南方:BRICS拡大による金融圏再編の政治性

2026年4月24日、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の継続的な拡大は、グローバルサウスの経済的・政治的影響力を増大させ、国際金融システムにおける米ドル中心主義への挑戦を加速させています。これは、脱ドル化の動き、新たな決済システムの導入、そして多極化する世界秩序の形成という点で、地政学的に極めて重要な意味を持ちます。特にBRICSの金融インフラ構築に向けた具体的な進展と、それを取り巻く国際情勢の緊迫化が注目されています。

BRICS拡大の現状と経済的影響力

2026年4月現在、BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカに加え、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の10カ国体制となっています。さらに、BRICSは「パートナー国」制度を創設し、その影響力を拡大し続けています。この拡大により、BRICSは世界のGDPの約35%、そして世界の人口の約45%を占める巨大な経済圏を形成しています。

Binance Newsは2026年2月27日、BRICSが世界のGDPの35%、人口の45%を代表するブロックとして、ドル離れのシフトを推進していると報じました。また、EBC Financial Groupは2026年2月9日、新規加盟国を含む「BRICS+6」が国際社会における影響力を増していると指摘しています。2026年にはインドがBRICSの議長国を務めており、そのリーダーシップの下で、グローバルサウスの経済的自立に向けた動きがさらに加速すると見られています。

非米ドル経済圏構築への動き

BRICS諸国は、米ドルへの依存を減らすための具体的な取り組みを加速させています。その中心となるのが、統一決済システム「Brics Pay」の導入計画です。ブラジル日報は2026年4月2日、BRICSが決済網の「脱ドル化」を加速させ、2026年に新システムを導入する計画であると報じました。この「Brics Pay」は、2026年に段階的な稼働を目指しており、2026年4月5日にはその稼働可能性が報じられています。

また、各国は現地通貨での貿易決済拡大を積極的に進めています。特にインドは、2026年4月9日にBRICS CBDC(中央銀行デジタル通貨)ブリッジ開発への注力を表明しており、デジタル通貨を活用した新たな決済インフラの構築に意欲を示しています。これらの動きは、国際貿易における米ドルの役割を相対的に低下させ、BRICS経済圏内での金融取引の自立性を高めることを目的としています。

地政学的要因と脱ドル化の加速

BRICS諸国が脱ドル化を加速させる背景には、緊迫する地政学的な要因が深く関わっています。2026年4月10日には、米国とイスラエルによるイランへの攻撃が脱ドル化を加速させているとの指摘が報じられました。このような国際情勢の不安定化は、特定の通貨への過度な依存がもたらすリスクをBRICS諸国に再認識させています。

さらに、2026年4月2日に報じられたイランによるホルムズ海峡封鎖の可能性は、原油・天然ガス価格に大きな影響を与える懸念を生じさせました。エネルギー供給の安定性に対する懸念は、BRICS諸国が自立した経済圏を構築し、外部からの影響を受けにくい金融システムを確立しようとする動機付けを一層強めています。これらの地政学的リスクは、BRICS諸国が米ドル中心の国際金融システムから距離を置き、独自の金融インフラを強化する動きを加速させる要因となっています。

BRICS共通通貨の実現性と課題

BRICS共通通貨の導入に関する議論は継続していますが、2026年4月現在、公式なBRICS共通通貨の発行日は発表されていません。現時点では、共通通貨の導入よりも、決済システムの相互運用性の向上に焦点が当てられています。

共通通貨構想には、加盟国間の経済規模や発展段階の多様性、政治体制の違いなど、多くの課題が存在します。実際、インドは共通通貨構想への支持を撤回したと報じられています。EBC Financial Groupは2025年7月8日に、Gate Wikiは2025年9月12日にこの経緯を伝えています。多種多様な経済構造を持つBRICS諸国間での共通通貨導入には、技術的・経済的課題が山積しており、その実現にはまだ時間を要すると見られています。当面は、既存の決済システムの連携強化や現地通貨決済の拡大が、脱ドル化の主要な手段となるでしょう。

グローバルサウスの台頭と多極化する世界秩序

BRICSの拡大は、グローバルサウスの国際的な発言力強化に大きく貢献しています。Binance Newsは2026年2月27日、BRICSが多極的金融システムにおいて中心的な力としての地位を確立していると報じました。これは、国際秩序が単一の覇権国によって支配される時代から、複数の主要な勢力が影響力を持つ多極化へと移行していることを象徴しています。

ニューズウィーク日本版は2024年10月28日、BRICSが国際秩序の多極化を求める動きの象徴となっていると指摘しました。BRICSは、グローバルサウス諸国の経済発展と政治的自立を支援することで、国際社会における彼らの地位向上を図っています。しかし、グローバルサウス内でも主導権争いは存在します。例えば、インドは2025年3月3日に「グローバル・サウスの声」サミットを成功させるなど、その影響力拡大に努めています。BRICSの拡大は、単なる経済圏の拡大に留まらず、国際政治・経済の構造そのものを変革する可能性を秘めていると言えるでしょう。

Reference / エビデンス