グローバルサウス:非米ドル決済網の構築と通貨の多極化の現状と展望

2026年4月11日現在、グローバルサウス諸国は、米ドルへの依存度を低減させ、自国通貨や代替決済システムを活用した通貨の多極化を急速に推進しています。BRICSの拡大、新たな決済システムの導入、中国のCIPSの多通貨対応、そして地政学的な緊張が、この動きを強力に後押ししています。本稿では、これらの最新動向を詳細に分析し、非米ドル決済網の構築と通貨多極化の進展、および関連する課題と日本の対応について客観的な視点から解説します。

BRICSとグローバルサウスにおける脱ドル化の加速

2026年4月11日現在、BRICS諸国およびグローバルサウス全体で、米ドルからの脱却、すなわち「脱ドル化」の動きが加速しています。BRICSは2026年に拡大し、世界のGDPの35%以上、そして人口の45%を代表するまでに成長しました。このブロックは、共通通貨の設立よりも、決済チャネルの多様化と通貨主権の強化に焦点を当てています。例えば、2026年のBRICSサミットでは、この決済チャネルの多様化が主要な議題の一つとなる見込みであり、ブラジルのルラ大統領もこの方向性を支持する発言をしています。このような動きを背景に、米ドルの世界の外貨準備高に占める割合は、2025年12月末時点で56.77%にまで低下しました。これは前期比で0.16%ポイントの減少であり、米ドルの基軸通貨としての地位が徐々に揺らぎつつある現状を示しています。

非米ドル決済網の具体的な進展

非米ドル決済網の構築は、具体的な形で着実に進展しています。中国の国際決済システムであるCIPS(Cross-border Interbank Payment System)は、2026年2月に多通貨対応へと拡張され、その利用範囲を広げています。 また、BRICS諸国は、2026年2月17日にブラジルで新しい決済システム「DCMS(Decentralized Multilateral Clearing System)」を導入しました。これはブラジルの即時決済システム「Pix」の技術を基盤としており、BRICS域内での現地通貨決済を促進する役割が期待されています。 地政学的な動きも脱ドル化を後押ししています。2026年3月中旬以降、イランはホルムズ海峡の通航料を人民元または暗号資産で徴収する方針を打ち出しました。これは1バレルあたり少なくとも1ドルとされており、3月13日から24日までの間に26隻の船舶が利用し、少なくとも2隻が人民元で支払ったと報じられています。 さらに、インドとアラブ首長国連邦(UAE)は、2023年8月に現地通貨決済(LCS)メカニズムを用いた原油取引を成功させており、非米ドルでの貿易決済の実現可能性を示しました。 ロシアの国内決済システム「Mir」も成長を続けており、2023年第4四半期末までに2億8700万枚以上のカードが発行されるなど、その利用が拡大しています。

通貨多極化を巡る国際情勢と日本の対応

通貨多極化を巡る国際情勢は緊迫しており、日本もその影響を注視し、対応を進めています。2026年4月上旬には、日本の海運会社の船舶が、イランによる事実上の航行制限下にあったホルムズ海峡を通過する事例が発生しました。これは、日本関係船舶がこの状況下で初めて脱出したケースとして注目されています。 また、2026年4月13日からは、ワシントンD.C.でIMF・世界銀行会合が開催されます。190カ国超が参加するこの会議は、「通貨リセット」の最終舞台となる可能性も指摘されており、国際金融秩序の大きな転換点となるかもしれません。 日本政府も、グローバルサウス諸国との連携強化を図っています。経済産業省は、2026年4月8日に「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(大型実証、小規模実証・FS事業)」のFAQを差し替えるなど、公募を継続しています。この補助金制度では、大型実証事業に対して最大40億円の補助上限が設定されており、グローバルサウス諸国との経済協力や新たなビジネスモデルの構築を支援する日本の取り組みが活発化しています。

Reference / エビデンス