グローバルサウス:資源ナショナリズムと産油国の輸出戦略

2026年4月7日、世界経済はグローバルサウスにおける資源ナショナリズムの台頭と、産油国の輸出戦略、そしてこれらを取り巻く地政学的・経済的動向の複雑な相互作用に直面している。特に、ホルムズ海峡の閉鎖が原油市場に与える影響は甚大であり、重要鉱物資源を巡る国際的な競争も激化の一途を辿っている。

ホルムズ海峡閉鎖と原油市場の動向

2026年4月5日から6日にかけて、OPECプラスは5月の日量20万6000バレルの増産に合意した。これは、原油価格の高騰と供給不足への対応を意図したものとみられる。しかし、この増産決定の実効性には不透明感が漂っている。その最大の要因は、2026年2月末以降続くホルムズ海峡の閉鎖である。

ホルムズ海峡の閉鎖により、世界の石油供給量の約15%にあたる日量1200万~1500万バレルが減少している状況だ。この前例のない供給不足は、世界のエネルギー市場史上最大規模であり、原油価格は1バレル120ドル近くまで急騰している。JPモルガン銀行は、もしホルムズ海峡の閉鎖が5月中旬まで続けば、原油価格が150ドルを超える可能性もあると警告しており、輸送燃料価格の高騰と世界経済へのインフレ圧力が深刻化している。

グローバルサウスにおける資源ナショナリズムの台頭と重要鉱物戦略

グローバルサウスでは、自国の資源に対する管理を強化し、経済的利益の最大化を図る資源ナショナリズムの動きが顕著になっている。その象徴的な例が、コンゴ民主共和国(DRC)である。2026年4月8日には、DRCと中国が鉱業分野での協力深化協定を発表した。DRCは、鉱物資源の管理強化や国営企業の関与拡大を通じて、資源ナショナリズムの傾向を強めている。

これに対し、米国もDRCやその周辺地域で重要鉱物案件への関与を深めようと動いている。2026年3月5日には国連が重要鉱物資源を巡る国際競争における公平性を呼びかけ、さらに2026年2月4日に米国が主催した「2026年重要鉱物閣僚会合」では、世界市場の再構築方針が議論された。国連貿易開発会議(UNCTAD)は、資源豊富な途上国が未加工の鉱物輸出から現地での加工・付加価値化へと移行することで、経済的利益を大幅に増やせる可能性を指摘しており、グローバルサウス諸国の資源戦略に大きな影響を与えている。

産油国の輸出戦略と国内エネルギー政策の課題

ホルムズ海峡閉鎖による供給不足と原油価格高騰を受け、OPECプラスは5月に日量20万6000バレルの増産を決定したが、その実効性には依然として懸念が残る。産油国であっても、国内のエネルギー需要と補助金問題に直面し、厳しい政策判断を迫られるケースも少なくない。

例えば、インドネシアは2026年4月2日に、ガソリン給油制限や公務員の在宅勤務義務化といった強力なエネルギー消費抑制策を導入した。これは、産油国でありながら国内需要の増加と燃料補助金による財政負担に苦しむ同国の現状を示している。また、2026年4月6日の大和総研のレポートによると、原油高・リスクオフ下での新興国の耐性には大きな違いがある。ブラジルは原油の純輸出国であり対外的な耐性が高い一方、南アフリカは最も脆弱性が懸念される国の一つとされている。

日本とグローバルサウスの連携強化に向けた動き

日本政府および経済界は、グローバルサウスとの連携強化を喫緊の課題と捉え、具体的な動きを加速させている。2026年1月8日、経団連は提言「グローバルサウスとの連携強化に向けて」を公表し、食料・資源・エネルギーの安定供給確保の観点から重点国・地域の選定を重視する姿勢を示した。

経済産業省は2026年3月23日、「令和6年度補正 グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(大型実証 非ASEAN加盟国:二次公募)」の採択事業者を発表し、グローバルサウスとの具体的な協業を後押ししている。さらに、2026年4月6日には日本貿易会が「エネルギー・気候変動分野におけるアジア・ラテンアメリカ関係」に関するゼミナールを開催するなど、多角的なアプローチで連携強化を図っている。これらの動きは、日本の経済安全保障と持続的成長に不可欠なグローバルサウスとの関係深化を目指すものである。

Reference / エビデンス