北米:連邦インフラ投資計画の予算配分と執行状況

2026年3月29日、北米地域では連邦政府による大規模なインフラ投資計画が進行しており、米国とカナダそれぞれで具体的な予算配分と執行が進んでいます。特に米国ではインフラ投資雇用法(IIJA)が、カナダでは独自の連邦計画が、経済成長と持続可能な社会の実現に向けた重要な役割を担っています。本稿では、両国の最新の進捗状況と、北米全体のインフラ市場が直面する主要な動向と課題について詳述します。

米国インフラ投資雇用法(IIJA)の予算配分と執行状況

米国では、2021年に成立したインフラ投資雇用法(IIJA)に基づき、今後10年間で総額1.2兆ドル、うち新規連邦投資として5,500億ドルがインフラ整備に充てられる予定です。この巨額の資金は、交通、水、クリーンエネルギー、ブロードバンドといった多岐にわたる分野に配分されています。

2026年3月時点での執行状況を見ると、米国運輸省(DOT)はIIJAの資金を積極的に活用しています。2026年1月31日現在、DOTは2,000億ドルを超える助成金を交付し、同額の資金を義務付け、すでに1,000億ドルを支出しています。これにより、全米4,500以上のコミュニティで56,000件を超えるプロジェクトが開始されています。

特に、カリフォルニア州にはIIJAから300億ドル以上が配分されており、州内のインフラ改善に大きく貢献しています。また、部族コミュニティに対しても、インフラ整備のために130億ドルが提供されています。クリーンエネルギー分野では、炭素回収・利用・貯留(CCUS)関連に121億ドルが割り当てられるなど、脱炭素社会への移行を支援する投資も活発です。

2026年3月および4月にかけても、IIJAに基づく新たなプロジェクトやプログラムの通知が引き続き行われており、全米各地でインフラ整備の動きが加速しています。

カナダのインフラ投資計画と2026年度の展望

カナダ政府もまた、国家のインフラ強化にコミットしており、2026-27年度の予算見積もりでは、インフラ関連の支出が重要な位置を占めています。2026-27年度の総予算支出額は4,975億ドルと推定されており、そのうちインフラ・カナダ省の計画支出は79億ドルに上ります。また、公共サービス・調達省も2026-27年度に39億ドルの支出を計画しています。

カナダのインフラ投資計画の主要な優先事項には、国家インフラ開発、クリーン電力網の構築、および地方自治体のインフラプロジェクトへの支援が含まれています。これらの投資は、持続可能なコミュニティの構築と経済成長の促進を目指しています。

長期的な視点で見ると、カナダ政府は2025-26年度から2029-30年度の間に、インフラに総額1,590億ドルを支出すると推定されています。この大規模な投資は、カナダ全土のインフラを近代化し、将来の課題に対応するための基盤を強化するものです。

北米全体のインフラ市場動向と課題

2026年の北米全体の建設およびインフラ市場は、緩やかな成長が見込まれています。米国における2026年の建設支出総額は、前年比1%増の2.2兆ドルに達すると予測されています。この成長を牽引するのは、データセンター、電力インフラ、製造業、ヘルスケアといった分野への投資です。特に、デジタル化の進展とAI技術の普及に伴い、データセンターや関連する電力インフラの構築ニーズが急速に高まっています。

しかし、インフラ開発にはいくつかの主要な課題も存在します。連邦政府の許認可改革は、プロジェクトの迅速な実施を可能にするための重要な要素ですが、その進捗は依然として注目されています。また、サプライチェーンの課題も継続しており、資材の調達やコストの変動がプロジェクトのスケジュールや予算に影響を与える可能性があります。

北米のインフラ市場は、連邦政府による大規模な投資と民間セクターの活発な活動により、今後も成長が期待されます。しかし、これらの課題への効果的な対応が、持続可能で強靭なインフラシステムの構築には不可欠となるでしょう。

Reference / エビデンス