グローバルサウス:主要新興国の多角外交と政治的自律性

地政学的競争の激化と国際秩序の揺らぎの中、グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国がその政治的・経済的影響力を増大させています。これは伝統的な国際関係の枠組みを変化させ、多角的な外交戦略と自律性の追求を促しています。特に、BRICSの拡大や日本を含む先進国との連携強化、経済安全保障、グリーン投資といった分野での動向は、今後の国際社会の安定と発展を占う上で極めて重要です。

グローバルサウスの台頭と国際秩序の変容

グローバルサウスの台頭は、国際秩序に顕著な変容をもたらしています。FNNプライムオンラインが2026年4月10日に報じたように、「『欧米』という枠組みは過去のものに」という論調が強まっており、トランプ大統領のNATO離脱論は「アメリカと欧州は一心同体ではない」という認識を浮き彫りにしています。同日発表された外務省の「令和8年版外交青書」でも、グローバルサウスの台頭が国際社会の多極化を加速させていることが明確に言及されています。

データ・マックスは2026年4月9日、イラン戦争後の世界の見取り図を分析し、多極化が加速している現状を指摘しました。このような状況下で、伝統的な国際関係の枠組みは変化し、各国が自律性を追求する動きが活発化しています。2026年4月11日には、日本と南部アフリカ開発共同体(SADC)の間で協力覚書が締結されたことが報じられ、アフリカ地域との連携強化に向けた具体的な一歩が示されました。

一方、G7は重大な試練に直面しています。世界の援助が減少する中で、2026年のG7サミットを前に、G7諸国は新たな課題への対応を迫られています。特に、金融・デジタル分野における優先事項の調整は喫緊の課題となっています。

BRICSの拡大と多角外交の深化

BRICSの拡大は、グローバルサウスの多角外交を一層深化させています。2026年にはインドが議長国を務める第18回BRICSサミットが開催される予定であり、その準備が着々と進められています。主要テーマとして「強靭性(Resilience)」「イノベーション(Innovation)」「協力(Cooperation)」「持続可能性(Sustainability)」が掲げられており、多国間主義と経済発展におけるBRICSの役割の増大が期待されています。

2026年4月7日には、TV BRICSがインドでの金磚国家高層フォーラムの開催を報じました。これは、2026年の議長国任期開始を記念して開催された初の金磚協調人会議の一環であり、多国間主義と経済発展におけるBRICSの役割の増大を明確に示しています。BRICSは、その拡大を通じて、国際社会におけるグローバルサウスの発言力をさらに高め、より多極的な国際秩序の形成に貢献していくと見られています。

日本とグローバルサウスの連携戦略

日本は、グローバルサウスとの連携を強化するための具体的な戦略と取り組みを推進しています。経済産業省が推進する「グローバルサウス未来志向型共創等事業」は、社会課題解決と経済成長への貢献を目指すものです。

その採択事例として、2026年4月10日にはIHIがPETRONASおよびGentariと共同でアンモニア専焼ガスタービンの実証協力契約を締結したことが発表されました。また、2026年4月8日にはメタウォーターがカンボジア王国でデジタル制御型セラミック膜ろ過による浄水供給ビジネス創出調査事業が採択されたと報じられました。さらに、2026年4月6日にはFUSOグループHDがフィジー共和国の離島リゾート宿泊施設等における再生水の活用促進実証が採択されたことが明らかになっています。これらの取り組みは、日本の技術とノウハウを活かし、グローバルサウスが抱える環境・社会課題の解決に貢献するものです。

外交面では、2026年4月2日の公明新聞電子版プラスが、日本の外交戦略におけるグローバルサウスへのアプローチの必要性を強調しました。また、2026年4月6日には、マクロン仏大統領が来日し、高市総理との会談で日仏のさらなる連携深化を確認し、重要鉱物やモビリティー、エネルギー、宇宙分野での協力強化を提唱しました。これは、グローバルサウスとの連携において、先進国間での協力も不可欠であることを示唆しています。外務省は2026年1月23日に開催された業務説明会で、ODA(政府開発援助)とOSA(政府安全保障能力強化支援)を組み合わせた「ODA×OSAクロストーク」を実施し、グローバルサウス連携のための戦略的ツールとしての活用を議論しました。

経済安全保障とグリーン投資の動向

グローバルサウスにおける経済安全保障とグリーン投資の動向は、国際経済の安定に不可欠な要素となっています。2026年3月27日にXinhua Silk Roadが報じた「2026年グローバルサウス金融フォーラム」では、「コンセンサスから行動へ」をスローガンに、グローバルサウスが国際的なグリーン資本の流れを牽引する役割を果たすことが強調されました。これは、気候変動対策と持続可能な開発において、グローバルサウスが主導的な役割を担う可能性を示唆しています。

経済安全保障の観点からは、グローバルサウスが持つ重要性が高まっています。2026年4月8日のジェトロの記事は、アフリカの重要鉱物を巡る米中対立が表面化しており、各国・地域がサプライチェーンの強化と自律性向上に向けた戦略を模索している現状を報じました。特に、ザンビア、DRC(コンゴ民主共和国)、ジンバブエといった国々が持つ重要鉱物は、世界の産業サプライチェーンにとって不可欠であり、その安定供給は経済安全保障上の大きな課題です。

また、2026年4月10日のジェトロの記事は、中東情勢の悪化がホルムズ海峡に与える影響と、それが世界の供給網に及ぼすリスクについて警鐘を鳴らしました。このような地政学的リスクは、グローバルサウスの安定が世界の経済安全保障に直結することを改めて浮き彫りにしています。グローバルサウスは、単なる経済成長のフロンティアとしてだけでなく、国際的なサプライチェーンの安定とグリーン経済への移行を支える上で、戦略的に極めて重要な存在となっています。

Reference / エビデンス