グローバルサウスにおける政権交代、資源国有化、および投資環境の動向(2026年3月21日時点)
グローバルサウスにおける資源ナショナリズムの台頭と主要国の動向
2026年3月21日現在、グローバルサウス諸国では、自国の資源に対する管理を強化し、経済的利益の最大化を図る「資源ナショナリズム」の動きが顕著になっています。その象徴的な動きとして、コンゴ民主共和国(DRC)は3月26日、中国との間で鉱業分野における協力深化協定に署名しました。DRCは世界最大のコバルト生産国であり、銅やリチウムといった電池用金属の膨大な埋蔵量を誇る戦略的に重要な資源大国です。近年、DRC政府は鉱物資源の管理強化と国営企業の関与拡大を通じて、資源ナショナリズムの傾向を強めています。この協定は、地質データの共有、投資保護、そしてDRCにおける原材料の現地加工促進に関する協力を規定しており、プロジェクトがDRCの法律を遵守し、安定した透明性の高い投資環境の中で実施されることを保証するための監視メカニズムも含まれています。
国連貿易開発会議(UNCTAD)は、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー技術の普及に伴う重要鉱物需要の急増により、資源豊富な途上国が新たなバリューチェーンの中心になりつつあると指摘しています。これらの国々が現地での加工・付加価値化を進めることで、経済的利益を大幅に増やせる可能性を秘めていると分析されています。
また、ベトナムでは2026年4月1日付で発効する腐敗・浪費対策決議において、エネルギーや鉱物資源の効率的かつ持続可能な管理を強化する方針が示されており、グローバルサウス各国における資源管理政策の強化の動きが具体的に進展していることがうかがえます。
中東情勢の緊迫化とエネルギー市場・投資環境への影響
2026年3月21日を前後して、中東情勢は極めて緊迫した状況にあり、イラン最高指導者ハメネイ師殺害に伴う混乱は、ホルムズ海峡の事実上の封鎖という事態を招き、世界のエネルギー市場に甚大な影響を与えています。原油価格は急騰し、液化天然ガス(LNG)価格も大幅に上昇しました。
国連西アジア経済社会委員会(ESCWA)は3月19日、2月末以降の中東情勢悪化により、アラブ地域で1カ月間に1,500億ドルもの損失が発生する可能性があると推計しました。また、ホルムズ海峡を通る商業船舶への攻撃により、2週間で貿易損失が約300億ドルに達したと報告されています。
この原油価格の高騰は、日本経済にも深刻な影響を及ぼしています。帝国データバンクが4月3日に発表した2026年3月の景気動向調査によると、日本の景気DIは前月比1.4ポイント減の42.9となり、2年6カ月ぶりにすべての規模・業界・地域で悪化しました。この悪化の主因は、中東情勢の緊迫化を受けた原油価格の高騰とそれに伴う燃料価格の上昇、そして先行き不安にあるとされています。特に運輸・倉庫業界では、燃料コストの増加に加え、ペルシャ湾周辺の地政学的な緊張による海運の不安定な運航状況が深刻なダメージを与えています。
こうした状況を受け、日本政府は3月26日から国家石油備蓄の放出を開始しました。これは、ホルムズ海峡の事実上の封鎖により中東産原油の供給が途絶しつつある状況に対応し、国内へのエネルギー安定供給を図るための措置です。
重要鉱物サプライチェーンの再編と国際協力の強化
電気自動車や再生可能エネルギー技術の普及に伴う需要急増を背景に、グローバルサウス地域における重要鉱物資源の権益争奪が激化しています。各国は、安定的な供給網の確保に向けて国際協力の強化に乗り出しています。
米国は2026年2月4日に「2026年重要鉱物閣僚会合」を主催し、世界市場の再構築に向けた方針を打ち出しました。この会合には日本を含む54カ国と欧州委員会が参加し、米国はアルゼンチン、チリを含む11カ国と二国間枠組みを締結しています。
欧州連合(EU)とオーストラリアは2026年3月、長年の交渉を経て自由貿易協定(FTA)で合意しました。本協定は、重要鉱物を含む資源分野において、サプライチェーンの強靭化と投資環境の改善を目的とする重要な枠組みであり、オーストラリア産重要鉱物に対するEUの輸入関税のほぼ全てが撤廃されることで、世界のサプライチェーンの安定に寄与すると期待されています。
日本と米国も、3月19日の首脳会談で重要鉱物・レアアース分野での協力を具体化しました。両政府は「重要鉱物サプライチェーン強靱性のための日米アクションプラン」を発表し、選定された13件のプロジェクトを中心に、重要鉱物輸入のためのプライス・フロア(最低価格)の策定などを議論する方針です。また、南鳥島沖のレアアース泥開発における日米協力も合意されました。
