南方:アフリカ重要鉱物を巡る米中の投資・インフラ競争の最新動向

2026年4月23日、アフリカ大陸における重要鉱物資源を巡る米国と中国の戦略的競争は、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー技術の需要拡大を背景に、かつてないほど激化している。特にコバルト、銅、リチウム、レアアースといった資源が豊富な南部アフリカ地域は、両国にとって地政学的・経済的に極めて重要な戦略的要衝となっている。投資、インフラ整備、そしてサプライチェーンの再編が、この競争の主要な焦点であり、過去48時間以内にも具体的な動きが報じられている。

米中によるアフリカ重要鉱物への戦略的投資の現状

コンゴ民主共和国(DRC)の銅・コバルト権益を巡る米中の動きは活発化している。中国はDRCとの間で鉱業協力深化協定を署名し、その影響力を一層強めている。一方、米国ヴァータス・ミネラルズはDRCの鉱山会社シェマフの株式取得契約を締結するなど、米国側も対抗措置を講じている。中国は2025年にアフリカの金属・鉱山部門に対し、過去最高となる154億ドルを鉱山開発に、200億ドルを製錬施設に投じており、その投資規模は圧倒的である。

また、米国国際開発金融公社(DFC)は2026年4月19日、南アフリカのファラボルワ・レアアース・プロジェクトに対し、5,000万ドルの出資継続を決定した。これは、米国がアフリカにおける重要鉱物サプライチェーンの多様化と確保に向けた具体的なコミットメントを示すものとして注目される。

インフラ整備を通じた影響力拡大とサプライチェーン戦略

インフラ整備は、重要鉱物の輸送と加工を可能にし、サプライチェーンにおける影響力を確立するための重要な手段となっている。米国は、アンゴラ、DRC、ザンビアを結ぶ「ロビト回廊」への新規投資を推進しており、ビル・ゲイツ氏やジェフ・ベゾス氏が出資するコボルド・メタルズもこの動きに関与している。この回廊は、内陸部の鉱物資源を大西洋岸の港に効率的に輸送することを目的としている。

これに対し、中国は「一帯一路」構想を通じてアフリカ全土で広範なインフラ整備を進めている。DRCのテンケ・フングルメ鉱山やカモア・カクラ鉱山といった主要な銅・コバルト鉱山を掌握し、その資源を中国のサプライチェーンに組み込んでいる。さらに、中国はアフリカにおいて約10万キロの自動車道路、1万キロ以上の鉄道、約千基の橋、100近くの港湾の建設・改修を支援しており、その規模は米国のそれを大きく上回る。

経済的な結びつきを強化するため、中国は2026年5月1日から、国交のあるアフリカ53カ国に対し、100%の品目でゼロ関税措置を実施する計画を発表している。これはアフリカ製品の中国市場へのアクセスを大幅に改善し、貿易関係を一層深化させるものと見られている。

アフリカ諸国の対応と国際協力の動向

アフリカ諸国は、単なる資源供給地としての役割から脱却し、加工・精製を含む付加価値化と工業化を目指す動きを強めている。この目標達成のため、アフリカ諸国は多角的な外交戦略を展開し、米国や中国だけでなく、日本を含む他の国際パートナーとの協力も模索している。

その一環として、2026年4月9日には日本と南部アフリカ開発共同体(SADC)が協力覚書(MoC)を締結した。このMoCは、エネルギー、輸送、水、DXなどのインフラ整備、貿易・投資促進、製造業・鉱業のバリューチェーン開発、気候変動対策といった広範な分野での協力を強化するものであり、アフリカの工業化と経済多角化を支援する日本の姿勢を示すものとなっている。

米国もまた、重要鉱物サプライチェーンの再構築に向けた国際的な枠組みを構築しようとしている。2026年2月4日に開催された「2026年重要鉱物閣僚会合」には55カ国が参加し、価格下限を軸とする「優先的貿易圏」構想が打ち出された。これは、重要鉱物の安定供給と公正な価格形成を目指すものであり、アフリカ諸国が国際市場においてより有利な立場を確保するための選択肢を提供する可能性を秘めている。

Reference / エビデンス