米国SECによる暗号資産の証券性判断基準の変革:アトキンス体制1年間の進展

2026年4月21日、ポール・アトキンス氏が米国証券取引委員会(SEC)委員長に就任してから1周年を迎えた。この1年間で、SECは暗号資産の証券性判断基準において顕著な方針転換を示し、市場参加者に待望の明確性と新たな機会を提供している。特に、SECと商品先物取引委員会(CFTC)による画期的な共同解釈指針の発表、特定のユーザーインターフェースに対するブローカーディーラー登録免除、そして長年続いたパターン・デイトレーダー規制の撤廃は、暗号資産市場の規制環境を大きく変えるものとして注目されている。

SECとCFTCによる画期的な共同解釈指針

2026年3月17日、SECとCFTCは、暗号資産の証券性に関する共同解釈指針を発表した。この指針は、2019年にSECが公表した「デジタル資産の投資契約分析フレームワーク」を置き換えるものであり、デジタルコモディティ、デジタルコレクティブル、デジタルツール、ステーブルコイン、デジタル証券の5つのカテゴリーを明確に定義している。これにより、市場参加者は、自身の保有する暗号資産がどのカテゴリーに属し、どのような規制が適用されるのかをより正確に判断できるようになる。

共同指針では、非証券性暗号資産であっても、特定の状況下で投資契約の対象となる条件が詳細に示された。例えば、プロトコルマイニング、ステーキング、エアドロップといった活動が、投資契約の要件を満たす可能性があることが明記されている。

「エンフォースメントによる規制」からの転換とアトキンス体制1周年

ポール・アトキンスSEC委員長は、2025年4月21日の就任以来、SECの暗号資産に対するアプローチを「エンフォースメント(執行措置)による規制」から、より明確な規制フレームワークの提供へと大きく転換させてきた。 過去の執行措置に依存するのではなく、市場参加者が事前に規制を理解し、遵守できるような環境を整備することに重点が置かれている。

この方針転換は、暗号資産市場に大きな影響を与え、不確実性の低減とイノベーションの促進に寄与している。アトキンス委員長の就任1周年を記念する形で、SECは規制の明確化に向けた具体的な取り組みを加速させており、今後の規制動向に対する市場の期待は高まっている。

特定のユーザーインターフェースに対するブローカーディーラー登録免除

2026年4月13日、SECの取引・市場部門は、特定のユーザーインターフェースプロバイダーに対するブローカーディーラー登録免除に関するスタッフ声明を発表した。 この声明は、自己管理型ウォレットを通じて暗号資産証券の取引を可能にする技術プロバイダーに対し、重要な規制上の明確性を提供するものだ。免除の条件として、プロバイダーは中立性、非裁量性、顧客資金の非取扱といった要件を満たす必要がある。

この措置は、分散型金融(DeFi)分野におけるイノベーションを促進し、ユーザーがより安全かつ効率的に暗号資産証券を取引できる環境を整備することを目的としている。市場は、この免除が新たなビジネスモデルの創出と、より広範な市場参加を促すと期待している。

パターン・デイトレーダー(PDT)規制の撤廃と市場への影響

2026年4月14日または15日には、25年間にわたり個人投資家のデイトレード活動を制限してきた25,000ドルのパターン・デイトレーダー(PDT)規制が撤廃された。 この規制は、口座残高が25,000ドル未満の個人投資家が5営業日以内に4回以上のデイトレードを行うことを制限するものであった。

PDT規制の撤廃は、特に小口の個人投資家にとって大きな恩恵をもたらす。これにより、より多くの個人がデイトレード市場に参加できるようになり、暗号資産ETFなどの取引活動が活発化すると予想されている。BitwiseのCIOであるマット・ホーガン氏は、この撤廃が暗号資産ETFや資産トークン化に与える影響について肯定的な見方を示している。

ステーブルコイン規制の進展とGENIUS Act

ステーブルコインの規制フレームワークも大きく進展している。2025年7月18日に署名されたGENIUS Act(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)は、支払いステーブルコインに対して厳格な規制要件を課している。

この法律の主要な規定には、100%の準備金要件、厳格なアンチマネーロンダリング(AML)および顧客確認(KYC)プログラムの義務付け、そして月次開示義務が含まれる。 SECとCFTCの共同解釈指針におけるステーブルコインの扱いは、このGENIUS Actの枠組みと密接に関連しており、ステーブルコインの発行者および利用者は、これらの包括的な規制に準拠する必要がある。

Reference / エビデンス