北米連邦インフラ投資計画:2026年3月時点の予算配分と執行状況

2026年3月20日、北米における連邦インフラ投資計画は、米国とカナダの両国で異なる進捗と課題を抱えながら進行しています。米国では、インフラ投資雇用法(IIJA)が大規模な資金を投入し、インフラの近代化を推進していますが、その期限切れと予算削減の懸念が浮上しています。一方、カナダは新たな連邦予算でインフラ支出を強化し、地域開発に注力しています。本稿では、両国の最新の予算配分、執行状況、そして今後の展望について詳述します。

米国インフラ投資雇用法(IIJA)の予算配分と執行状況:2026年3月時点の主要数値

米国では、2021年に成立したインフラ投資雇用法(IIJA)が、国内の老朽化したインフラの改修と近代化を目的として、歴史的な規模の投資を進めています。米国運輸省(DOT)が2026年1月31日に発表した報告書によると、IIJAの総予算は4,960億9,165万1,000ドルに上ります。このうち、4,901億9,257万3,000ドルの資金が発表され、3,602億5,618万8,000ドルが義務付けられ、2,136億7,116万3,000ドルが支出済みとなっています。義務付けられた資金の割合は72.62%、支出済み資金の割合は43.07%であり、着実な進捗が見られます。

特に、カリフォルニア州にはIIJAから539億ドルの資金が発表されており、そのうち388.1億ドルが交通関連プロジェクトに充てられています。 また、部族コミュニティに対しても130億ドル以上が提供され、広範な地域への恩恵が期待されています。

しかし、2026会計年度の予算においては、IIJAの配分に一部削減が見られます。特に、電気自動車(EV)充電インフラ整備を目的としたNEVI EV充電プログラムからは、8億7,900万ドル以上が削減されました。 この削減は、IIJAの資金が計画通りに維持されるかどうかに懸念を投げかけています。

カナダ連邦インフラ投資計画の予算と進捗:2026年3月時点の概要

カナダでは、2025-2026年度の連邦予算「Canada Strong」が2025年11月に発表され、今後5年間で総額2,800億カナダドル(約2,051億米ドル)の支出が計画されています。この予算では、防衛、インフラ、住宅セクターへの支出が増加しており、国の基盤強化への強い意志が示されています。

カナダ政府は、2025-26年から2029-30年の間に1,590億カナダドルをインフラに支出すると推定されています。 具体的なプロジェクトとしては、2026年3月30日にノースウェスト準州イヌヴィックのインフラ整備拡充が発表される予定です。このプロジェクトには、地域防衛投資イニシアティブ(RDII)により、今後3年間で最大4,050万カナダドルが資金提供される見込みです。

北米インフラ投資計画における課題と今後の展望:2026年3月時点の分析

北米の連邦インフラ投資計画は、その規模と重要性にもかかわらず、いくつかの課題に直面しています。米国では、IIJAの権限が2026年9月30日に失効するため、建設業界では「インフラ資金の崖」として再承認の必要性が指摘されています。

2026会計年度の歳出法案では、IIJAの計画されたコミットメントがすでに削減されており、特にNEVI EV充電プログラムは、公式助成金5億380万ドル、競争的助成金3億ドル、共同オフィス資金7,500万ドルを含む約8億7,900万ドルの削減を受けました。 さらに、2026会計年度の予算教書では、バイデン政権下で成立したIIJAに基づく150億ドル以上の基金(再生可能エネルギー、大気中の二酸化炭素除去(DAC)など)を廃止する提案がなされており、今後の政策の方向性が注目されます。

また、将来の政権交代、特にトランプ政権下での「アメリカ・ファースト」政策は、インフラ投資の優先順位に大きな影響を与える可能性があります。重要鉱物の確保や製造業の国内回帰(リショアリング)の推進が、インフラ投資の新たな焦点となるかもしれません。

カナダでは、連邦政府のインフラプロジェクト報告方法が改善されたものの、インフラ支出全体のタイムリーで統合された概要がないという課題が指摘されています。代替予算案では、クリーン電力網や高速鉄道などの「真のインフラ」への投資が提唱されており、より戦略的なインフラ投資の必要性が議論されています。

Reference / エビデンス