グローバル:国際法人税ルールの策定と多国籍企業の動向(2026年4月7日時点)

2026年4月7日、国際法人税ルールの策定は新たな局面を迎えています。特にOECDが主導する「第2の柱(Pillar Two)」、通称グローバル・ミニマム課税は、世界中の多国籍企業と各国の税制に大きな影響を与え続けています。各国での法制化が進む中、企業は複雑な新ルールへの対応を迫られており、税務当局もまた、その執行に向けた準備を加速させています。

グローバル・ミニマム課税の進展と主要国の対応

グローバル・ミニマム課税の導入に向けた動きは、2026年に入りさらに具体化しています。OECDは2026年1月5日、「第2の柱」に関する新たな行政ガイダンスパッケージを発表しました。このパッケージには、恒久的な簡易実効税率セーフハーバーの導入や、移行期間CbCRセーフハーバーの1年延長などが含まれており、多国籍企業の負担軽減と制度の円滑な導入を目指す姿勢が示されています。

日本においては、所得合算ルール(IIR)が2024年4月1日以降に開始する事業年度から既に適用されています。さらに、軽課税所得ルール(UTPR)および国内ミニマム課税(QDMTT)は、2026年4月1日以降に開始する事業年度から適用が開始されました。

各国の法制化も着実に進んでいます。直近では、2026年4月3日にリヒテンシュタインがPillar Two GloBE規則の改正を施行しました。 また、2026年4月6日には、ブラジル連邦歳入庁がQDMTTの報告と支払いに関する規範的指示No. 2,319/2026を公表し、国内での制度導入に向けた具体的な手続きを明確にしました。 これらの動きは、グローバル・ミニマム課税が世界中で現実のものとなりつつあることを明確に示しています。

多国籍企業が直面する課題と税務当局の対応

グローバル・ミニマム課税は、連結総収入金額が7.5億ユーロ以上の多国籍企業に適用され、その税務戦略に抜本的な見直しを迫っています。 各国の税務当局は、この新たな国際税制に対応するため、通達やガイダンスの整備を進めています。

日本においては、2026年4月6日に国税庁がグローバル・ミニマム課税に伴う通達の趣旨説明を公表しました。 これは、企業が新ルールを適切に理解し、遵守するための重要な指針となります。英国歳入関税庁(HMRC)は、2024-25年度の移転価格および迂回利益税に関する年次統計を発表し、移転価格による税収が33億8,700万ポンドに大幅増加したことを明らかにしました。 これは、国際的な税務コンプライアンス強化の動きが、各国の税収に具体的な影響を与えていることを示唆しています。

さらに、2026年4月9日にはOECDが英国に対し税制の全面改革を促しました。 これは、国際的な税制改革の潮流が、個別の国の税制にも大きな影響を与え、多国籍企業の事業戦略にも再考を促すものであると考察されます。

米国の税制とグローバル・ミニマム課税の共存

グローバル・ミニマム課税の枠組みにおいて、米国は独自の立ち位置を維持しています。2026年1月5日、OECDと米財務省は、国際最低課税に関して米企業を例外とする見直し案に145カ国超が合意しました。 これを受け、2026年1月8日にはベッセント米財務長官が、在米企業のグローバル・ミニマム課税適用外を歓迎する声明を発表しました。

この背景には、トランプ大統領(当時)の反発を踏まえた「サイド・バイ・サイド」協定の「SbSセーフハーバー」制度があります。この制度は、米国に本社を置く企業に対し、所得合算ルール(IIR)および軽課税所得ルール(UTPR)の不適用を認めるものです。 この特例措置は、国際課税システムの安定化と各国の税制主権のバランスを模索する中で生まれた妥協点であり、米国の税制がグローバル・ミニマム課税と共存する道を示しています。しかし、この共存が長期的に国際的な税の公平性にどのような影響を与えるかについては、引き続き注視が必要です。

Reference / エビデンス