東アジアにおける海洋資源権益を巡る沿岸国の政治的動向:2026年4月6日時点の分析
東アジアの海洋資源権益を巡る情勢は、2026年4月6日現在、依然として緊張が高まっている。南シナ海では中国とフィリピン間の衝突が頻発し、東シナ海では中国による一方的な資源開発が日本の抗議を招いている。一方で、中国は海洋経済の質の高い発展を掲げ、グローバル海洋ガバナンスへの関与を強める姿勢を見せている。
南シナ海における領有権紛争と沿岸国の対応
南シナ海では、中国とフィリピン間の緊張が顕著に高まっている。本日2026年4月6日、中国共産党軍が南シナ海の係争海域でフィリピン機に照明弾を発射する事案が発生したとフィリピン政府が発表した。これは、同海域における中国の強硬な姿勢を改めて示すものと言える。
こうした状況下、フィリピンは外交的・軍事的な対応を強化している。2026年3月30日には、中国とフィリピンが南シナ海行動規範(COC)に関する協議を加速させ、早期の合意を目指すことで合意したと報じられた。フィリピン当局は、このCOCが国連海洋法条約(UNCLOS)に準拠する必要があると強調しており、国際法に基づく秩序の維持を求めている。
また、フィリピンは日本、米国との安全保障協力の強化を進めている。2026年1月には、フィリピンと米国が南シナ海の係争海域、特にスカボロー礁周辺で共同航行を実施し、中国はこれに反発した。フィリピンは、日米との三国間協力によって抑止力を強化する方針を示しており、2025年には日本周辺で日米比3カ国の海軍種による共同訓練が実施される方針も公表されている。
中国側も南シナ海における実効支配の強化を図っている。2025年9月10日、中国政府はフィリピンと領有権を争うスカボロー礁を「国家級の自然保護区」に指定すると決定した。これは、同礁に対する中国の実効支配を強化し、既成事実化を進める狙いがあるとみられている。
東シナ海における資源開発と日中間の緊張
東シナ海においても、中国による一方的な海洋資源開発が続き、日本との間で緊張が高まっている。2025年8月25日、日本の外務省は、東シナ海の日中地理的中間線の西側において、中国による新たな1基の構造物設置に向けた動きを確認し、強く抗議した。外務省は、中国が同海域で一方的な開発行為やその既成事実化の試みを継続していることは極めて遺憾であると表明している。
さらに、2026年1月8日には、中国が東シナ海の日中中間線の中国側海域で移動式の掘削船を活動させていることが確認され、日本政府は外交ルートを通じて中国に抗議した。日本は、中国が掘削するガス田の一部が地下で日本側とつながり、日本の資源が奪われている可能性があると主張している。
日中両政府は2008年6月に、東シナ海の一部海域における共同開発に関する合意を交わしているが、この合意は具体的な進展を見せていない。中国は2010年9月の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件以降、合意の実施に向けた交渉を中断させており、その後も一方的な構造物設置などの活動を続けている。外務省は、これまでに日中中間線の西側で計22基の構造物を確認しており、中国側に対して一方的な開発行為の中止と2008年合意の実施に関する交渉再開を強く求めている。
中国の海洋戦略とグローバル海洋ガバナンスへの関与
中国は、海洋経済の発展を国家戦略の重要な柱と位置づけ、グローバル海洋ガバナンスへの関与を深めている。2026年3月16日には、習近平総書記の重要文章「海洋経済の質の高い発展を推進する」が『求是』誌に掲載された。この記事では、海洋経済の質の高い発展を推進し、中国の特色ある海洋強国への道を歩む必要性が強調されており、革新駆動、効率的な協同、産業更新、人海調和、協力共栄の5つの点が開発戦略として挙げられている。
また、中国はグローバル海洋ガバナンスへの貢献も表明している。2026年1月に発効した『海洋生物多様性協定』(BBNJ協定)への中国の貢献と立場についても言及されており、中国はグローバル海洋ガバナンスに深く参加し、海洋科研調査、防災減災、ブルーエコノミー協力を推進するとしている。
一方で、中国の海洋戦略には、太平洋への「縄張り拡大」の意図も指摘されている。2026年1月には、中国が太平洋への影響力拡大を公言しているとの議論がなされた。これは、中国が海洋大国から海洋強国への転換を目指す中で、その活動範囲を拡大しようとする姿勢の表れと見ることができる。
Reference / エビデンス