グローバルサウス:非米ドル決済網の構築と通貨の多極化の加速

2026年3月21日、世界は中東情勢の緊迫化という新たな局面を迎え、グローバルサウス諸国が推進する非米ドル決済網の構築と通貨の多極化の動きは、かつてない喫緊性を帯びています。米ドルに依存する既存の国際金融システムの脆弱性が露呈する中、各国は自律的な経済圏の確立を急いでいます。

中東情勢の緊迫化が非米ドル決済の喫緊性を浮き彫りに

2026年3月20日から23日にかけての中東情勢の急激な悪化は、国際貿易決済における米ドル依存の危険性を改めて浮き彫りにしました。特に、戦略的要衝であるホルムズ海峡の通航を巡る緊張は、世界の原油市場に甚大な影響を与えています。3月22日には、トランプ大統領がイランに対し、ホルムズ海峡の48時間以内の解放を要求し、発電所の破壊を示唆する強硬な姿勢を見せました。これに対し、G7外相はイランの攻撃を非難する声明を発表し、国際社会の懸念は一層高まりました。

この地政学的リスクの高まりは、原油価格の急騰を招きました。しかし、3月23日には一転して原油価格が13%以上下落するという不安定な動きを見せ、市場の混乱を象徴しています。このような状況下で、米ドルを基軸とする国際貿易決済システムは、地政学的リスクに極めて脆弱であることが露呈しました。グローバルサウス諸国にとって、特定の通貨に依存しない決済網の構築は、経済的安定と主権を確保するための喫緊の課題として認識されています。

BRICSによる非米ドル決済システムの進展とグローバルサウスへの影響

中東情勢の緊迫化は、BRICS諸国が主導する非米ドル決済システムの導入を加速させる可能性を秘めています。BRICS諸国は、BRICS PayやmBridgeといった独自の決済システムの構築を進めており、国際金融システムにおける米ドルの「法外な特権」の終焉と多極的国際通貨秩序への移行を目指しています。

2024年8月の報道によれば、すでに159カ国がBRICS決済システムの採用を検討しているとされ、その関心の高さが伺えます。また、2025年12月には中国がBRICSマスタープランを発表し、人民元を活用した貿易拡大を目指す方針を明確にしました。ロシアのプーチン大統領も、BRICS首脳会合でロシア提案の決済プラットフォームや穀物取引所の創設を改めて主張しており、非米ドル決済網の構築に向けた具体的な動きが活発化しています。これらの進展は、グローバルサウス諸国が米ドル決済システムへの依存を減らし、より安定した貿易環境を構築するための重要な選択肢を提供しています。

通貨多極化の潮流とデジタル資産の台頭

国際通貨システムにおける多極化の動きは、デジタル通貨やトークン化された実物資産(RWA)の台頭によってさらに加速しています。2026年3月時点で、RWA市場規模は約265億ドルに達しており、2023年末から13倍以上という爆発的な成長を遂げています。また、ステーブルコイン市場も3,130億ドル規模に達し、2025年には49%成長しました。

これらのデジタル資産は、非米ドル決済の新たな選択肢として注目されており、国際金融システムに大きな変革をもたらす可能性を秘めています。特に、ブロックチェーン技術を活用したRWAは、従来の金融システムでは難しかった資産の流動化や国境を越えた取引を容易にし、通貨多極化の潮流を後押しすると期待されています。伝統金融とデジタル資産の境界が急速に崩れる中、金融会社の戦略変化も避けられない状況となっています。

グローバルサウスにおける金融協力の強化と日本の関与

グローバルサウス諸国間での金融協力の強化に向けた動きも活発化しています。2026年3月26日には北京で「2026年グローバルサウス金融家フォーラム」が開催され、国際的なグリーン資本の流れを牽引するためのコンセンサスから行動への移行が議論される予定です。このようなフォーラムは、非米ドル決済網の構築や通貨多極化の推進に向けた具体的な協力関係を深める上で重要な役割を果たします。

日本政府も、経済産業省を中心にグローバルサウスとの連携強化事業を推進しています。例えば、令和7年度補正予算における「グローバルサウス未来志向型共創等事業(小規模実証・FS事業)」は、グローバルサウス諸国との経済協力関係を深め、新たなビジネス機会を創出することを目指しています。中東情勢の悪化は、これらの協力関係の重要性を一層高め、グローバルサウス諸国が自律的な経済発展を遂げるための支援が、国際社会全体の安定に寄与するという認識が広まっています。

Reference / エビデンス