米連邦準備制度(Fed)の利下げ開始時期、インフレと地政学リスクで再修正の動き

2026年4月13日、米連邦準備制度(Fed)の利下げ開始時期に関する市場および連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の見通しは、高止まりするインフレ圧力と中東情勢に起因する地政学リスクの高まりにより、大幅に後ずれ、あるいは利下げ回数の減少方向へと再修正されています。特にエネルギー価格の上昇がインフレ見通しを押し上げ、Fedの金融政策スタンスに影響を与えています。

現在のFedの金融政策スタンスと直近のFOMC決定

米連邦準備制度(Fed)は、2026年3月17日から18日に開催されたFOMC会合において、政策金利であるフェデラルファンド金利を3.50%~3.75%で据え置くことを決定しました。これは2会合連続の据え置きであり、2025年後半に実施された利下げからの転換点として位置づけられています。Fedは、インフレ率を目標の2%に戻すことにコミットしつつも、経済データが目標達成に向けて十分な進展を示しているかについて、慎重な姿勢を維持しています。4月8日に公開された3月FOMC議事要旨では、複数の参加者が、インフレが目標に向かって持続的に低下しているという確信を得るまでには、より多くの証拠が必要であるとの見解を示しました。

インフレ圧力と経済指標の動向

Fedは3月のFOMC声明で、インフレが「幾分高止まったまま」であるとの認識を示しました。2026年のインフレ見通しは上方修正され、個人消費支出(PCE)インフレ率は2.7%に、コアPCEも2.7%に引き上げられました。特に、原油価格の高騰が消費者エネルギー価格に与える影響は大きく、これが短期的なインフレ期待を押し上げています。3月の消費者期待調査では、短期インフレ期待が3.4%に上昇し、ガソリン価格上昇期待は2022年3月以来の高水準を記録しました。労働市場は依然として安定しているものの、雇用者数の伸びには鈍化が見られます。3月の非農業部門雇用者数は17.8万人増にとどまり、失業率は4.3%となりました。

利下げ期待の再修正と市場・FOMC参加者の見通し

2026年4月13日現在、市場とFOMC参加者の利下げ開始時期に関する見通しは大きく変化しています。CME FedWatchツールによると、3月31日時点で2026年12月のFOMCで政策金利を維持する確率が約57%と最も有力な見方となっています。また、4月9日時点では、先物市場が2026年の利下げがゼロとなる可能性を78%と見ています。JPMorganは4月6日時点で、2026年中の利下げはゼロであり、2027年第3四半期に25bpsの利上げの可能性さえ予測しています。野村證券は4月10日に利下げ時期の見通しを9月と12月に計2回と修正しました(従来は6月と9月)。一部のFOMC参加者は利下げ時期を将来に先送りし、2026年に2回以上の利下げを想定する参加者が減少していることが強調されています。

地政学リスクと今後の金融政策への影響

中東情勢の悪化は、米国経済に不確実性をもたらす要因として、3月のFOMC声明でも言及されました。この地政学リスクは、エネルギー価格を押し上げ、インフレの持続性を高める可能性を秘めています。実際、原油価格は2月末の70ドル台から3月末には118ドル以上に上昇しました。アトランタ連銀のGDPNowモデルは4月7日、2026年第1四半期の米GDP予想を1.3%へ下方修正しており、地政学リスクが経済成長とインフレの両面から利下げ開始時期をさらに不透明にしている状況が浮き彫りになっています。

Reference / エビデンス