東亜:対韓輸出規制解除と供給網の正常化に関する最新動向(2026年04月18日)
対韓輸出規制の現状と解除の経緯
2026年4月18日現在、日本の対韓輸出規制は完全に解除され、韓国は「グループA(ホワイト国)」に復帰しています。この措置は、2023年7月の閣議決定・即日施行により実現しました。これにより、半導体素材3品目(フッ化水素、レジスト、フッ化ポリイミド)の輸出管理強化措置が解除され、韓国は優遇措置を受けられる国として再び指定されました。 2026年4月時点で、日本がグループAに指定している27カ国の中に韓国は含まれています。 この解除は、2019年8月に韓国がホワイト国から除外されて以来、約4年ぶりの正常化であり、日韓関係の改善に大きく寄与しました。
東アジアにおけるエネルギー供給網の強靭化と中東情勢の影響
中東情勢の緊迫化は、2026年4月18日現在、東アジアのエネルギー供給網に深刻な影響を与えています。これに対し、日本と韓国はそれぞれ具体的な対応策を打ち出しています。
日本は、2026年4月15日に「アジア・エネルギー・資源供給力強靭化パートナーシップ(パワー・アジア)」を発表しました。 この枠組みでは、アジア地域のサプライチェーン強靭化を目的に、約100億ドル(約1兆6千億円)の金融協力を行う方針が示されています。 これは、原油・石油製品の調達やサプライチェーン維持のための融資、原油備蓄制度の構築、備蓄タンクの建設・利用、重要鉱物の確保、バイオ燃料といったエネルギー源の多様化、省エネへの取り組みを通じた産業の高度化など、緊急対応と中長期的な構造的対応の両面からアジア各国のエネルギー強靭化を支援するものです。 この支援は、ASEANの約1年分の原油輸入に相当する最大約12億バレルの原油・石油製品の調達に換算される規模です。
一方、韓国は2026年4月14日に国会で26兆2,000億ウォン(約2兆8,820億円)の補正予算案を可決しました。 この補正予算案には、中東情勢の影響緩和のためのサプライチェーン強靭化策が含まれており、燃料油価格負担の緩和、国民生活の安定、産業被害の最小化、サプライチェーン強靭化などが柱となっています。 特に、石油化学・鉄鋼産業の高付加価値化支援、再生可能エネルギー発電設備設置支援、主要産業へのAI導入支援、ナフサ輸入費用の一部支援、石油備蓄量の拡大、レアアース再資源化施設など国内生産基盤の整備などが盛り込まれています。
現状の課題としては、韓国政府が2026年3月27日から5カ月間、ナフサの輸出制限措置を施行しています。 これは、中東情勢悪化によるナフサ需給の不安定化に対応するためのもので、国内需要の45%を輸入に依存し、そのうち77%を中東からの輸入が占める韓国にとって喫緊の課題です。 また、日本のエチレンプラント稼働率も低下しており、2026年2月には75.7%を記録し、エチレン総生産量が前月比23%減の334,200トンとなりました。 これらの具体的な数値は、東アジアにおけるエネルギー供給網の脆弱性と、各国が直面する課題の深刻さを示しています。
半導体サプライチェーンの動向と輸出管理
2026年4月18日現在、東アジアの半導体サプライチェーンは、米中間の技術覇権争いを背景に構造変化が進行し、輸出管理の動向が注目されています。
米国の対中AIチップ輸出規制は依然として厳しく、2026年4月7日の報道では、2026年1月15日にNVIDIA H200やAMD MI325Xの条件付き緩和が発効されたものの、NVIDIAの最先端チップ「Blackwell」は引き続き規制対象であることが言及されています。 米国商務省産業安全保障局(BIS)は、H200やMI325Xなどの輸出許可申請の審査方針を「原則不許可」から「個別審査」に変更しましたが、輸出者は製品の米国内での供給を減少させないこと、中国・マカオ向け総出荷量が米国の顧客への総出荷量の50%を超えないことなどの条件を満たす必要があります。 この動きは、中国のAI技術開発を抑制しつつ、米国の技術エコシステムを強化する戦略の一環と見られています。
一方、中国も対抗措置として対日輸出管理を強化しています。2026年2月24日には、三菱重工業グループ各社や川崎重工業など、日本の企業・団体計40社を輸出管理リストおよび監視リストに追加し、これらの企業へのデュアルユース(軍民両用)品目の輸出が事実上禁止または厳格化されています。 さらに、2026年1月6日には、日本向けのデュアルユース品目に対する輸出管理を強化する措置が即日施行され、日本の軍事力強化に寄与する最終用途への輸出が全面的に禁止されています。
