グローバルサウス:地域経済共同体の発展と貿易障壁の推移

2026年4月9日、グローバルサウスは地域経済統合においてダイナミックな変化を経験し、進化する貿易障壁に直面しています。最新の報告書やイニシアチブは、域内貿易促進の進展と、グローバルな地政学的分断や保護主義的政策による課題の両方を浮き彫りにしています。本稿では、グローバルサウスにおける地域経済共同体の発展状況と貿易障壁の最新動向を詳細に分析し、その影響と今後の展望を記述します。

地域経済共同体の進展と主要な動き

グローバルサウスにおける地域経済共同体は、近年、目覚ましい進展を見せています。特に、EU・メルコスール暫定貿易協定は、2026年2月27日の欧州委員会の発表により、暫定適用に向けた手続きが進められる方針が示されました。これは、メルコスール加盟国であるアルゼンチンとウルグアイが2026年2月26日に同協定を批准したことを受けた動きです。ブラジルでも下院と上院双方で承認が行われ、パラグアイ議会も3月17日に全会一致で承認したことで、メルコスール4カ国全ての国での批准手続きが完了しました。欧州委員会は3月23日、暫定貿易協定(iTA)が5月1日から適用されると明らかにしています。

アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)も域内貿易の促進に大きく貢献しており、2023年にはアフリカ域内貿易が16.6%増加しました。AfCFTAは、2026年までに域内貿易融資を400億ドルに倍増させるという野心的な目標を掲げています。

さらに、南部アフリカ開発共同体(SADC)は、2026年4月8日から10日にかけてケニアのナイロビで開催された第2回アフリカ都市フォーラムにおいて、都市開発の推進を再確認しました。このフォーラムでは、「すべての人に適切な住宅を:アジェンダ2063の実現に向けた社会経済的および環境的変革の推進」をテーマに、アフリカの急速な都市化と持続可能な都市開発の必要性が議論されました。

貿易障壁の現状とグローバルサウスへの影響

一方で、グローバルサウスは貿易障壁の増加という深刻な課題に直面しています。2026年4月9日に発表された国連報告書「2026年持続可能な開発資金報告書(FSDR 2026)」は、開発資金の逆行と貿易障壁の増加を指摘しています。特に、2025年には後発開発途上国(LDC)の輸出に対する平均関税が9%から28%に急増し、中国を除く開発途上国では2%から19%へと8倍以上増加しました。

米国の関税政策も変動しており、2025年4月初旬には平均実効関税率が2.4%から約22%に急上昇しましたが、年末には約15%に減少しました。2026年2月20日には、米国最高裁判所が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく2025年に導入された多くの関税の法的根拠を無効とする判決を下しました。 これに対し、米国政府は2月24日から通商法122条に基づき、当面10%の代替関税を発動し、最終的に15%に引き上げる考えを示しています。

このような状況の中、中国はグローバルサウスとの連携を強化する動きを見せています。2026年5月1日から、中国は53のアフリカ諸国からの輸入品にゼロ関税を適用する計画を発表しました。 これは、アフリカ諸国の製品付加価値向上を支援し、双方向の貿易における構造的格差を是正する狙いがあるとされています。

また、インド政府は2025年度(2025年4月~2026年3月)予算案で、電気自動車(EV)や携帯電話用バッテリー製造用の原材料・部品、リチウムイオン電池スクラップなどの重要鉱物、オープンセルディスプレーなどの特定の電子部品について適用関税を引き下げています。 スリランカもインドとの自由貿易協定(ISFTA)を通じて関税減免を進めており、2000年の施行以来、ネガティブリスト記載品目以外は制限なしで関税が減免されています。

グローバルサウスにおける経済連携と日本の役割

日本もグローバルサウスとの経済連携強化に積極的に取り組んでいます。経済産業省は、2025年12月18日から2026年1月23日まで、「令和6年度補正 グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(大型実証 非ASEAN加盟国)」の二次公募を実施しました。 この補助金は、グローバルサウス諸国が抱える課題解決を通じて、日本の経済安全保障の確保と国内産業の活性化を目指すものです。

経団連は2026年1月8日に、提言「グローバルサウスとの連携強化に向けて」を公表し、資源に乏しく人口減少に直面する日本にとって、食料・資源・エネルギーが豊富で高い成長力を持つグローバルサウスとの連携が不可欠であると強調しました。 提言では、外交・安全保障の強化、経済安全保障の確保、カーボンニュートラルの実現、社会課題解決と持続的成長の好循環形成、デジタル技術の振興・実装による国力向上といった5つの重視すべき事項と、それに基づくアクションプランを提示しています。

日本の商社も、グローバルサウスにおいて持続可能なビジネスモデルの構築に貢献しています。再生可能エネルギー、脱炭素技術、医療・衛生分野など、SDGsに直結する分野で、経済発展と持続可能性の両立を目指したプロジェクトを展開し、相手国の成長に資する形で貢献を続けています。

貿易動向と今後の展望

グローバルサウスにおける貿易は、過去20年間で南南貿易が4倍以上に増加し、2007年から2023年の間に2.3兆ドルから5.6兆ドルへと倍増するなど、活発化しています。 2025年には世界の貿易の72%が最恵国待遇(MFN)原則に基づいて行われており、多国間貿易体制の重要性が示されています。

今後の展望として、2026年4月13日から16日には、チリのサンティアゴでラテンアメリカ・カリブ諸国持続可能な開発フォーラムが開催されます。 このフォーラムでは、2030アジェンダの実施における地域的な進捗と課題に関する第9次報告書が発表される予定です。 また、アジア開発銀行(ADB)は2026年4月の経済予測で、アジア・太平洋地域の開発途上国の経済成長率が、中東における紛争や貿易を巡る不確実性の継続を背景に、2025年の5.4%から2026年および2027年ともに5.1%に減速すると見込んでいます。

グローバルサウスは、地域経済統合の進展と貿易障壁の増加という二つの側面を抱えながら、その経済的な存在感を増しています。国際社会は、これらの国々との連携を強化し、持続可能な開発目標の達成に向けた協調を深めることが求められています。

Reference / エビデンス