グローバルサウス:地域経済共同体の発展と貿易障壁の推移

2026年3月18日、グローバルサウス地域は、地域経済共同体の発展と貿易障壁の動向において、目覚ましい進展と同時に新たな課題に直面している。各国・地域は、経済統合の深化と貿易円滑化に向けた取り組みを加速させているが、地政学的緊張や非関税障壁といった要因が依然として影を落としている。

ASEAN地域における経済統合の進展と貿易政策

東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体は、2026年3月18日現在、経済統合の深化に向けた具体的な戦略を推進している。2026年3月に開催予定のASEAN経済大臣会合では、貿易・投資のシームレスな域内統合の深化、デジタル市場の発展、中小零細企業(MSME)の能力強化、グリーン経済への移行加速、クリエイティブ経済の推進という5つの戦略が提案された。これらの戦略は、ASEANが持続可能で包摂的な経済成長を目指す上で重要な指針となる。

貿易協定の交渉も活発に進められており、ASEANカナダFTAの交渉が進行中であるほか、ASEANインド物品貿易協定(AITIGA)の改定交渉は進捗率44.8%に達している。また、湾岸協力会議(GCC)との自由貿易協定(FTA)締結に向けた実現可能性調査の準備も進められている。

しかし、地域を取り巻く地政学的環境は不確実性を増している。2026年3月5日に発表された「ASEAN地域における2026年の地政学的展望」レポートは、米中関係の不透明感が続く中で貿易を巡る不確実性が高まっていると指摘する一方で、ASEAN地域が主要産業の投資先として重要性を増していることを強調している。 また、2026年3月30日に報じられた情報によると、5月に開催されるASEAN首脳会議は、燃料供給や食料価格、移民労働者といった喫緊の課題への対応に重点を置き、プログラムが最低限に短縮される見込みである。

アフリカ大陸における地域経済共同体の動向と貿易障壁

アフリカ大陸では、地域経済統合の動きが加速し、グローバル貿易における存在感を高めている。2026年3月23日から28日にアブジャで開催された「2026年アフリカ・カリブ投資サミット(AACIS)」では、アフリカとカリブ海諸国が40兆米ドル規模の巨大市場を形成し、農業、ヘルスケア、テクノロジーといった主要分野で具体的な投資機会を創出することを目指すことが強調された。

多角的貿易体制の再活性化も重要なテーマとなっている。2026年3月26日にカメルーンのヤウンデで開幕したWTO第14回閣僚会議(MC14)では、多角的貿易体制の再活性化の必要性が強調され、アフリカ諸国のグローバル貿易における存在感の高まりが議論された。

一方で、貿易障壁の撤廃は依然として大きな課題である。2026年2月24日から25日にナイロビで開催された「東アフリカビジネス・投資サミット&エキスポ2026(EABIS 2026)」では、非関税障壁(NTBs)が地域GDPの2〜3%の損失をもたらしていると分析された。非関税障壁の撤廃、規制の不整合、予測不可能な税制への対処が、今後の経済成長に向けた主要な課題として挙げられている。 2026年のアフリカ経済の成長率は4%台前半と予測されており、これらの課題克服が成長をさらに加速させる鍵となるだろう。

ラテンアメリカにおける経済統合と貿易政策の変遷

ラテンアメリカ地域では、経済統合の進展と貿易政策の変遷が注目されている。2026年3月25日に報じられたニュースによると、パナマが中米経済統合プロセスに正式参加した。これにより、関税撤廃、対外共通関税の採用、規格や基準の統一を通じて、ビジネス環境の改善が期待されている。

欧州連合(EU)とメルコスール間の自由貿易協定(FTA)交渉も進展を見せている。2026年2月4日の報道では、EUが対中国戦略としての地政学的焦り、重要鉱物資源の確保、欧州輸出産業の停滞打破という3つの理由から、協定の署名を急いでいることが指摘されている。

地域全体の政治・経済情勢も変化の兆しを見せている。2026年1月14日に発表された「右へ舵を切る中南米 ~対米接近が再編する地域秩序~」レポートは、中南米の多くの国で右派政権への移行が進み、経済政策や対米・対中関係に大きな変化が生じていると分析している。特に、リチウムや銅などの重要鉱物資源開発において、市場原理を重視する方向へのシフトが見られる。 金融政策では、ブラジル中央銀行が3月の金融政策決定会合で政策金利を15%から14.75%に引き下げたほか、メキシコでも利下げ再開の可能性が浮上している。

グローバルサウス全体の貿易・投資環境と主要国の戦略

グローバルサウス全体では、貿易・投資環境の改善と主要国の戦略的な動きが活発化している。2026年3月26日に北京で開幕した「2026年グローバルサウス金融フォーラム」には、30以上の国・地域の政府関係者、銀行関係者、ビジネスリーダー、国際機関の代表が集結し、より包摂的で持続可能な金融協力の強化に向けた連携を図った。

中国は2026年、貿易・投資協定の締結において「量」「質」「効果」を重視する方針を示している。湾岸協力会議(GCC)、スイス、韓国、ニュージーランド、太平洋島しょ国、中央アジアおよびアフリカ諸国との自由貿易に関する協力を推進し、「一帯一路」の共同建設国を中心に投資協定交渉を加速させる計画である。

グローバルサウスの経済的な存在感は着実に高まっている。2026年3月11日に発表された「米中対立が促す中堅中小のグローバルサウス展開、取るべき戦略は」レポートは、グローバルサウスが世界貿易の約4分の1を占めるまでに存在感を高め、今後の人口増加と市場拡大に伴う経済成長の見通しが明るいことを指摘している。 日本政府もこの動向を重視しており、経済産業省が実施する「グローバルサウス未来志向型共創等事業」の二次公募が2026年3月27日に締め切られた。令和7年度補正予算では、関連事業を含め総額約1,546億円が計上されており、グローバルサウスとの連携強化に向けた日本のコミットメントが示されている。

Reference / エビデンス