グローバルサウス:重要鉱物資源の権益争奪と国家間の連携

2026年3月19日、世界は重要鉱物資源を巡る権益争奪戦の新たな局面を迎えている。経済安全保障の重要性が高まる中、日米欧はサプライチェーンの強靭化に向けた連携を強化し、グローバルサウス諸国との共創を模索している。一方で、レアアース市場における中国の支配力は依然として強く、各国は対抗戦略の構築を急いでいる。

日米欧の連携強化と多国間枠組みの構築

重要鉱物資源の安定供給確保は、現代の産業活動を支える上で不可欠な課題となっている。2026年3月18日、日本と米国は「重要鉱物サプライチェーン強靱性のための日米アクションプラン」を発出した。このアクションプランは、両国間の連携を一層強化し、重要鉱物サプライチェーンの脆弱性に対処することを目的としている。本日3月19日の日米首脳会談では、このアクションプランに基づく具体的な協力の推進が確認される見込みだ。

日米間の連携強化の背景には、特定の国への過度な依存を低減し、安定的な供給源を多角化する必要性がある。米国は、2026年2月4日に「2026年重要鉱物閣僚会合」を主催し、54カ国および欧州委員会が参加した。この会合では、重要鉱物市場の再構築に向けた議論が行われ、「資源の戦略地政学的関与に関するフォーラム(FORGE)」の創設が提案された。これは、多国間でのサプライチェーン再構築に向けた具体的な動きとして注目される。

また、米国通商代表部(USTR)は、重要鉱物に関する複数国間協定とサプライチェーン強靭化に向けたパブリックコメントの募集を本日3月19日に締め切った。このパブリックコメントは、今後の米国の政策形成に大きな影響を与えるものとみられている。日米欧は、こうした多国間での枠組みを通じて、重要鉱物資源の安定供給体制を確立し、経済安全保障を強化する方針だ。

グローバルサウスとの共創と資源外交の進展

日本は、重要鉱物資源の安定供給確保のため、グローバルサウス諸国との連携を強化している。その具体的な事例として、2026年3月23日には、伊藤忠商事とJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)が南アフリカのPGM(白金族金属)鉱山への追加投資を発表する予定だ。これは、日本がグローバルサウス諸国との共創を通じて、資源権益の確保とサプライチェーンの多様化を目指す姿勢を示すものとなる。

経済産業省は「グローバルサウス未来志向型共創等事業」を推進しており、グローバルサウス諸国との経済協力関係を深化させている。また、経団連は2026年1月8日に「グローバルサウスとの連携強化に向けて」と題する提言を公表し、日本のグローバルサウス戦略の全体像を示した。この提言では、経済協力だけでなく、人材育成や技術移転など多角的なアプローチの重要性が強調されている。

さらに、2026年3月26日には「2026年グローバルサウス金融フォーラム」が開幕する予定であり、グリーン金融連携に関する議論が活発に行われる見込みだ。これは、グローバルサウス諸国との経済協力が、単なる資源確保に留まらず、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた多角的な側面を持つことを示している。

中国のレアアース支配と対抗戦略

レアアースの世界的な供給網は、依然として中国に高度に集中している。この状況は、国際的な経済安全保障上の大きなリスクとして認識されている。中国はレアアースの生産・加工において圧倒的なシェアを占めており、その輸出管理の動向は世界の重要鉱物市場に直接的な影響を与える。

日本や米国は、中国への経済依存度を低減するため、代替供給網の構築や国内生産の強化を積極的に進めている。例えば、日米はレアアース供給網の構築に5500億ドルを投じる計画を進めている。これは、中国の支配に対抗し、安定的な供給源を確保するための重要な戦略だ。

2026年3月時点でも、中国のレアアース輸出管理は世界の重要鉱物市場に不確実性をもたらしている。各国は、中国の動向を注視しつつ、自国の経済安全保障を確保するための多角的な対抗戦略を模索している。国内での探査・開発の促進、リサイクル技術の高度化、そして友好国との連携強化が、その主要な柱となっている。

資源大国オーストラリアとの連携強化

オーストラリアは、リチウム、ニッケル、コバルト、レアアースなど、多種多様な重要鉱物資源を豊富に有する世界有数の資源大国である。日本は、このオーストラリアとの連携を強化することで、サプライチェーンの強靭化を図っている。

2026年3月23日に発表される予定のJETROのレポートは、オーストラリアの重要鉱物産業の現在地、各州の政策の違い、そして日豪連携の課題と展望について具体的に説明する見込みだ。このレポートは、オーストラリアが重要鉱物資源の供給源として、いかに戦略的な重要性を持っているかを浮き彫りにするだろう。

また、2026年2月に更新された「Australian Critical Minerals Prospectus」は、オーストラリアの重要鉱物分野における新たな投資機会を示唆している。日本企業は、このプロスペクタスを参考に、オーストラリアでの探査・開発プロジェクトへの参画を検討することで、重要鉱物資源の安定的な確保を目指すことが期待される。日豪間の連携は、単なる資源輸入に留まらず、技術協力や共同開発といった多角的なパートナーシップへと発展していく可能性を秘めている。

Reference / エビデンス