グローバル:国際決済網からの「ドル排除」の物理的進捗度

2026年4月13日現在、国際決済網におけるドル依存度を低減させる動きは、SWIFTの技術的進化、BRICS諸国による代替決済システムの構築、および中央銀行デジタル通貨(CBDC)の国際決済への応用という複数の側面から物理的な進展を見せています。特に、SWIFTのブロックチェーン技術導入やISO 20022への移行、BRICSの共通決済システム「BRICS Pay」の開発、そして各国CBDCの相互運用性への取り組みが顕著です。これらの動きは、国際金融秩序の多極化を加速させる可能性を秘めています。

SWIFTの進化と代替決済システムの台頭

国際決済の基盤であるSWIFTは、2026年に向けて、決済の効率化と透明性向上を目指し、新たなサービスや技術導入を加速させています。2026年11月には、国際決済メッセージングのグローバル標準であるISO 20022への完全移行が予定されており、これにより非構造化された住所情報を含む決済はサポートされなくなります。この移行は、より構造化されたデータによる決済処理の精度向上、監視強化、自動化レベルの向上を目的としています。

また、SWIFTは2026年上半期にMVP(最小実行可能製品)が提供される「Swift Payments Scheme」を立ち上げます。これは、消費者および中小企業向けの国際決済をより迅速、予測可能、かつ透明性の高いものにすることを目指し、40以上の銀行と協力して開発されました。

さらに、SWIFTはブロックチェーン技術を基盤とした「共有元帳(Shared Ledger)」プロジェクトを推進しており、2026年内に実取引を開始する目標を掲げています。このプロジェクトは、トークン化された銀行預金間の相互運用性を可能にし、24時間365日のクロスボーダー決済を促進することを目的としています。2025年9月に発表されて以来、40以上の金融機関が設計段階に参加し、2026年3月30日にはMVPの構築段階に入ったことが報じられています。

一方で、XRPがSWIFTの代替ではなく「世界の裏側の基盤」になり始めているという分析も2026年4月11日時点で示されています。XRPは、SWIFTの流動性層の非効率性を解消するため、事前資金調達された口座の必要性を排除するオンデマンド流動性(ODL)を利用しています。リップル社のCEOであるブラッド・ガーリングハウス氏は、XRPがSWIFTの流動性ボリュームの最大14%を5年以内に獲得する可能性があると述べています。

BRICS諸国の脱ドル化戦略と決済インフラの構築

BRICS諸国は、国際決済におけるドル依存度を低減させるため、具体的な脱ドル化戦略を推進しています。2025年7月のBRICS首脳会合では、共通決済システム「BRICS Pay」の開発進展が議論されました。BRICS Payは、加盟国のデジタル通貨を相互接続し、SWIFTに代わる選択肢を提供し、米ドルへの依存を減らすことを目指しています。

BRICS共通通貨の導入に向けたタイムラインも進展しており、アナリストは2026年の導入を視野に入れていると指摘しています。しかし、一部の報道では、2026年のタイムラインは非現実的であり、BRICS Payの本格運用は2030年を目標としているとの見方もあります。

既存の国家CBDC(インドのデジタルルピー、中国のデジタル人民元、ロシアのデジタルルーブル)を相互運用可能なインフラを通じて連携させる計画も進んでいます。インド準備銀行は2026年のBRICSサミットで、BRICS諸国間のCBDC相互運用性を探る提案を行う予定です。これは、貿易決済や旅行関連の支払いをより迅速、安価、効率的にすることを目的としています。

具体的な脱ドル化の動きとして、ブラジルは2024年10月から2025年10月にかけて611億ドル相当の米国債を売却し、金準備を積み増しています。また、中国の国際決済システムCIPS(Cross-border Interbank Payment System)は、2026年2月に多通貨決済に対応し、ドル以外の通貨での国際取引をさらに促進しています。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)の国際決済への影響

各国の中央銀行が推進するCBDCの開発は、国際決済網のドル排除に大きな影響を与え始めています。中国のデジタル人民元(e-CNY)は、2026年1月1日から利息付与を開始しました。これにより、e-CNYは単なる現金のような手段から、デジタル預金に近い形態へと移行し、利用者の採用を促進すると期待されています。2025年11月末までに、デジタル人民元は34.8億件の取引を処理し、総額16.7兆元(約2.37兆米ドル)に達しています。

欧州中央銀行(ECB)は、2025年10月にデジタルユーロの発行方針を示し、2029年の導入を目指しています。ECBは、デジタルユーロが商業銀行預金を枯渇させる可能性や、金融ストレス時の取り付け騒ぎを引き起こす可能性を懸念し、利息を付与しない方針を示しています。

国際決済銀行(BIS)が主導する「Project Agorá」は、トークン化された中央銀行マネーと商業銀行預金の即時決済メカニズムの開発を進めています。このプロジェクトは、7つの中央銀行(ユーロシステムを代表するフランス銀行、日本銀行、韓国銀行、メキシコ銀行、スイス国立銀行、イングランド銀行、ニューヨーク連邦準備銀行)と多数の民間金融機関が参加する官民パートナーシップであり、卸売クロスボーダー決済の効率性向上、コスト削減、透明性強化を目指しています。

日本銀行は、CBDCに関する実証実験を継続していますが、その姿勢は慎重です。2026年3月12日時点の連絡協議会議事要旨などからも、日本銀行は「現時点ではCBDCを発行する計画はない」としつつも、将来的な環境変化に適切に対応できるよう準備を進める方針を示しています。2026年3月1日には、日本銀行が一部の準備金をブロックチェーン上でトークン化する作業を開始したと報じられており、卸売CBDCの導入を検討しています。

国際準備通貨としてのドルの地位と脱ドル化の兆候

国際準備通貨としてのドルの地位に揺らぎが生じている兆候が、2026年4月13日現在、顕著になっています。特に、2026年4月7日時点で、中央銀行の外貨準備において金が米国債を価値ベースで逆転し、金が24%、米国債が21%を占めるという「歴史的転換点」を迎えました。これは、世界的な「脱ドル化」と金の再評価を示唆するものです。

また、トランプ政権下でのFRBへの政治介入の可能性も、ドルの信認低下に繋がりうると2026年1月時点で分析されています。FRBの独立性はドルの基軸通貨としての地位を支える重要な要素であり、政治的介入はドルの信頼性を損ない、インフレ上昇や通貨安を引き起こすリスクがあります。

投機筋のドルネットポジションの動向も注目されており、2026年3月31日終了時点では約7.7万枚の買い超となっています。これは、原油価格の動向と投機筋の動きがドル相場を主導していることを示唆しています。

Reference / エビデンス