東アジア:南シナ海における領有権紛争とASEAN内の亀裂

2026年4月13日、南シナ海における領有権紛争は、中国の一方的な海洋進出と、これに対抗するフィリピンを中心としたASEAN諸国の動きにより、依然として高い緊張状態が続いています。特にフィリピンは、米国や日本との連携を強化し、中国の威圧的行動に対抗する姿勢を明確にしています。一方で、ASEAN域内では、中国との関係性や行動規範(COC)の法的拘束力に関する意見の相違から、内部の亀裂が顕在化しており、地域安全保障の複雑さを一層深めています。

中国の威圧的行動とフィリピンの対抗戦略

南シナ海では、中国による威圧的行動が常態化しています。2026年4月12日には、中国が「捷龍3号」ロケットを用いて衛星インターネット技術試験衛星を南シナ海から海上打ち上げに成功したと報じられました。これは、中国が南シナ海を自国の活動領域として積極的に利用していることを示すものです。また、2026年4月上旬には、中国海警局の船舶がフィリピンの航空機に対し照明弾を発射する事件が発生するなど、偶発的な衝突のリスクが高まっています。

これに対し、フィリピンは具体的な対抗措置を講じています。2026年4月2日には、南沙諸島(スプラトリー諸島)の一部を「西フィリピン海」と改名し、主権強化の姿勢を明確にしました。 また、中東情勢に起因するエネルギー危機を受け、フィリピンは対中関係を「微妙」に調整しつつも、南シナ海における石油・ガス共同探査活動について国民に安心感を与える説明を行っています。 フィリピンは、米国との同盟強化に加え、日本や欧州諸国との連携を通じて、中国の海洋進出に対峙する構えを見せています。

ASEANの行動規範(COC)交渉と内部の亀裂

ASEANと中国は、南シナ海における行動規範(COC)の策定交渉を続けており、2026年中の交渉完了を目指す動きがあります。 しかし、COCの法的拘束力の範囲や、中国が自国の主張を譲らない姿勢が交渉を停滞させる主要因となっています。 2026年のASEAN議長国であるフィリピンは、COCの策定を優先課題として掲げ、実効性のある規範の実現を強く求めています。

しかし、ASEAN内部では、中国への対応に関して立場の違いが顕著であり、これが亀裂を生じさせています。フィリピンやベトナムは、中国の海洋進出に対して強硬な姿勢を取る傾向がある一方で、ラオスやカンボジアといった一部の国は、中国との経済的・政治的関係を重視し、より融和的な姿勢を示しています。 このような内部の意見対立は、ASEANが南シナ海問題において統一した外交的立場を確立することを困難にしています。

地域安全保障と国際社会の関与

南シナ海問題は、東アジア全体の安全保障に深刻な影響を与えています。この地域の不安定化は、主要な国際航路の安全を脅かし、世界の貿易にも影響を及ぼす可能性があります。これに対し、米国、日本、オーストラリアなどの国際社会は、地域の安定化に向けた関与を強めています。フィリピンは、米国との同盟を強化し、日本や欧州諸国との連携を通じて、多国間協力の重要性を強調しています。 例えば、米国はフィリピンとの合同軍事演習を継続的に実施し、地域の抑止力強化に貢献しています。

また、2026年4月11日には、南シナ海で異常な二重台風が発生しました。 このような自然現象は、直接的な安全保障問題とは異なるものの、災害対応や人道支援の必要性を高め、地域の安全保障環境に間接的な影響を与える可能性があります。気候変動による自然災害の増加は、各国の資源を圧迫し、既存の紛争解決メカニズムに新たな課題を突きつけることになります。

Reference / エビデンス