロックがドル離れのシフトを推進 | Binance News BRICS同盟は2026年にさらなる拡大を予定しており、世界のGDPの35%以上、世界人口の45%を代表するブロックとして、世界的な脱ドル化の取り組みを加速している。BRICSの主要な目的は、国境を越えた貿易と金融決済における米ドルへの依存を減らすことであり、統一されたBRICS通貨については議論が続いているものの、当面の焦点は決済チャネルの多様化とメンバー間の通貨主権の強化にある。
- CBDCとは?中央銀行デジタル通貨の仕組みと日本への影響【2026年最新】 | 会社設立のミチシルベ 中国のデジタル人民元(e-CNY)は、2026年1月に世界初となる利息付与制度を開始し、CBDCの新たな段階に突入した。デジタル人民元の開発背景には、国内の資金の流れを把握する目的のほか、人民元の国際化や米ドル基軸通貨体制への対抗という戦略的な狙いがあるとされている。2025年11月末時点で、デジタル人民元の取引件数は累計約34億8000万件、取引金額は累計約16兆7000億元(約2.37兆ドル)に達している。
- BRICS通貨の発表日:これまでの知見 - Gate.com BRICSの決済革命の中心には、現地通貨貿易を優先する戦略的シフトがあり、米ドルへの依存を減らし、ブロック内の経済的結びつきを強化することを目的としている。ロシアと中国間の貿易では、ルーブルと元を使用した決済が大幅に増加している。
- BRICSの挑戦――世界の多極化に備えよ | Strategy Institute | FA Portal - デロイト トーマツ BRICSの拡大は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、中東全体の新興市場の経済的重みをさらに強化し、貿易と金融交渉におけるグローバルサウスの交渉力を強化している。2024年11月30日、トランプ次期米大統領は、BRICS諸国が脱ドル化を進める場合、これらの国に対して100%の関税を課す意向を示した。この発言は、BRICS諸国の存在が国際社会で大きくなっていることを示しており、反米の基軸となる芽を摘む思惑があるとされる。デロイトトーマツのレポートは、世界が多極化に向かう流れは避けられないだろうと指摘している。
- 三菱商事、JPモルガンのブロックチェーン決済を活用へ 日系企業初=報道 - Yahoo!ファイナンス 日本銀行の植田和男総裁は2026年3月、ブロックチェーン技術を用いた「中央銀行マネー」を海外送金や日銀当座預金の決済に活用することを検討すると表明した。日銀はBIS(国際決済銀行)主導の共同プロジェクトにおいて、中銀マネーをトークン化預金として発行できる仕組みを検討しており、国際送金の業務効率化に革新をもたらす可能性があるとしている。
- デジタル通貨覇権競争の幕開けと次世代決済の展望 - 大和総研 各国・地域は異なるデジタル通貨戦略を持ち、欧州や中国はCBDCに注力し、英国はトークン化預金を優先、香港は多様な選択肢を検討している。日本は金融市場の安定維持の観点からCBDCとトークン化預金の併用が理想的と考えるが、当面は決済様式の多様化に備えて選択肢を絞るべきではないとしている。