グローバルサウスにおける重要鉱物資源の権益争奪と国家間の連携:2026年4月9日時点の最新動向

2026年4月9日、世界は電気自動車(EV)や再生可能エネルギー技術の急速な普及に伴い、重要鉱物資源を巡る新たな地政学的競争の時代を迎えている。特に、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国地域は、これらの資源の主要な供給源として、その戦略的価値を飛躍的に高めている。各国は安定的なサプライチェーンの確保を目指し、権益争奪戦を繰り広げるとともに、新たな連携戦略を模索している。

重要鉱物資源の戦略的価値の高まりとグローバルサウスの役割

電気自動車(EV)や再生可能エネルギー技術の普及は、リチウム、コバルト、ニッケルといった重要鉱物資源の需要を劇的に押し上げている。2026年4月6日に発表された電池用鉱物市場の予測では、今後もその需要が拡大し続ける見通しが示されており、市場規模は2025年の209億ドルから2032年には600億ドルに達すると予測されている。このような需要増を背景に、グローバルサウス諸国は、これらの資源の豊富な埋蔵量を持ち、世界の供給において不可欠な役割を担っている。

国連は2026年3月5日、重要鉱物資源を巡る国際競争において公平性を確保するよう国際社会に呼びかけた。これは、資源を巡る地政学的な緊張が高まる中で、グローバルサウス諸国の開発と利益を保護し、持続可能な資源管理を促進することの重要性を示唆している。重要鉱物資源の安定供給は、各国の経済安全保障の根幹をなす要素となっており、グローバルサウスの動向が世界の産業構造に与える影響は計り知れない。

主要国による権益争奪とサプライチェーン再編の動き

グローバルサウス地域、特にアフリカでは、重要鉱物資源の権益を巡る主要国間の争奪戦が激化している。2026年4月8日には、アフリカの重要鉱物を巡る米中対立が表面化したと報じられた。米国は、中国が長年築き上げてきたアフリカにおける鉱物資源の支配に対抗するため、新たな戦略を展開している。

米国は2026年4月7日、50カ国以上を結集した重要鉱物同盟の構築に向けた動きを加速させている。これは、中国への依存度を低減し、より多様で強靱なサプライチェーンを構築することを目的としている。その具体的な動きとして、米国は2026年3月4日に「2026年重要鉱物閣僚会合」を開催し、重要鉱物市場の再構築に向けた国際協力を呼びかけた。さらに、2026年3月18日には「重要鉱物サプライチェーン強靱性のための日米アクションプラン」が発出され、日米両国が連携してサプライチェーンの安定化を図る姿勢を明確にしている。

欧州諸国もまた、アフリカ諸国との連携を強化し、重要鉱物資源の確保に乗り出している。日本もまた、後述するように米国やオーストラリアなどと連携し、サプライチェーンの多角化と強靱化を進めている状況だ。

グローバルサウス諸国の国内付加価値化と連携強化

グローバルサウス諸国は、未加工の鉱物資源の輸出に留まらず、現地での加工・付加価値化を通じて経済的利益を最大化しようとする動きを強めている。その代表例がインドネシアである。2026年4月7日には、インドネシアのニッケル供給管理が価格上昇に繋がっていると報じられた。インドネシア政府は2026年2月10日、ニッケル鉱石の割当量を削減すると発表しており、これが世界市場におけるニッケル価格の高騰を招いている。住友金属鉱山は2026年4月2日、2026年の世界のニッケル需給について、17万3000トンの供給過剰となるものの、インドネシアの増産ペース鈍化により余剰幅は縮小すると予測している。

アフリカ諸国においても、国内での精錬や加工施設の建設を通じて、鉱物資源から得られる収益を増やす取り組みが進められている。中国や湾岸協力会議(GCC)諸国は、単に鉱山権益を取得するだけでなく、現地での加工・精製まで含めた包括的な関与を深めており、グローバルサウス諸国の付加価値化の動きを後押ししている側面もある。このような動きは、グローバルサウス諸国が資源ナショナリズムを強め、自国の経済発展に資する形で資源を活用しようとする明確な意思の表れと言える。

日本および他国との連携戦略

日本は、重要鉱物資源の安定供給確保とサプライチェーンの強靱化に向け、グローバルサウス諸国との連携を強化している。経済産業省は2026年4月9日、「グローバルサウスとの連携強化」に関する情報を更新し、経済協力や技術移転を通じて、これらの国々との関係深化を図る方針を示している。

多国間協力の枠組みも活発化している。2026年4月1日には、高市総理とマクロン仏大統領が日仏共同声明に署名し、重要鉱物サプライチェーンの強靱化で連携を強化することを確認した。また、2026年3月23日には、日豪連携による重要鉱物供給網強化の動きが報じられ、オーストラリアの豊富な資源と日本の技術力を組み合わせることで、安定供給体制の構築を目指している。

さらに、2026年3月18日に発出された「重要鉱物サプライチェーン強靱性のための日米アクションプラン」は、日米両国が戦略的に連携し、重要鉱物資源の調達におけるリスクを低減するための具体的な行動計画を示している。2025年7月1日には、日米豪印クアッド外相会合において重要鉱物イニシアチブの立ち上げが発表されており、多国間での協力体制が着実に構築されつつある。これらの連携は、特定の国への依存を避け、多様で強靱なサプライチェーンを構築するための日本の重要な戦略となっている。

Reference / エビデンス