中東情勢緊迫化で国連安保理に亀裂:ホルムズ海峡の混乱と世界経済への影響

国連安保理、イラン非難決議採択も大国間の亀裂露呈

2026年3月12日、国連安全保障理事会は、湾岸諸国とヨルダンに対するイランのミサイルおよび無人機攻撃を非難する決議を採択しました。この決議は、攻撃が国際法に違反し「国際の平和と安全に対する深刻な脅威」をもたらすと指摘しています。また、ホルムズ海峡の国際航路閉鎖を目的としたイランの行動も非難されました。日本を含む135カ国が共同提案し、バーレーンが提出したこの決議案には、理事国13カ国が賛成票を投じました。

しかし、ロシアと中国は、米国とイスラエルによる先制攻撃に言及がないことを「不公平」と批判し、決議を棄権しました。これに対し、イランはこの採択を「安保理の信頼性に打撃を与えた」と強く反発しています。この採決結果は、中東情勢の緊迫化を巡る安保理内の主要大国間の根深い対立と、意思決定プロセスにおける亀裂を露呈させる形となりました。国連安保理は3月11日にもニューヨークで会合を開き、中東情勢の緊迫化について議論を行っています。

ホルムズ海峡の緊迫化と世界経済への波及

国連安保理による非難決議は、2026年3月11日から12日にかけてホルムズ海峡で発生した軍事的緊張と航行への深刻な混乱のさなかに行われました。この混乱は世界経済に即座に波及し、3月12日の市場では指標となるブレント原油価格が1バレル100ドルの大台を突破しました。ゴールドマン・サックスは、中東紛争の継続によりホルムズ海峡を通るエネルギーの流れの混乱が予想以上に長引くとの懸念から、同日、2026年第4四半期のブレント原油価格予測を1バレルあたり71ドル、ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油を67ドルにそれぞれ上方修正しました。

国際社会はこうした経済的影響に対し、緊急の対応を講じています。2026年3月10日に行われたG7エネルギー大臣と国際エネルギー機関(IEA)のオンライン会議を受け、G7は中東紛争勃発以来の供給不足に対処し、市場の変動を緩和するために戦略石油備蓄を使用することを正式に支持しました。これに基づき、IEA加盟国32カ国は、緊急備蓄から4億バレルの石油を放出することで合意しました。

中東情勢の激化と地域同盟の戦略的再編

2026年2月28日に米国とイスラエルによるイラン攻撃が開始されて以来、中東情勢は急速に緊迫の度合いを増しています。この状況下、トランプ米大統領は3月11日、イランとの戦いに「勝利」を主張しつつも、任務が完了するまで当面は戦闘を継続する意向を示しました。このような情勢の激化は、地域全体の戦略的バランスと、国際的な同盟関係の再編に影響を与えています。

緊迫する中東情勢を受け、各国は自国民の保護にも注力しています。2026年3月13日、茂木敏充外務大臣は記者会見で、邦人の出国支援について言及し、マスカットからの政府チャーター機が羽田に到着し、これまでに882名が東京に到着したことを報告しました。これらの出来事は、大国間対立と地域情勢の複雑な相互作用が、国際政治経済に与える多大な影響を示唆しています。

Reference / エビデンス

  • 国連安全保障理事会、湾岸諸国とヨルダンに対するイラン攻撃の停止を要求する決議を採択 2026年3月12日、国連安全保障理事会は、湾岸諸国とヨルダンに対するイランのミサイル攻撃と無人機攻撃を非難する決議を採択しました。この決議は、攻撃が国際法に違反し、国際の平和と安全に対する深刻な脅威をもたらすと指摘しています。また、ホルムズ海峡の国際航路閉鎖を目的としたイランの行動も非難されました。理事国13カ国が賛成票を投じましたが、ロシアと中国は棄権しました。
  • UN Security Council Adopts Resolution Condemning Iran's Retaliation Attack (March 12, 2026) - YouTube 2026年3月12日、国連安全保障理事会は中東情勢に関する会合を開き、イランによる周辺国への報復攻撃を非難する決議案を採択しました。この決議案は日本を含む135カ国が共同提案し、バーレーンが提出したものです。決議はイランに対し報復攻撃の停止を要求し、ホルムズ海峡の封鎖や妨害の脅しを非難しました。米国など13カ国が賛成しましたが、ロシアと中国は、米国とイスラエルによる先制攻撃に言及がないことを「不公平」として棄権しました。イランはこの採択を「安保理の信頼性に打撃を与えた」と強く反発しています。
  • BREAKING: UN Security Council Convenes on Middle East Crisis | Urgent Session Updates 2026年3月11日、国連安全保障理事会はニューヨークで会合を開き、中東情勢の緊迫化について議論しました。加盟国は、地域的な緊張の高まり、民間人の安全、および進行中の紛争に対する国際的な対応について話し合いました。
  • 2026年3月の政治・政策カレンダー: 2026年度(令和8年度)予算の年度内成立なるか、日米首脳会談など外交月間に 高市首相は就任後初の訪米として、2026年3月19日にワシントンを訪れ、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談する予定です。2月28日に始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃で中東情勢が緊迫する中での会談となり、通商・安全保障から中東情勢まで幅広い議題が見込まれています。
  • Trump declares victory but intends to continue fighting in Iran (March 12, 2026) - YouTube 2026年3月11日、トランプ米大統領はイランとの戦いに「勝利した」と主張しましたが、任務が完了するまで当面は戦闘を継続する意向を示しました。また、国際エネルギー機関(IEA)の加盟国が過去最大の石油備蓄放出に合意したことで、石油価格が大幅に低下すると強調しました。
  • Press conference by Foreign Minister Toshimitsu Motegi (March 13, 2026) - YouTube 2026年3月13日、茂木敏充外務大臣は記者会見で、中東情勢の緊迫化を受け、邦人の出国支援について言及しました。マスカットからの政府チャーター機が羽田に到着し、これまでに882名が東京に到着したことを報告しました。
  • 2026年3月12日の世界経済ニュースのハイライト - Vietnam.vn 2026年3月12日、中東紛争の継続によりホルムズ海峡を通るエネルギーの流れの混乱が予想以上に長引くとの懸念から、ゴールドマン・サックスは2026年第4四半期のブレント原油とウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油の価格予測をそれぞれ1バレルあたり71ドルと67ドルに上方修正しました。また、中東全域の供給リスクに対する懸念が高まったことを受け、ブレント原油価格は同日午前の市場で1バレル100ドルの大台を突破しました。
  • 2026年3月の政治日程、政策の予定 - 紀尾井町戦略研究所株式会社 2026年2月28日に始まった米国とイスラエルによるイラン攻撃により中東情勢が緊迫しており、3月19日に予定されている高市首相とトランプ大統領の日米首脳会談では、通商・安全保障に加え、この緊迫する中東情勢が幅広い議題として見込まれています。
  • 2026年3月11日の世界経済ニュースのハイライト - Vietnam.vn 2026年3月10日に行われたG7エネルギー大臣と国際エネルギー機関(IEA)のオンライン会議を受け、G7は中東紛争勃発以来の供給不足に対処し、市場の変動を緩和するために戦略石油備蓄を使用することを正式に支持しました。IEA加盟国32カ国は、緊急備蓄から4億バレルの石油を放出することで合意しました。