グローバルサウスにおける重要鉱物資源の権益争奪と国家間連携の深化

2026年3月18日、世界は重要鉱物資源を巡る熾烈な権益争奪戦の渦中にあり、特にグローバルサウス地域はその主戦場と化している。電気自動車や再生可能エネルギー技術に不可欠なこれらの資源は、各国の経済安全保障と産業競争力を左右する戦略的要衝として、主要国間の競争と協力のダイナミクスを加速させている。

2026年3月18日:日米による重要鉱物サプライチェーン強化の動き

本日、2026年3月18日、日本と米国は「重要鉱物サプライチェーン強靱性のための日米アクションプラン」を発表し、重要鉱物資源の安定供給確保に向けた連携を一層強化する姿勢を明確にした。このアクションプランは、特定の国への過度な依存を低減し、サプライチェーンの多様化と強靱化を図ることを目的としている。

具体的には、同日、日米両国はレアアース元素と銅の共同開発に関する合意を発表した。これは、日本の南鳥島におけるレアアース開発協力覚書や、複数国間貿易協定の具体化に向けた協議の進展と連動しており、対米投融資を通じたリスク対策も視野に入れている。これらの動きは、重要鉱物資源の確保が単一国家の課題ではなく、国際的な協力体制の構築が不可欠であるという認識に基づいている。

アフリカにおける重要鉱物資源の権益争奪:日米中の動向

グローバルサウスの代表格であるアフリカ大陸は、豊富な重要鉱物資源を背景に、日米中といった主要国による権益争奪の舞台となっている。2026年3月23日には、伊藤忠商事とJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)が南アフリカの白金族金属(PGM)鉱山への追加投資を発表し、日本企業のアフリカにおけるプレゼンス強化を示した。同日、ナイジェリアは固体鉱物セクターへの外国直接投資(FDI)誘致を積極的に推進する方針を表明し、資源国側も自国の利益最大化を目指す動きを見せている。

特に、コンゴ民主共和国(DRC)では、米中間の競争が激化している。中国はDRCに対しゼロ関税措置を適用し、協力協定を通じて鉱物資源へのアクセスを強化している一方、米国企業もDRCの鉱物資源開発への投資を拡大しており、両大国による影響力拡大の動きが顕著である。このような状況は、アフリカ諸国が国際的な権益争奪の中で、いかに自国の発展と資源の持続可能な利用を両立させるかという課題に直面していることを浮き彫りにしている。

米国主導の重要鉱物サプライチェーン再編とグローバルサウスへの影響

米国は、中国への重要鉱物依存からの脱却を目指し、サプライチェーンの再編を主導している。2026年2月4日に開催された「2026年重要鉱物閣僚会合」では、バンス副大統領が「重要鉱物特恵貿易圏」の創設を提案し、グローバルサウス諸国を巻き込んだ新たな枠組み構築への意欲を示した。この提案は、重要鉱物市場の再構築を目指す米国の戦略の一環であり、中国の優位性に対抗するための多角的なアプローチを模索している。

また、米通商代表部(USTR)は、重要鉱物に関する複数国間協定とサプライチェーン強靱化に向けたパブリックコメントの募集を3月19日に締め切る予定であり、これは米国がグローバルな重要鉱物サプライチェーンの再編において、より広範な国際協力を求めていることを示唆している。これらの動きは、グローバルサウス諸国にとって、新たな投資機会や技術移転の可能性をもたらす一方で、主要国の地政学的戦略に組み込まれるリスクもはらんでいる。

中国のレアアース支配とグローバルな対抗策

中国は長年にわたりレアアース市場を支配しており、その影響力は依然として大きい。2026年初頭には、中国のレアアース輸出量は増加したものの、輸出収益は減少傾向にある。これは、国際的な需要と供給のバランス、および価格変動に起因すると考えられる。中国は2025年に導入した重レアアース元素の輸出規制を継続しており、さらに「第15次5カ年計画」において、レアアース産業における競争優位性の強化を明確に打ち出している。

これに対し、国際社会は中国依存からの脱却を目指し、対抗策を講じている。米国では、レアアース加工事業を強化するスタートアップ企業が台頭しており、国内でのサプライチェーン構築を加速させている。また、日本とオーストラリアは、重要鉱物供給網の強化に向けた連携を深めており、豪州の豊富な鉱物資源と日本の技術力を組み合わせることで、安定的な供給体制の確立を目指している。これらの取り組みは、中国のレアアース支配に対抗し、より多様で強靱なグローバルサプライチェーンを構築するための重要なステップである。

グローバルサウス諸国における重要鉱物開発と国際協力の新たな潮流

グローバルサウス諸国における重要鉱物開発は、持続可能な開発目標(SDGs)達成の観点からも注目されている。国際連合工業開発機関(UNIDO)は、日本政府の資金拠出のもと、グローバルサウス諸国における日本企業による大型実証をサポートする新事業を開始した。この事業は、技術移転と現地産業の育成を通じて、資源国の経済発展に貢献することを目指している。

さらに、2026年3月16日から17日にかけては、UNIDO、日本、ウクライナによる三者間産業政策対話が開催され、重要鉱物資源開発における国際協力の新たな可能性が議論された。このような多国間協力の枠組みは、グローバルサウス諸国が単なる資源供給国に留まらず、技術革新と持続可能な産業発展のパートナーとして、国際社会においてより重要な役割を果たすことを示唆している。

Reference / エビデンス