リチウム・コバルトの確保と供給網リスク:2026年04月16日時点の最新動向

EVバッテリーやエネルギー貯蔵システムに不可欠なリチウムとコバルトは、その供給の安定性が世界経済の重要な課題となっています。本稿は、2026年04月16日時点の最新情報に基づき、両資源の価格動向、需給バランス、主要国の戦略、および地政学的な供給網リスクを構造化し、多角的な視点から分析します。

リチウム市場の動向と価格変動

2026年04月14日時点のリチウム価格は、炭酸リチウム(99.5%)が1トンあたり109,500.00 CNYを記録しました。前日比では0.00%の変動でしたが、月間では-0.45%の減少、年間では-43.75%の大幅な下落を示しています。しかし、中国市場では4月に入りリチウム価格が年初来で40%上昇するなど、回復の兆しを見せています。この上昇は、エネルギー貯蔵需要の急増とEV市場の回復が主な要因とされています。中長期的な需給見通しでは、エネルギー貯蔵需要の急増に加え、EV市場の回復により世界のリチウム需要が25%増加すると予測されており、需給関係はややタイトになる見通しです。

コバルト市場の動向と供給安定性

2026年04月13日時点のコバルト価格は、1トンあたり27,000.00米ドルで推移しており、年間変動率は-10.00%となっています。Trading Economicsの予測では、今四半期末には26,930.00米ドル、12ヶ月後には25,480.00米ドルに下落すると見込まれています。2026年3月のコバルト市場は、需要の低迷により価格は下落したものの、高水準で安定し、狭い変動幅で推移しました。コバルト供給の大部分を占めるコンゴ民主共和国(DRC)における生産割当や地政学的要因は、引き続き供給安定性に大きな影響を与えています。中長期的には、EVバッテリー需要の増加に伴い、コバルトの供給逼迫が懸念されており、2026年から2033年にかけて金属コバルト市場は年平均成長率(CAGR)12.2%で成長すると予測されています。

EVバッテリー市場の成長と原材料供給リスク

電気自動車(EV)用バッテリー市場は、2035年までに5399億1000万米ドル規模に拡大すると予測されており、2026年から2035年までの年平均成長率(CAGR)は21.18%に達する見込みです。しかし、この急速な成長を阻害する要因として、リチウム、コバルト、ニッケルといった主要原材料の不足が懸念されています。特に、リチウムイオンバッテリー供給において中国が支配的な立場にあることは、世界のサプライチェーンに不安定性をもたらしています。さらに、パンデミックや地政学的な問題がサプライチェーンの遅延を引き起こし、原材料の安定供給を一層困難にしています。

主要国の供給網確保戦略と地政学的競争

米国と欧州は、鉱物資源安全保障パートナーシップ(MSP)を通じて、中国への依存度を低減し、代替サプライチェーンの構築を積極的に進めています。2026年2月には、米国国務省が初の重要鉱物閣僚会合を開催し、供給網の多様化に向けた国際協力の強化を打ち出しました。一方、中国はアフリカ諸国との関係を強化しており、2026年5月1日からアフリカ53カ国に対しゼロ関税措置を施行し、アフリカの重要鉱物供給網における影響力をさらに高める動きを見せています。国内では、経済産業省が2026年04月15日に「製造基盤強化レポート」を公表し、地政学リスクを踏まえた製造基盤強化の方向性を示しました。

中国のEVバッテリーリサイクル規制とサプライチェーンへの影響

中国では、2026年04月01日に「新エネルギー車(NEV)動力蓄電池回収利用管理暫定措置」が施行されました。この規制の目的は、EVバッテリーの「完全なる追跡網」を構築することにあります。主要な骨子としては、トレーサビリティの徹底、個別識別コードの義務化、車両とバッテリーの密着、そして製造・輸入業者に対する回収拠点設置義務が挙げられます。2030年までに年間100万トン規模に膨れ上がると予測される退役バッテリーの管理は、世界のサプライチェーンに構造的な転換をもたらすと考えられています。この規制は、原材料の安定供給だけでなく、環境負荷低減の観点からも、今後のEVバッテリー産業に大きな影響を与えるでしょう。

Reference / エビデンス