日本:日米比(JAPHUS)安保協力の統合抑止力

インド太平洋地域の安全保障環境が緊迫の度を増す中、日本、米国、フィリピンの三か国間協力(JAPHUS)は、統合抑止力の強化を通じて地域安定に貢献する新たな段階に入った。特に南シナ海や台湾海峡周辺における現状変更の試みに対し、共同演習の拡大、防衛装備協力の深化、経済安全保障の連携強化を通じて、その連携を加速させている。2026年4月22日現在、日米比三か国間の安保協力は、具体的な進展と法的・制度的枠組みの強化、そして経済安全保障との連携を通じて、地域安定化への影響を深めている。

日米比共同演習の拡大と日本の役割深化

日米比三か国間の共同演習は、その規模と内容において飛躍的な拡大を見せている。2026年4月20日に開始された米比合同軍事演習「バリカタン26」では、日本の参加規模が約1400人に大幅に増加した。これは、これまでの人道支援中心の活動から、より実戦的な訓練への日本の役割深化を明確に示している。さらに、2026年4月21日には、自衛隊が戦後初となる地対艦誘導弾の実射訓練をフィリピン北部で実施する計画が報じられた。この訓練は、地域の抑止力強化に大きく寄与するものと期待されている。これに先立つ2026年2月下旬には、ルソン海峡で日米比海上・航空演習が実施されており、三か国間の連携が着実に進展していることを裏付けている。

防衛協力の法的・制度的枠組みの強化

防衛協力の法的・制度的枠組みもまた、統合抑止力強化の重要な柱となっている。2026年1月15日には、日比間で物品役務相互提供協定(ACSA)が締結された。この協定は、共同訓練時における物資の相互提供を可能にし、中国に対する抑止力強化に大きく貢献している。また、2026年4月21日には、日本の防衛装備移転三原則の運用指針が改定され、戦闘機やミサイルを含むすべての武器の輸出が可能となった。フィリピンのテオドロ国防相は、この改定を歓迎する意向を示しており、フィリピンの防衛能力向上への期待が高まっている。

統合抑止力と地域安全保障への影響

日米比協力は、南シナ海や台湾海峡周辺の「第一列島線」における抑止力強化に大きく貢献している。特にフィリピンのルソン島およびルソン海峡周辺は、その地理的特性から戦略的に極めて重要である。日本は、フィリピンへの沿岸監視レーダーシステム供与や海軍能力向上支援を通じて、フィリピンの海洋安全保障能力を向上させている。これにより、地域の海洋状況把握能力が強化され、不測の事態への対応力が向上する。さらに、フィリピンをインド太平洋地域の防衛製造拠点とする構想も浮上しており、これは地域のサプライチェーン強靭化と防衛産業基盤の強化に繋がるものと見られている。

経済安全保障との連携

安全保障協力は、経済安全保障との連携によってさらにその効果を高めている。2026年4月20日、フィリピンは米国の経済安全保障枠組み「パックス・シリカ」への参加を発表した。この枠組みは、半導体や電子機器製造分野におけるフィリピンの能力を活用し、サプライチェーンの強靭化に貢献することを目的としている。フィリピンは、半導体製造における重要な役割を担っており、その能力は地域の経済安全保障にとって不可欠である。また、フィリピンが推進する「ルソン経済回廊(LEC)」構想も、経済と安全保障の連携を象徴するものである。この構想は、戦略的なインフラ整備を通じて、経済的な結びつきを強化し、ひいては地域の安定と統合抑止力に寄与すると考えられる。

Reference / エビデンス