グローバルサウス:資源ナショナリズムと産油国の輸出戦略が世界を揺るがす

2026年3月20日、世界は未曾有のエネルギー危機に直面している。ホルムズ海峡の事実上の封鎖、OPECの生産調整、そしてグローバルサウス諸国の資源ナショナリズムの台頭が複合的に作用し、国際市場はかつてない混乱に見舞われている。各国はエネルギー安全保障の確保に向け、代替調達戦略の強化と国際連携の模索を急いでいる。

ホルムズ海峡封鎖による世界的な原油供給ショック

中東情勢の緊迫化により、世界の石油供給網の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖され、世界経済に壊滅的な打撃を与えている。3月に入ってからの世界の石油供給量は、日量約800万バレルもの大幅な減少を記録した。海峡の通過量は紛争前の90%以上減少し、日量150万バレル以下にまで落ち込んでいるのが現状だ。これにより、湾岸諸国の精製能力も日量300万バレル以上が停止に追い込まれている。国際エネルギー機関(IEA)は、この状況を「世界の石油市場史上、最大の供給ショック」と定義し、その深刻さを強調している。日本政府は3月16日、この危機的状況に対応するため、民間備蓄15日分の原油を放出する方針を決定した。

OPECによる生産調整と市場安定化への動き

世界的な供給不安が高まる中、OPECは市場の安定化に向けた動きを見せている。3月1日に行われたOPEC有志8カ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)による会合では、世界の市場状況と見通しが検討された。その結果、4月から日量20.6万バレルの追加自主調整の巻き戻しを再開することが決定された。さらに、5月からのさらなる増産計画も示されており、OPECは市場の安定化へのコミットメントと、地政学的リスクへの対応を強調している。

グローバルサウス諸国の資源ナショナリズムと輸出戦略の多様化

資源を巡る国際情勢は、グローバルサウス諸国の資源ナショナリズムの台頭によっても大きく変化している。3月20日、トルクメニスタンは中国との間で、同国最大の天然ガス田「ガルキニシュ」の第4期開発を開始する決定に署名した。これにより、中国向けの天然ガス輸出量は年間650億立方メートルまで大幅に増加する見込みだ。

また、中国によるレアアース輸出規制の強化は、各国に資源確保の重要性を再認識させている。日本政府はこれに対し、予備費として390億円を追加支出する方針を示し、レアアースの安定供給確保に乗り出している。米国も、国内のレアアース鉱山開発に約16億ドルの投資を決定するなど、中国への依存度低減を図っている。こうした動きは、資源確保に向けたグローバルサウス諸国との連携強化が、今後の国際社会において不可欠であることを示唆している。

日本のエネルギー安全保障と代替調達戦略

日本は、ホルムズ海峡の危機とグローバルサウスの動向を受け、エネルギー安全保障の再構築を急務としている。3月16日に民間備蓄15日分の放出方針を示した日本は、3月下旬以降、原油輸入が大幅に減少する見通しに直面している。

高市首相は、4月には前年の調達量の2割以上、5月には過半の調達を確保する見込みであると述べた。特に、米国産原油の調達を5月には前年比約4倍に拡大する計画を明らかにしており、中東依存からの脱却を目指す姿勢を鮮明にしている。代替調達先としては、中央アジア、南米、カナダなどが挙げられており、多角的な供給網の構築が日本のエネルギー安全保障の鍵となるだろう。

Reference / エビデンス