2026年3月19日時点の国際海洋法を巡る領有権主張と政治的対立:主要な動向と影響
2026年3月19日、国際海洋法を巡る領有権主張と政治的対立は、南シナ海、ホルムズ海峡、北極圏といった主要なチョークポイントで依然として激化の一途を辿っている。特にこの数日間、各国は外交的声明や軍事的行動を通じて自国の戦略的意図を明確にし、国際社会に緊張が走っている。
南シナ海における領有権主張と行動規範の進展
南シナ海では、2026年3月19日を含む前後数日間、領有権主張を巡る動きが活発化している。中国とフィリピンは、南シナ海における行動規範(COC)に関する協議を加速させ、早期の合意を目指すことで合意したと、3月28日に発表された声明で明らかになった。この合意は、中国南東部の福建省泉州市で開催された南シナ海に関する二国間協議メカニズムの第11回会合で発表されたものだ。
しかし、その一方で、中国による軍事拠点拡大の報告も相次いでいる。3月23日に公開された報告書によると、中国は最近、南シナ海の西沙諸島にある羚羊礁(Antelope Reef)周辺の海底の浚渫を開始し、開発可能な土地を造成するために砂や岩石をこの岩礁に搬入しているという。 この活動は、15平方キロメートル以上に及ぶ埋立地区域に集中しており、かつては無人だった岩礁が人間の活動と重機で賑わっている状況が衛星画像で確認されている。
フィリピンは2026年の東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国として、COCが国連海洋法条約(UNCLOS)に準拠すべきであると強く主張している。 フィリピン当局は、長らく計画されてきた南シナ海での適切な行動を定めた行動規範は、UNCLOSに沿う必要があると述べており、その任期中に行動規範を完成させたい意向を示している。 フィリピンは、この規範には法的拘束力が必要であるという立場を繰り返し表明し、ASEAN加盟国と中国の間で「さらに深く議論」する必要があると述べている。
ホルムズ海峡の安全保障と国際法の複雑性
2026年3月19日、日本、英国、フランス、ドイツ、イタリア、オランダの6カ国は、イランが船舶を攻撃しているホルムズ海峡について、「安全な航行を確保するための適切な措置に貢献する用意がある」との共同声明を発表した。 この声明は、イランによる同海峡の事実上の封鎖を「最も強い言葉で非難する」ものであり、「航行の自由は国際法の基本原則だ」と強調している。
ホルムズ海峡は、イランとオマーンの領海によって構成されており、最も狭いところで幅が約40キロメートルしかないため、公海部分が存在しない。 国連海洋法条約(UNCLOS)は国際海峡における「通過通航権」を認めているが、イランは同条約を批准していない。 しかし、国際海峡における通過通航の自由は慣習国際法として成立している可能性が高く、非締約国であっても原則として拘束されるとの解釈が一般的である。 イラン政府はホルムズ海峡を封鎖していないという立場をとり、米国とイスラエルによる国際法違反の攻撃を受けたため、正当な自衛権の行使の一環として敵国である両国の船舶の航行を認めていないだけだと主張している。
日本政府は、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態にあるとみなし、国際法違反であるとしてその解除をイランに強く要請する立場をとっている。 3月19日の共同声明では、航行の自由は国際法の基本原則であり、UNCLOSの下でも保障されていると明記された。 3月19日の日米首脳会談では、トランプ大統領がホルムズ海峡での航行の安全確保に向けて日本など各国に貢献を要請したが、高市早苗首相は日本が法的にできることとできないことを説明し、具体的な約束はしていないと述べた。
北極圏の地政学的緊張と国際協力の課題
北極圏では、2026年3月19日時点においても地政学的緊張が高まっている。特に、グリーンランドを巡る米国の動向と欧州諸国の反応が注目されている。2026年1月上旬、トランプ米大統領はホワイトハウスでの記者会見で、デンマーク自治領グリーンランドの領有について改めて意欲を示した。 トランプ大統領は、グリーンランドがロシアや中国に領有されることは許容できないとし、その前に米国が行動を起こさなければならないと述べ、友好的な方法か強硬的な方法かは不明だが、米国はグリーンランドに対して何らかの措置を取ると強調した。
