グローバル:国際法人税ルールの策定と多国籍企業の動向(2026年04月11日時点)
2026年4月11日、国際法人税ルールの策定は新たな段階を迎え、多国籍企業は複雑化する税務環境への対応を迫られています。特にOECD/G20が主導するグローバル・ミニマム課税(Pillar Two)の導入は、各国での法制化が進み、企業の実務に大きな影響を与えています。本稿では、最新の動向を基に、各国政府やOECDの発表、そして企業が直面する課題を詳細に報じます。
日本におけるグローバル・ミニマム課税の最新動向と法制化
日本においては、グローバル・ミニマム課税に関する法整備が着実に進められています。2026年4月6日、国税庁は「令和7年度税制改正に伴うグローバル・ミニマム課税に関する法人税基本通達の一部改正の趣旨説明」を公表しました。これは、多国籍企業が新たな課税ルールに円滑に対応できるよう、具体的な解釈と適用方針を示すものです。
日本におけるPillar Twoの法制化は、2023年度税制改正において既に整備されており、2024年度および2025年度においても追加の法整備が行われています。これにより、日本は国際的な税制調和の動きに積極的に対応し、国内企業が直面する国際課税の課題に対処するための枠組みを強化しています。
OECD/G20 BEPS包摂的枠組みにおける「Side-by-Side Package」の合意と影響
国際的な税制改革を主導するOECDは、2026年1月5日にPillar Twoグローバル・ミニマム課税ルールに基づく新たな執行ガイダンスパッケージ「Side-by-Side Package」を発表しました。このパッケージは、多国籍企業が直面する実務上の複雑さを軽減することを目的としており、以下の主要なセーフハーバーが含まれています。
具体的には、恒久的な簡易実効税率(ETR)セーフハーバー、移行期間国別報告(CbCR)セーフハーバーの1年延長、実質ベースインセンティブ(税恩典)セーフハーバー、適格国に係るSide-by-Side(SbS)セーフハーバー、および最終親事業体(UPE)セーフハーバーが盛り込まれています。特に、適格国に係るSide-by-Side(SbS)セーフハーバーにおいては、米国が唯一の適格国とされています。OECDは、このパッケージの内容について、2026年1月13日に技術ウェビナーを開催し、詳細な説明を行いました。
各国におけるPillar Two導入と実務対応の進展
Pillar Twoの導入は世界各国で進展しており、具体的な法制化やガイダンスの公表が相次いでいます。2026年4月8日には、ドイツがPillar Two適格管轄区域のリストを含む草案規則を発行しました。また、トルコはPillar Two税務申告書の草案を公表し、イタリア税務当局はGloBE申告書提出のための詳細な技術仕様を承認する命令を発行しています。さらに、2026年4月3日にはリヒテンシュタインがPillar Two規則の改正を制定しました。
税収面では、2026年3月11日に英国歳入関税庁(HMRC)が発表した2024-25年度の移転価格および迂回利益税に関する統計が注目されます。この統計によると、移転価格による税収は33億8,700万ポンドに達し、前年度からほぼ倍増しています。これは、国際的な税務コンプライアンス強化の動きが、各国の税収に具体的な影響を与えていることを示しています。
多国籍企業への影響と今後の課題
グローバル・ミニマム課税の導入は、多国籍企業に多大な影響を与えています。特に、コンプライアンスの複雑化と事務負担の増大は避けられない課題です。多くの企業にとって、2026年3月期の決算業務や法人税申告書作成業務とGloBE情報申告書の提出期限が重複する可能性があり、限られたリソースの中で効率的な対応が求められます。
また、各国で導入が進むQDMTT(適格国内ミニマムトップアップ税)の申告手続きには差異があり、多国籍企業は各国の具体的な要件を把握し、適切に対応する必要があります。OECDは、双軌制度の実施効果を検証するため、2029年までにその影響を評価する計画を立てており、今後の国際税制の方向性を注視していく必要があります。
Reference / エビデンス
- グローバル・ミニマム課税に伴う通達の趣旨説明を公表
- Global Anti-Base Erosion Model Rules (Pillar Two) - OECD
- 2026(R8)年度税制改正:グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置 - Deloitte
- 日系企業がグローバル・ミニマム課税の 対応を進めるにあたり特に重要となる論点
- グローバル・ミニマム課税に係る実務対応ガイド | PwC Japanグループ
- Global Anti-Base Erosion Model Rules (Pillar Two) - OECD
- Pillar Two Country Tracker - PwC
- Global minimum tax: Understanding the Side-by-Side package - OECD
- OECD发布支柱二并行安排方案,五大安全港破解全球最低税实操困境 - 新浪财经
- OECD發布Pillar Two雙軌制配套措施| 勤業眾信 - Deloitte
- ベッセント米財務長官、在米企業のグローバル・ミニマム課税適用外を歓迎する声明発表(米国)
- Worldwide Tax Summary 2026年2月号 - PwC
- oecdpillars.com – Independent Insights and Analysis on the OECD Two Pillars Solution
- 英国歳入関税庁、移転価格および迂回利益税に関する年次統計を発表 - EY
- 國際稅務新知
- 日系企業がグローバル・ミニマム課税の 対応を進めるにあたり特に重要となる論点
- OECD發布Pillar Two雙軌制配套措施| 勤業眾信 - Deloitte
- Pillar Two Country Tracker - PwC