グローバルサウス:地域経済共同体の発展と貿易障壁の推移(2026年3月21日時点)

国際経済の多極化が進む中、グローバルサウス諸国は世界経済においてその存在感を増している。地域経済共同体の形成は深化し、貿易障壁への対応も新たな局面を迎えている。本稿では、2026年3月21日を基準とした前後48時間以内の最新情報を盛り込み、グローバルサウスにおける地域経済共同体の発展状況と貿易障壁の具体的な推移を詳細かつ客観的に分析する。

グローバルサウス地域経済共同体の発展と深化

グローバルサウスにおける地域経済共同体は、経済統合の深化に向けた具体的な進展を見せている。アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)では、2026年2月のアフリカ連合(AU)総会において、自動車分野の原産地規則が承認された。この規則では、自動車および部品が40%以上のアフリカ産材料を含むことでアフリカ原産と認められ、5年ごとに見直される見込みである。これは、アフリカ域内での製造業の育成とサプライチェーンの強化を促進する重要な一歩となる。

東南アジア諸国連合(ASEAN)では、2026年3月に開催されたASEAN経済大臣会合で、2026年の経済戦略が議論された。この戦略では、2025年のASEAN経済成長率が4.5%、インフレ率が2.4%と予測されており、域内の堅調な経済状況が示されている。ASEANは、保護主義的な動きや地政学リスクが残る中でも、内需振興策や所得改善により底堅く推移すると見込まれている。

南米南部共同市場(メルコスール)と欧州連合(EU)の間では、2026年1月9日に包括的パートナーシップ協定(EMPA)と暫定貿易協定(iTA)の署名がEU理事会によって承認された。両協定は1月17日にパラグアイの首都アスンシオンで署名される予定であり、EMPAは政治対話、協力、貿易・投資を含む分野横断的連携を統合する包括協定である。iTAは、幅広い商品・サービスに対する関税削減と市場アクセス、投資促進およびサービスの越境取引障壁撤廃に関する規定を含む暫定的なもので、EMPA発効まで単独協定として機能する。EU理事会による署名承認は、25年以上にわたる交渉の末に実現した歴史的な合意であり、7億人以上の住民を結びつけ、世界のGDPの約25%を占める巨大な経済圏が誕生することになる。

グローバルサウスにおける貿易障壁の推移と多角的貿易体制の課題

多角的貿易体制は、保護主義的な動きや地政学的緊張の高まりの中で、依然として多くの課題に直面している。世界貿易機関(WTO)は、来週3月26日から29日にかけてカメルーンの首都ヤウンデで第14回閣僚会議(MC14)を開催する予定である。主要議題としては、WTO改革、紛争解決制度改革、漁業補助金協定、開発のための投資円滑化協定(IFDA)、電子商取引などが挙げられる。MC14は、世界の貿易体制が過去80年間で最悪の混乱に見舞われていると指摘される中で、WTOの機能不全からの脱却にめどを付けられるかどうかが焦点となる。

米国とメキシコの間では、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しに向けた協議が、3月16日の週に開始された。米国通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表とメキシコのマルセロ・エブラル経済相は、北米サプライチェーンへの非市場経済国の参入制限や原産地規則の強化などについて議論した。米国は、メキシコに米国対外投資委員会(CFIUS)と同様の仕組みを創設するよう要請する可能性や、域内原産割合(RVC)の引き上げ、中国製部品の利用制限などを提案する可能性が指摘されている。USMCAは2026年7月に初めての見直しを迎えることになっており、3カ国が延長に合意できなければ2036年に失効する。米国の保護主義的な通商政策は、中南米諸国の経済成長予測に下方修正をもたらす可能性があり、貿易障壁の高まりは7割の国・地域で成長率の下方修正につながっている。

一方、中国は2026年も引き続き、より多くの二国間および多国間の貿易・投資協定の締結を推進する方針を示している。デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加入交渉を積極的に推進するとともに、デジタル貿易・グリーン貿易の発展を目指している。中国は、ベラルーシとのサービス貿易・投資協定が2026年1月1日に発効するなど、具体的な動きを見せている。

日本とグローバルサウスの経済連携強化に向けた取り組み

日本は、グローバルサウス諸国との経済連携強化に向けた具体的な取り組みを加速させている。経済産業省は、3月30日に令和7年度補正予算「グローバルサウス未来志向型共創等事業」の公募内容を事前周知する予定である。この事業は、グローバルサウス諸国が抱えるDX(デジタルトランスフォーメーション)/GX(グリーントランスフォーメーション)分野等の課題解決を通じて、日本国内産業の活性化とグローバルサウス諸国との経済連携強化を目指すものである。令和5年度補正予算では、総額約1,546億円の支援が計上されており、日本企業が現地企業と互いの強みを活かしながら、強靭なサプライチェーンの構築やカーボンニュートラルの実現等を共に実現する事業を支援している。

特に、GX/DXを通じた社会課題解決やサプライチェーン強靭化への貢献は、日本の経済安全保障の確保と国内イノベーション創出の観点から重要視されている。また、日本企業の中堅・中小企業によるグローバルサウス展開支援も強化されており、海外市場開拓や輸出の拡大を通じて、海外需要の取り込みや海外事業を通じたデータの獲得が期待されている。経済産業省は、グローバルサウス諸国における実証事業や実現可能性調査(FS)等を支援する公募を予定しており、将来的な事業化や海外展開を見据えた取り組みが対象となる。

Reference / エビデンス