グローバルサウス:主要新興国の多角外交と政治的自律性(2026年3月19日時点の動向分析)

2026年3月19日、国際社会はグローバルサウス諸国の台頭と、それに伴う国際秩序の多極化という新たな局面を迎えている。主要新興国は、BRICSの拡大や「脱ドル化」の動き、中東情勢の緊迫化への対応、そして日本を含むG7諸国との関係性において、多角的な外交を展開し、政治的自律性を追求している。また、独自の金融協力体制を構築し、グリーン経済への移行を加速させる動きも顕著だ。

BRICSの拡大と「脱ドル化」の進展

グローバルサウスの結束力を象徴するBRICSは、2026年3月19日現在、その影響力を着実に拡大している。2024年10月のBRICS首脳会議以降、新たな「パートナー国」制度の創設が議論され、2025年4月時点では、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、イラン、エチオピアが正式加盟し、BRICSは10カ国体制へと移行した。さらに、アルジェリア、アルゼンチン、バーレーン、バングラデシュ、ベラルーシ、ボリビア、キューバ、ホンジュラス、インドネシア、カザフスタン、クウェート、ナイジェリア、パキスタン、セネガル、タイ、ベネズエラ、ベトナム、ジンバブエなど、20カ国以上が加盟に関心を示していると報じられている。この拡大は、グローバルサウスの国際舞台における発言力強化と、国際秩序の多極化を加速させるものと見られている。

また、BRICS諸国は、国際貿易におけるドル依存からの脱却を目指し、現地通貨決済システムの検討を活発化させている。これは、米国の金融政策や制裁措置の影響を回避し、経済的自律性を高めるための重要な戦略と位置づけられている。特に、ロシアと中国は、二国間貿易における現地通貨決済を推進しており、他の加盟国もこれに追随する動きを見せている。

中東情勢の緊迫化とグローバルサウスの政治的自律性

中東情勢の緊迫化は、グローバルサウス諸国の経済と政治的自律性に深刻な影響を与えている。2026年3月19日、国連西アジア経済社会委員会(ESCWA)は、アラブ地域が情勢悪化により1,500億ドルもの損失を被ったと報告し、世界銀行は支援を表明した。 同日、ホルムズ海峡の安全保障に関する英・仏・独・伊・蘭・日の首脳による共同声明が発表され、この地域の安定が国際経済にとって極めて重要であることが改めて強調された。

このような状況下、グローバルサウス諸国は、特定の陣営に偏らない多角的な外交を展開し、自国の利益を最大化しようと努めている。例えば、2026年3月18日から21日にかけて高市内閣総理大臣が米国を訪問し、イラン情勢を含む中東地域の安定化に向けた議論が行われた。 グローバルサウス諸国は、エネルギー供給の安定確保や、紛争の波及による経済的打撃の回避のため、主要国との対話を継続しつつ、独自の立場を堅持している。

日本とグローバルサウスの経済・外交連携強化

日本は、グローバルサウス諸国との経済・外交連携を強化する取り組みを加速させている。2026年3月19日現在、経済産業省は、グローバルサウス諸国との新たな共創関係を構築するための「グローバルサウス未来志向型共創等事業」を推進しており、2026年3月30日には、その公募事前周知が予定されている。 この事業は、日本の経済安全保障の強化と新市場開拓に貢献することを目指している。

具体的な連携強化の動きとして、2026年3月18日には、日本とベトナムの間で、グリーン転換に向けたODA融資に関する署名が行われた。 これは、日本の技術と資金を活用し、グローバルサウス諸国の持続可能な発展を支援するとともに、日本企業の海外展開を後押しするものであり、双方にとって利益となる関係性の構築を目指す日本の姿勢を示している。

G7とグローバルサウスの関係性:戦略的自律性の模索

G7とグローバルサウス諸国間の関係性は、多極化する国際情勢の中で、戦略的自律性を模索するグローバルサウスの動きによって複雑化している。3月27日に報じられることになっている南アフリカのG7サミット招待取り消しは、G7とグローバルサウス間の外交的溝を深め、国際秩序の多極化をさらに加速させる可能性を秘めている。

一方、3月26日から27日に開催されるG7外相会合では、重要鉱物サプライチェーンの強化に関する議論が行われる予定だ。 これは、グローバルサウス諸国が有する豊富な資源へのアクセスを確保し、経済安全保障を強化しようとするG7側の思惑が背景にある。G7フランス2026は、途上国とのパートナーシップ再構築を優先事項の一つとして掲げており、グローバルサウス諸国との関係改善に努める姿勢を示している。 しかし、グローバルサウス諸国は、G7からの支援を受け入れつつも、自国の利益を最優先し、特定の勢力に組み込まれることなく、独自の外交路線を追求する「戦略的自律性」を強く意識している。

グローバルサウス独自の金融協力とグリーン経済への移行

グローバルサウス諸国は、既存の国際金融システムへの依存を減らし、独自の金融協力体制を構築することで、経済的自律性を高めようとしている。3月26日に北京で開幕する「2026年グローバルサウス金融フォーラム」は、この動きを象徴するイベントだ。

このフォーラムでは、包摂的で持続可能な金融協力、特にグリーン金融の強化が主要な議題となる。グローバルサウス諸国は、気候変動対策や持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた資金需要が高まる中、国際的なグリーン資本の流れを牽引し、新たな国際金融ガバナンス秩序の構築に貢献することを目指している。 この取り組みは、グローバルサウスの強みと知恵を結集し、より公平でバランスの取れた世界経済の実現に向けた重要な一歩となるだろう。

Reference / エビデンス