東亜:中国の若者の失業と「寝そべり」族の背景

2026年4月19日、中国では若年層の雇用問題が依然として深刻な状況にあり、それに伴い「寝そべり」族と呼ばれる新たな社会現象が広がりを見せている。経済成長の鈍化、不動産価格の高騰、そして過酷な労働環境が若者たちの間で無力感を生み出し、社会全体に多角的な影響を及ぼしている。

中国の若年失業率の現状と最新動向

2026年4月19日現在、中国の都市部における若年層(16~24歳、学生を除く)の失業率は高水準で推移している。直近のデータでは、2026年2月の都市部若年層失業率は16.1%を記録した。これは2025年12月の16.5%からわずかに改善したものの、2023年6月に記録した過去最高の21.3%と比較しても、依然として厳しい雇用市場が続いていることを示している。また、2026年3月の全国都市部調査失業率は5.3%に上昇し、6ヶ月ぶりの高水準となった。中国政府は2023年7月から11月にかけて若年失業率の公表を一時停止し、その後、学生を除外するなどの算出方法の変更を行ったが、それでもなお若年層の雇用問題の深刻さは浮き彫りになっている。

「寝そべり族」の台頭とその背景

「寝そべり族」(躺平族、タンピン族)とは、中国の若者の一部に見られる、競争社会を忌避するライフスタイルを指す。彼らは住宅購入、車購入、恋愛、結婚、出産といった高額消費や社会的成功を諦め、最低限の生活を維持することで資本家による搾取を拒否しようとする。このムーブメントは2021年4月にSNSで「寝そべりは正義だ」という文章が広まったことをきっかけに呼称が定着した。

その背景には、経済成長の鈍化、不動産価格の高騰、そして「996工作制」と呼ばれる朝9時から夜9時まで週6日勤務といった過酷な労働環境がある。さらに、厳しい受験競争を勝ち抜いても良い職に就けない雇用のミスマッチも深刻化している。多くの若者が、努力しても報われないという無力感を抱き、上昇志向に乏しく、低消費・低労働を選択しているのが現状だ。中国政府は「寝そべり族」や「ネズミ人間」といった悲観的な表現を規制する動きを見せている。

若年失業と「寝そべり」族が中国社会に与える影響

若年層の高い失業率と「寝そべり」主義の広がりは、中国経済に深刻な影響を与えている。消費の低迷は経済全体の活力を低下させ、若年層が社会参加への意欲を失うことは、長期的な経済成長力の低下につながる恐れがある。また、高学歴化が進む一方で雇用のミスマッチが深刻化しており、これが若者の不満や社会の不安定化を引き起こす可能性も指摘されている。

中国政府は雇用創出のための政策や職業訓練の拡充、さらには「過度にネガティブな感情を強調すること」を規制するなどの言論統制を行っている。しかし、若者の労働観や価値観の変容は根深く、世代間のギャップも深まっている。この問題は、単なる経済問題に留まらず、中国社会の安定と将来を左右する喫緊の課題となっている。

Reference / エビデンス