2026年3月29日 北米:巨大IT企業に対する独占禁止法と規制の動向
2026年3月29日、北米では巨大IT企業に対する独占禁止法と規制の動向が、かつてないほど活発化している。米国ではGoogle、Meta、Apple、Amazonといったテクノロジー大手に対する複数の独占禁止法訴訟が進行しており、その判決や進捗は各社の事業運営に甚大な影響を与えかねない状況だ。一方、カナダではTikTokの規制緩和や新たな「lawful access」法案の提出など、独自の動きが見られる。これらの動きは、AI規制やプライバシー保護といった新たな課題と相まって、北米のデジタル市場の未来を形作ろうとしている。
米国における巨大IT企業に対する独占禁止法訴訟の進展
米国では、巨大IT企業に対する独占禁止法訴訟が多方面で展開されており、2026年もその動向から目が離せない。特に注目されるのは、Googleの検索および広告技術に関する訴訟の進捗である。これらの訴訟は、Googleが市場支配力を不当に行使し、競争を阻害しているかどうかが争点となっており、その結果はデジタル広告市場全体に大きな影響を与える可能性があるとされている。
Metaに対しては、連邦取引委員会(FTC)による独占禁止法訴訟が継続しており、その結果と控訴の行方が注目されている。FTCはMetaがInstagramやWhatsAppの買収を通じて競争を排除したと主張しており、もしFTCの主張が認められれば、Metaの事業構造に大きな変更を迫られる可能性も指摘されている。
Appleもまた、米国司法省(DOJ)からの独占禁止法訴訟に直面している。この訴訟は、AppleがApp Storeのルールやエコシステムを通じて競争を制限しているというもので、特にサードパーティ製アプリ開発者への影響が懸念されている。Amazonに対しても、FTCによる独占禁止法訴訟が予定されており、同社のオンライン小売市場における支配的地位が問われることになるだろう。
2026年3月28日には、MetaとGoogleに対する2つの主要な裁判所の判決が、カリフォルニア州の議員によるソーシャルメディアプラットフォーム規制の取り組みを強化していることが報じられた。これらの判決は、巨大IT企業が子供たちに与える危害に関する責任を追及する動きを加速させるものと見られている。
AI規制とプライバシー保護の新たな動向
AI技術の急速な発展に伴い、北米ではAI規制とプライバシー保護に関する新たな動向が活発化している。2026年3月26日には、Anthropicと米国防総省の間の訴訟において、連邦地裁が一時差し止め命令を発令した。これは、新興AI企業に対する政府の排除措置に「停止命令」が出されたものであり、AI技術の利用と規制のバランスを巡る議論に一石を投じるものとなった。
カナダでは、Bill C-22(lawful access法案)がプライバシー保護に与える影響が懸念されている。この法案は、国境を越えた情報開示システムをよりプライバシー保護の低いものへと移行させる可能性があり、巨大IT企業が保有する個人データの取り扱いに関して新たな課題を提起している。
米国におけるMetaとGoogleに対する子供への危害に関する裁判所の判決は、カナダの同様の訴訟にも影響を与える可能性があると見られている。これらの判決は、ソーシャルメディアプラットフォームが未成年者の精神的健康に与える影響について、企業がより大きな責任を負うべきだという認識を強めるものとなるだろう。
サイバーセキュリティと仮想通貨規制の分野でも動きがあった。2026年3月6日、ホワイトハウスはサイバー犯罪と米国サイバー戦略に関する大統領令を発令し、国家のサイバーセキュリティ強化へのコミットメントを示した。さらに、2026年3月11日には、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)が仮想通貨資産の共同監督に関する覚書を締結し、急成長する仮想通貨市場に対する規制の枠組みを強化する姿勢を明確にした。
カナダにおける巨大IT企業への規制動向
カナダでは、巨大IT企業に対する規制環境が大きく変化している。2026年3月25日、カナダ政府はTikTokの事業部門に対する2024年の禁止措置を正式に撤回した。これは、データ保護強化などの厳格な条件の下での運営を許可するものであり、カナダのデジタル市場における国際的なテクノロジー企業の存在感に新たな局面をもたらすものと見られている。
また、2026年3月12日には、カナダ政府がBill C-22(lawful access法案)を提出した。この法案は、国際的な生産命令を可能にし、国境を越えたデータ開示のシステムをよりプライバシー保護の低いものへと移行させる可能性があり、カナダのデジタル市場とプライバシー環境に大きな影響を与えることが予想される。
これらの動きは、カナダがデジタル主権とプライバシー保護のバランスをどのように取るかを示す重要な指標となるだろう。さらに、2026年3月31日には、カナダ政府の「2026-2028年規制計画」が更新され、今後の規制の方向性がより明確になることが期待されている。
Reference / エビデンス
- Looking Ahead on US Antitrust Enforcement and Tech: Will 2026 Deliver More of the Same?
- 2026 Antitrust Year in Preview: Big Tech - Wilson Sonsini
- Big Tech faces turning point as lawsuits reshape social media rules - YouTube
- 海外当局の動き - 公正取引委員会
- Verdicts against Meta, Google in U.S. could boost Canadian big tech lawsuits - Richmond News
- Scoping in the Tech Giants: Bill C-22's International Production Order and the Shift to a Less Privacy-Protective Cross-Border Disclosure System - Michael Geist
- Fasken's Noteworthy News: Privacy & Cybersecurity in Canada, the US, and the EU (March 2026) | Knowledge
- Federal court issues "stop order" against government exclusion measures for emerging AI company t... - YouTube
- MITテクノロジーレビュー | テクノロジーが形作る世界を理解する
- 2026年3月の暗号資産規制の主な変化とその影響 - Phemex
- Digital Digest 03.25.26 - Active International
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- 2026–2028 Forward Regulatory Plan - Government of Canada