2026年4月6日の記事では、「2026年時点で最も注目されている輸出管理の動向は、先端半導体製造装置をめぐる規制強化」と指摘されています。 2023年1月に日米蘭3カ国が先端半導体製造装置の対中輸出規制で合意し、日本は2023年7月に23品目の半導体製造装置を輸出管理の対象に追加しました。 2026年4月9日から11日にかけて報じられた米議会での「MATCH法」(Multilateral Alignment of Technology Controls on Hardware)提出の動きは、日本やオランダなどの同盟国に対し、150日以内に米国と同様の輸出制限措置を講じるよう圧力をかける内容であり、これらの動きが東アジア全体の半導体供給網に与える影響は甚大です。 特に、オランダのASMLや日本の東京エレクトロンといった主要企業は、その供給網に重大な影響を受けると見られています。
未来志向の日韓経済協力と戦略的対話
2026年4月18日現在、日韓間の経済協力は、これまでの「一方通行」の関係から「双方向」へと変化しつつあります。 両国は、経済安全保障を含む幅広い分野で連携を一層深めようとしています。
2026年1月13日に奈良市で開催された日韓首脳会談では、高市総理と李在明大統領の間でサプライチェーン協力に関する踏み込んだ議論が行われました。 両首脳は、地政学的リスクの高まりと中国による輸出管理強化を背景に、経済安全保障分野での連携を加速させることで一致し、重要鉱物や半導体材料のサプライチェーン強靭化、次世代エネルギー技術における戦略的提携、経済安全保障推進法に基づく技術協力などを推進することで合意しました。
さらに、2026年4月10日に報じられた情報によると、日韓両政府は外務・防衛当局の次官級による「2プラス2」協議を新たに創設し、5月上旬にもソウルで初会合を開く方向で調整に入っています。 これは、これまでの局長級の枠組みを格上げするもので、北朝鮮やイラン、ウクライナ情勢、トランプ米政権や中国への対応など、幅広い安全保障問題について両国の認識を擦り合わせ、日米韓の連携強化を確認する見通しです。
また、ジェトロは2025年度に「未来志向の日韓ビジネス研究会」を立ち上げ、政治に左右されない新たな協力分野の探求を進めてきました。 この研究会では、日韓の相互理解や人材交流の現状を踏まえ、教育、就労、交流のあり方、さらにはコンテンツ(音楽、ゲーム)、EC、スタートアップといった具体的な連携可能性分野についても議論が重ねられています。 これらの取り組みは、日韓両国が経済的・戦略的なパートナーシップを深化させ、東アジア地域の安定と繁栄に貢献していく強い意志を示しています。
Reference / エビデンス
- 【2026年最新】ホワイト国(グループA)とは?一覧と韓国が復帰した理由をわかりやすく解説 - Digima~出島~
- 韓国向け輸出管理の運用の見直しについて - 経済産業省
- 韓国を「ホワイト国」復帰へ 輸出管理の強化すべて解除(2023年4月28日) - YouTube (ANNnewsCH)
- 【速報】高市総理「パワーアジア」を表明 アジア地域のサプライチェーンを強靱化 中東情勢を受け各国を支援へ - FNNプライムオンライン
- AZEC+オンライン首脳会合開催、日本はエネルギー強靭化に向けた支援を表明 - ジェトロ
- エネルギー強靱化に関するAZEC+オンライン首脳会合の開催|外務省
- 韓国、中東情勢の影響緩和のための補正予算案を国会本会議で可決 - ジェトロ
- 韓国政府、ナフサ輸出制限などを実施(韓国、中東) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース
- イラン情勢によるシンナー目詰まりの真実、サプライチェーンの病理と高値定着という新常態
- 日本のエチレンプラントへの影響でナフサ供給量が減少 - SDKI Analytics
- 原油高と供給混乱は当面継続の公算、緊急体制強化を=韓国大統領 - ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
- 東アジア半導体サプライチェーンにおける輸出管理の構造変化と各国の戦略 - Vantage Politics
- 【2026年最新】ホワイト国(グループA)とは?一覧と韓国が復帰した理由をわかりやすく解説 - Digima~出島~
- 日韓経済関係は「一方通行」から「双方向」へ | 未来志向の新たな日韓産業連携の可能性を探る - 特集 - 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ
- 新たな日韓連携に向けた3つの提言 | 未来志向の新たな日韓産業連携の可能性を探る - 特集 - 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ
- 日韓「2プラス2」次官級に格上げへ、5月上旬にも初会合で調整…対米関係含め連携を一層深めたい考え - 読売新聞
- 日韓首脳会談|外務省