国際法人税制の変革期:ベトナム新通達とグローバルミニマム税の最新動向

ベトナム、新法人所得税通達を施行:多国籍企業への影響

ベトナムでは、2026年3月12日より新しい法人所得税通達(第20/2026/TT-BTC号)が施行され、2025年の課税期間から遡及適用されています。この通達は、旧通達(78/2014/TT-BTCなど)を全面的に置き換えるものであり、多国籍企業のベトナムにおける税務戦略に広範な影響を与えると見られています。

主要な変更点には、控除対象支出の具体化(環境対策費、技術・DX投資、社会貢献・寄付など)、税制優遇の要件、課税売上高の算定時期の指定、ベトナム国内で事業を行う外国企業への法人所得税ルール、および拡張投資プロジェクトの登録資本額通知義務などが含まれています。

グローバルミニマム税(Pillar Two)の進展と「Side-by-Side」合意

OECDが主導するグローバルミニマム税(Pillar Two)の枠組みは、引き続き国際法人税制の重要なテーマとして進展しています。2026年1月5日、OECDの包摂的枠組みは、米国に本社を置く多国籍企業グループを所得合算ルール(IIR)および軽課税所得ルール(UTPR)の適用範囲から実質的に除外する「Side-by-Side(SbS)セーフハーバー」を含む新たな措置パッケージに合意しました。

この合意は、トランプ政権が2025年1月20日にOECDの国際課税ルールが米国の税制制定能力を制限すると主張したことや、2025年6月のG7サミットでの「Side-by-Side」ソリューションに関する共通理解に基づいています。スコット・ベッセント米財務長官は、この合意が米国の投資と雇用創出を促進する研究開発税額控除などの価値を保護し、米国の主権を保持するものと強調する声明を発表しました。

SbSセーフハーバーは、本社設立国で一定基準を満たす企業に対し、グローバルミニマム課税の定めるIIRおよびUTPRの不適用を認めるもので、2026年1月1日以降に開始する会計年度に適用されます。この改訂合意は15%の最低法人税率を維持しつつも、米国の多国籍企業を主要な執行ルールから免除する内容であり、グローバルミニマム法人税の全体的な効果に影響を与える可能性も指摘されています。

Reference / エビデンス

  • 【税務アップデート】新・法人所得税通達(20/2026/TT-BTC)施行のご ... ベトナムでは、2026年3月12日より新しい法人所得税通達(第20/2026/TT-BTC号)が施行され、2025年の課税期間から遡及適用される。この通達は、旧通達(78/2014/TT-BTCなど)を全面的に置き換え、控除対象支出の具体化(環境対策費、技術・DX投資、社会貢献・寄付など)、税制優遇の要件、課税売上高の算定時期の指定、ベトナム国内で事業を行う外国企業への法人所得税ルール、拡張投資プロジェクトの登録資本額通知義務など、多岐にわたる変更を含んでいる。
  • Agreement Exempts U.S. Companies from 15% Global Minimum Tax 2026年1月5日、米国と145カ国以上が参加する新たな合意により、米国企業は15%のグローバルミニマム税の適用対象外となることが発表された。この合意は、トランプ政権が2025年1月20日にOECDの国際課税ルールの第2の柱が米国の税制制定能力を制限すると主張したことを受け、2025年夏の合意を確固たるものとしたものである。これにより、米国に本社を置く企業は米国のグローバル最低税のみの対象となり、Pillar Twoの所得合算ルール(IIR)および軽課税所得ルール(UTPR)からは免除される。
  • ベッセント米財務長官、在米企業のグローバル・ミニマム課税適用外を歓迎する声明発表(米国) 2026年1月5日、OECDが「Side-by-Side」協定への合意を発表したことを受け、スコット・ベッセント米財務長官は、米国に本社を置く多国籍企業をグローバルミニマム課税の適用外とする合意を歓迎する声明を発表した。この合意は、米国の投資と雇用創出を促進する研究開発税額控除などの価値を保護し、米国の主権を保持するものと強調された。この「SbSセーフハーバー」制度は、本社設立国で一定基準を満たす企業に対し、グローバルミニマム課税の定める所得合算ルール(IIR)および軽課税所得ルール(UTPR)の不適用を認めるものである。
  • Despite US exemptions, the show goes on for a global minimum corporate tax 2026年1月5日、トランプ政権からの圧力の下、146カ国が2021年の合意を修正し、米国の多国籍企業(MNCs)がグローバルミニマム法人税の国別軽課税所得ルール(UTPR)から免除されることになった。これにより、グローバルミニマム法人税の枠組みは継続されるものの、米国のMNCsは免除されるという注目すべき変更が加えられた。この変更は、元の2021年合意よりもグローバルミニマム法人税の効果を低下させる可能性があるとされている。
  • OECD Pillar Two Side-by-Side System and New Safe Harbors | Insights | Mayer Brown 2026年1月5日、OECDはPillar Twoグローバルミニマム税(GMT)ルールに基づく新たな行政ガイダンスパッケージに合意したと発表した。このパッケージの目玉は「Side-by-Side(SbS)セーフハーバー」であり、米国に本社を置く多国籍企業グループが、既存の米国法が国内および海外利益の課税において十分に堅牢であるという理由で、GMTの所得合算ルール(IIR)および軽課税所得ルール(UTPR)の適用から除外されることを可能にする。SbSセーフハーバーは、2026年1月1日以降に開始する会計年度に適用される。
  • OECD Tax Deal Keeps Global Minimum Intact But Shields U.S. Companies - Forbes OECDはグローバルミニマム法人税に関する改訂合意を発表し、15%の最低法人税率を維持しつつ、米国の多国籍企業を主要な執行ルールから免除する内容となった。この改訂により、米国企業は所得合算ルール(IIR)と軽課税所得ルール(UTPR)という2つの国際的なバックストップルールから保護される。これにより、他の国が現地管轄区域と企業の母国が課税を怠った場合に、追加の税金を課すことができなくなる。
  • Significant Tax Measures Remain in Flux for Large Multinational Groups | Publications 2026年1月5日、OECDの包摂的枠組みは、米国に本社を置く多国籍企業グループをUTPRおよびIIRの適用範囲から実質的に除外するセーフハーバーを含む、Pillar Twoの新たな措置パッケージに合意した。この「Side-by-Side」セーフハーバーに加え、簡素化措置やその他のセーフハーバー、税額控除の取り扱いにおける整合性を高める措置も含まれている。この合意は、2025年6月のG7サミットでの「Side-by-Side」ソリューションに関する共通理解に基づいている。
  • Pillar Two Implementation – oecdpillars.com 2026年3月25日、オーストラリアはOECDの行政ガイダンスの側面を組み込むため、Pillar Two規則を改正する「Taxation (Multinational—Global and Domestic Minimum Tax) Amendment (2026 Measures No. 1) Rules 2026」を発行した。また、2026年3月17日にはベルギーがPillar Two通貨換算規則に関する通達2026/C/41を発行し、2026年3月24日にはフィンランドが2026年1月のOECD Side By Side Tax Packageおよび2024年6月と2025年1月のOECD行政ガイダンスの側面を盛り込むため、最低税法を改正した。
  • KPMG Week in Tax: March 9 – 13, 2026 KPMGの「Week in Tax: March 9 – 13, 2026」(2026年3月16日発行)によると、この週にオーストラリアはPillar Twoのグローバルおよび国内ミニマム税規則の仕組みと既存の法人税制度との相互作用に関するガイダンスを更新した。これには、共同取決めとGloBE共同事業、および外国所得税額控除(FITO)の請求に関する情報が含まれる。