日本企業による具体的な動きとしては、伊藤忠商事と独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が3月23日、南アフリカのプラチナグループメタル(PGM)鉱山であるプラットリーフ鉱山(Platreef Mine)の拡張プロジェクトに対し、8,940万ドルの追加投資を行うことを発表しました。この投資は、水素社会の実現に不可欠なPGMの安定供給確保に貢献するものです。
グローバルサウスにおける投資環境の変化と課題
2026年3月26日に北京で開幕した「2026年グローバルサウス金融フォーラム」では、30以上の国・地域の政府関係者、銀行関係者、ビジネスリーダー、国際機関の代表が集結し、より包摂的で持続可能な金融協力の強化が議論されました。このフォーラムでは、グローバルサウスがグリーン投資の重要な拠点になりつつあるという見解が示され、中国をはじめとするグローバルサウス諸国には、ハイレベルな金融開放とグリーン金融連携の深化を通じて、ウィンウィンの協力関係を築く機会が与えられていると指摘されました。
一方で、2026年3月の新興国株式市場は、中東情勢の緊迫化による原油価格の急騰や世界的なインフレ懸念から下落しました。特に、米国とイスラエルがイランを攻撃し、イランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことで原油価格が急騰し、世界的なインフレや景気減速懸念が高まりました。また、米国の利下げ観測の後退やドル高の進行も、新興国株式市場にとってマイナス要因となりました。
さらに、中国の「デフレの輸出」が世界経済に影響を及ぼすリスクも指摘されています。中国国内の長引く不動産不況と需要不足により、企業は安価な製品の輸出攻勢を強めており、これが他国の産業に打撃を与える可能性があります。また、中国企業の国際競争力向上と、米中貿易摩擦を回避するための新興国・途上国への輸出シフトの兆候も、グローバルサウスへの投資における競争激化という課題を提起しています。
グローバルサウスへの投資は、グリーン投資の機会や資源確保の重要性から注目を集める一方で、地政学リスク、エネルギー市場の変動、そして中国経済の動向といった複雑な課題に直面しており、投資家は機会とリスクの両面を慎重に見極める必要があります。
Reference / エビデンス
- ザンビア、DRC、ジンバブエ重要鉱物(1)表面化する米中対立 | 高まる経済安全保障リスク、各国・地域の自律性向上と不可欠性確保に向けた戦略とは - ジェトロ
- グローバルサウスの重要鉱物争奪と国家戦略:供給網再編の最新動向 - Vantage Politics
- 新時代においても、腐敗、浪費、その他の悪しき現象との闘いにおいて、党の指導力を強化し続ける。 - Vietnam.vn
- 国連、情勢悪化によりアラブ地域で1500億ドルの損失と報告、世界銀行は支援を表明 - ジェトロ
- 2026年3月|国際情勢レポート - いい政治ドットコム
- 2026年3月の新興国株式市場 - ピクテ・ジャパン
- 2026年3月の景気動向調査 - 帝国データバンク
- [Uncut] National oil reserves to be released on the 26th: Minister of Economy, Trade and Industry... - YouTube
- グローバルサウスの重要鉱物争奪と国家戦略:供給網再編の最新動向 - Vantage Politics
- 各国政策・取組状況 |レアアース・レアメタルに特化した情報を配信 - レアリサ
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- 令和7年度補正予算 グローバルサウス未来志向型共創等事業(小規模実証・FS事業) 第1回公募に向けた最新動向と準備ポイント | イースクエア
- Xinhua Silk Road:コンセンサスから行動へ、グローバル・サウスが国際的なグリーン資本の流れを牽引 - ZDNET Japan
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- 2026年3月の新興国株式市場 - ピクテ・ジャパン
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