南方:グローバルサウスにおける中露資本の物理的影響力拡大と日本の対応(2026年4月25日時点)

2026年4月25日現在、グローバルサウス地域において、中国およびロシアの資本によるインフラ投資、経済協力、戦略的影響力拡大が顕著に進展している。特に、東南アジア、中南米、アフリカといった主要地域では、中露の積極的な関与が日本の既存の拠点や経済的プレゼンスを相対的に凌駕しつつある兆候が見られる。日本はこれに対し、大規模な支援策や連携強化の動きで対抗しているものの、中露の勢力拡大は物理的なインフラ構築や貿易関係の深化を通じて、その影響力を着実に強めている。

東南アジアにおける中露の経済的浸透と日本の警戒

東南アジア地域では、中国およびロシアのエネルギー協力や「オイル外交」の進展が、日本企業の拠点に影響を与えつつある。2026年4月20日の報道によると、日本政府はアジアを包括的に支援するため、1.6兆円規模の石油・物資供給網強化策を発表した。これは、中東情勢による苦境に陥った国々への単なる石油提供ではなく、アジア各国と共に強靭なエネルギー・重要鉱物サプライチェーンを構築し、アジア全体の経済を強化することを目的としている。約1万社の日本企業が進出するこの地域での中露関係深化は、日本の安全保障や貿易に不利益をもたらすとの懸念が高まっている。実際、シンガポールのシンクタンクが4月に公表した調査では、ASEAN加盟国が米中どちらかを提携相手に選ぶかという質問に対し、中国と回答した国の比率(52%)が米国(48%)を上回ったと報じられており、前年の調査とは逆転している。

中南米における中国のインフラ投資と影響力拡大

中南米地域では、中国のインフラ投資が「一帯一路」構想を通じてその影響力を拡大している。2026年4月21日の報道や過去の関連報道(2026年1月13日)によると、中国資本は港湾、送電網、通信分野にまで及び、20カ国以上が「一帯一路」に参加している。具体的には、ペルーの巨大港湾施設やブラジルで進む南米横断鉄道プロジェクトなどが挙げられる。米国が「西半球」を勢力圏と見なす中で、中国の「侵食」は静かに進んでおり、米国抜きでも回る経済圏が形成されつつあるとの指摘もある。中国の投資は鉱業、エネルギー、自動車、通信分野に集中し、時に米国の安全保障上の懸念を引き起こしている。

アフリカにおける中露の戦略的連携と経済的優位

アフリカ地域では、中国が経済的・戦略的影響力を深化させている。2026年4月19日の報道によると、中国政府は5月1日から、外交関係を有するアフリカ53カ国からの全輸入品に対して関税を完全に撤廃する「ゼロ関税」政策を実施することを決定した。これは、2024年の中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)での公約を具体化するものであり、アフリカ諸国の対中貿易赤字是正にも寄与するとみられている。中国はアフリカ最大の貿易相手国であり、その広大な「一帯一路」構想を通じて、アフリカ地域の主要なインフラ・プロジェクトを支援している。また、2026年4月21日には、習近平国家主席がモザンビークのチャポ大統領と会談し、両国関係を「新しい時代の中国・モザンビーク運命共同体」へと高めることで合意、インフラやエネルギー・鉱物資源の総合開発などでの協力拡大を模索すると強調した。

グローバルサウス全体における中露の勢力圏構想と日本の対応

グローバルサウス全体において、中国とロシアは「勢力圏」をめぐる競争を繰り広げている。2026年4月1日の研究会報告によると、中央アジア、コーカサス、大洋州といった地域で中露の影響力が拡大しており、これは日本にもリスクと機会の両面をもたらしている。ロシアにとって中国との協力は欧米による経済制裁をしのぐための生命線であるが、同時に中国への過度な従属への警戒心も強い。日本は、グローバルサウスとの連携強化を不可欠と捉えており、2026年3月29日の報道では、官民連携による「インパクト投資」を強化する動きが加速している。これは、社会課題解決に資する投資であり、日本の市場規模は17兆円に達している。JICA法が2025年に改正され、途上国向け投資の保証や現地企業の債券購入が可能となるなど、日本のODAも民間投資を呼び込む「触媒」としての役割を担う方向へと進化している。

Reference / エビデンス