これに対し、グリーンランドやデンマークをはじめとした欧州諸国は牽制を強めている。トランプ大統領の会見に先立つ1月6日には、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、スペイン、英国、デンマークの首脳が共同声明を発表し、北極圏の安定・安全保障がNATOにとって優先事項であると明確にした。 声明では、北極圏の安全保障は米国を含むNATO加盟国と連携して協力して実施されるべきとした上で、デンマークとグリーンランドの問題は当事者のみが決定するものだと、米国を牽制した。 さらに、1月16日にはトランプ大統領が、グリーンランドで協力しない国には関税を課すかもしれないと述べ、欧州各国を牽制する発言も飛び出した。 1月17日には、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランドの8カ国を対象に、2月1日から「あらゆる製品」に対し10%の追加関税を課す方針をSNSで明らかにし、6月1日には25%に引き上げると警告した。
国際海洋法と紛争解決に向けた日本の取り組み
国際海洋法を巡る紛争解決に向け、日本は外交的取り組みを強化している。2026年3月17日、外務省は総合外交政策局に「国際和平調停ユニット」を設置したと、茂木敏充外務大臣が記者会見で発表した。 茂木外務大臣は、国際情勢がますます厳しくなり、各地で紛争が多発する中、紛争を未然に防ぎ、早期に収束させること、そして早い段階から問題に関与し、和平の実現から人道支援、最終的な復旧・復興までシームレスに対応していくことの重要性が高まっていると述べた。
このユニットの設置を通じて、日本は和平調停の取り組みに、より積極的かつ機動的に関与していく考えを示している。 茂木大臣は、日本の強みとして、例えばガザにおいてもイスラエルとパレスチナ双方としっかりした関係を保っているように、中東に限らず世界各地で日本が非常に信頼される存在であることを挙げた。 また、各地域局が持つこれまでの知見やノウハウも生かせるのではないかとの見解を示した。 日本は、航行の安全も極めて重要な課題であり、世界経済全体に影響を及ぼしかねない懸念が高まっている中で、地域の安定とエネルギーの安定供給に向けた対応を、米国を含む関係国と意思疎通を図りながら進めていくとしている。
Reference / エビデンス
- 中国とフィリピンが南シナ海問題で重要な合意に達した。 - Vietnam.vn
- 報告書が指摘、南シナ海の別の岩礁で中国が軍事拠点を拡大 - Indo-Pacific Defense FORUM
- フィリピン当局者が表明、南シナ海の行動規範は国際法に準拠すべき
- 国際法秩序からみた南シナ海問題 - 提言・論考 - SSDP 安全保障・外交政策研究会 - Society of Security and Diplomatic Policy Studies
- Six countries—Japan, the UK, Germany, France, Italy, and the Netherlands—issue a joint statement ...
- ホルムズ海峡封鎖の解除に向けて想定すべき対処シナリオ:村上拓哉 | 記事
- 高市総理がマクロン仏大統領と会談、日仏のさらなる連携深化を確認、日仏共同声明に署名(4月1日)
- イランのホルムズ海峡管理の国際法から見たときの複雑性
- ホルムズ海峡と港湾・パイプラインの地政学 -地政学的チョークポイントを巡る攻防
- トランプ米大統領、グリーンランド領有に向けての措置実施に言及、欧州諸国は牽制 - ジェトロ
- 「避けられたはずのグリーンランド危機」は米欧関係に何を残すか - 新潮社 Foresight(フォーサイト)
- Press conference by Foreign Minister Toshimitsu Motegi (March 17, 2026) - YouTube
- 高市総理がマクロン仏大統領と会談、日仏のさらなる連携深化を確認、日仏共同声明に署名(4月1日)