南方:宇宙資源開発(月面採掘)の国際先陣争い

2026年4月16日、月面資源開発を巡る国際競争は新たな局面を迎えています。米国主導の「アルテミス計画」の着実な進展、中国の野心的な「嫦娥計画」、そして民間企業の活発な参入が、月での持続的なプレゼンス確立と資源活用に向けた動きを加速させています。特に、アルテミスIIミッションの成功裏の帰還や、月面インフラ構築に向けた新たな協力関係の発表は、この国際競争の激化を明確に示しています。

アルテミス計画の進展と月面基地戦略への転換

米国が主導する国際月探査プロジェクト「アルテミス計画」は、2026年4月11日(日本時間)に、有人月飛行ミッション「アルテミスII」のクルーを乗せたオリオン宇宙船が地球への帰還に成功し、大きな節目を迎えました。オリオン宇宙船は米カリフォルニア州沖の太平洋に着水し、4人の宇宙飛行士は無事に救出されました。

このミッションでは、4月6日(米国中部時間)にオリオン宇宙船が地球から約40万kmの距離に到達し、1970年のアポロ13号が樹立した有人宇宙飛行の最遠距離記録を約56年ぶりに更新しました。 宇宙飛行士たちは、月の裏側の地形を直接観測し、地球の出や日食を撮影するなど、貴重な科学的データを収集しました。

NASAは、月周回軌道上の宇宙ステーション「ゲートウェイ」計画から、月面基地建設へと戦略を大きく転換しています。 2026年3月24日、NASAはゲートウェイ計画を一時停止し、今後7年間で約200億ドル(約3兆円)を投じて月面基地を造成すると発表しました。 この新たな計画では、2028年までに有人月面着陸を2回実施し、その後も毎年1回のペースで有人月面着陸を可能にすることを目指しています。 月面基地の建設は3段階で進められ、最終的には人類が月に持続的に滞在できる常設拠点の確立を目標としています。

中国の月探査計画「嫦娥7号」と国際月科学研究ステーション

一方、中国も月探査計画「嫦娥計画」を着実に推進しており、米国との国際競争を激化させています。2026年下半期には、月探査機「嫦娥7号」の打ち上げが予定されています。

嫦娥7号ミッションの目的は、月の南極地域の環境・資源調査、特に水氷の探査です。 月の南極には太陽光が全く届かない「永久影」と呼ばれる極低温の場所があり、水が氷の状態で存在している可能性が高いとされています。 嫦娥7号は、周回機、着陸機、ローバー、そして永久影のクレーターに進入できる小型ホッピング探査機を組み合わせた多層的な探査方式を採用し、水氷の存在を精密に確認する計画です。

最新情報として、4月9日夜までに嫦娥7号ミッションを担う月探査機が空路と陸路で海南省の文昌宇宙発射場に無事到着し、打ち上げ前の各種試験および準備作業が進められています。

中国はまた、ロシアなどと共同で「国際月科学研究ステーション(ILRS)」の構想を推進しており、2035年までに基本型を完成させることを目指しています。 これは、アルテミス計画に対抗する独自の多国間枠組みを形成し、月面における主導権獲得を狙う動きと見られています。

民間企業の参入と月面インフラ構築の加速

月面開発競争において、民間企業の役割も急速に拡大しています。日本のispaceと清水建設は、2026年4月15日に「シスルナ空間におけるインフラアーキテクチャ構築に向けた計画検討に関する基本合意書(MOU)」を締結しました。 両社は月面データセンターの建設検討を主軸に、月面活動を支える通信、エッジコンピューティング、データ管理などの機能整備を共同で進める方針です。

また、ispaceの米国法人であるispace-U.S.は、本日2026年4月16日、米国の宇宙産業を代表する商業宇宙連盟(CSF)のボード・メンバーに就任したことを発表しました。 今後はボード・メンバーとして、CSFの戦略的優先事項の策定や政策提言活動において、より大きな役割を果たすことになります。

月面資源の利用は、月での持続的な活動に不可欠です。月の南極に存在する水氷は、飲み水や酸素、ロケット燃料となる水素の生成に利用できると期待されています。 また、月面で金属資源を現地調達する技術の開発も進められており、これらの資源活用が月面インフラ構築の鍵となります。民間企業の技術力と資金が、国家主導の計画と連携することで、月面開発は新たな段階へと移行しつつあります。

Reference / エビデンス