グローバル法人税改革の進展と多国籍企業の対応:2026年3月の動向

2026年3月19日、国際的な法人税改革、特にOECDが主導するグローバル・ミニマム課税(BEPS2.0第2の柱)の各国での法制化と適用が本格化する中、多国籍企業は実務上の対応に喫緊の課題を抱えている。この時期に発表されたOECDの新たなガイダンスや各国の税制改正、実務対応ガイドは、今後の企業戦略に大きな影響を与えるものとみられ、その動向が注目されている。

グローバル・ミニマム課税(Pillar Two)の最新動向と各国の法制化状況

グローバル・ミニマム課税(GloBEルール)の導入に向けた動きは、2026年3月現在、各国で着実に進展している。OECDは2026年1月5日、グローバル・ミニマム課税ルールに基づく新たな執行ガイダンスパッケージ「Side-by-Side Package」を公表し、特に移行期間国別報告(CbCR)セーフハーバーの1年延長や、適格国に係るSide-by-Side(SbS)セーフハーバーについて合意した。

日本の所得合算ルール(IIR)は、2024年4月1日以降に開始する対象会計年度から適用が開始されている。 また、軽課税所得ルール(UTPR)と国内ミニマム課税(QDMTT)は、2026年4月1日以降に開始する対象会計年度から適用される予定だ。

韓国では、2026年1月16日に国内追加税の詳細な施行規定が発表され、2026年2月5日までに立法予告が行われた後、2月中に公布・施行される予定となっている。 また、韓国においても移行期適用免除期限が1年延長された。 イスラエルも2026年からPillar Twoの導入を計画している。

多国籍企業の実務対応と課題

グローバル・ミニマム課税の適用開始が迫る中、多国籍企業は実務上の対応に追われている。PwC税理士法人は2026年3月6日、グローバル・ミニマム課税に関する実務対応ガイドを発行し、企業が直面する具体的な課題への対応策を提示した。 また、KPMGは2026年3月2日に「2026年3月期決算における税務上の留意事項」を公表し、令和7年度税制改正の内容が初めて適用されることについて言及している。

特に3月決算法人の場合、2025年3月期にかかる最初の国際最低課税額確定申告書や特定多国籍企業グループ等報告事項等が2026年9月末までに提出される必要がある。 これに伴い、企業は膨大な情報の収集、複雑な制度への対応、そして新たな税務申告プロセスの構築といった多岐にわたる課題に直面しており、専門家によるガイダンスが不可欠となっている。

関連する国際課税制度の改正と動向

グローバル・ミニマム課税の導入と並行して、関連する国際課税制度の改正も進められている。日本では、2026年1月23日に閣議決定された「グローバル・ミニマム課税に係る国際合意を踏まえた措置」を含む令和8年度税制改正において、グローバル・ミニマム課税の計算方法に関する見直しや、外国子会社合算税制(CFC税制)の見直しが含まれている。 これらの改正は、多国籍企業の税務戦略に大きな影響を与えるものとみられる。

また、OECDは2026年2月12日、BEPS行動計画第5項下の有害税制に関する最新の同輩審査結果を公表した。 これは、国際的な税の透明性と公平性を確保するための継続的な取り組みの一環であり、各国政府および多国籍企業にとって重要な情報となる。

米国における国際税務関連の動き

米国では、国際貿易裁判所(CIT)が2026年3月4日、国際緊急経済権限法(IEEPA)関税の還付を命じた。 さらに、2026年3月27日からは関税清算後の輸入申告についても還付を命じる決定を下している。 これを受け、米国税関・国境警備局(CBP)は2026年3月31日、IEEPA関税の還付手続きに関するシステム開発の進捗状況を報告した。 これらの動きは、米国の貿易政策および国際税務に影響を与える可能性があり、今後の動向が注視される。

Reference / エビデンス