欧州、デジタル規制の波が加速:DMA執行、AIガバナンス、サイバーレジリエンスが焦点に

2026年3月18日、欧州連合(EU)はデジタル市場の公正性、AI技術の倫理的利用、そしてサイバー空間の安全性確保に向けた包括的な規制枠組みの強化を続けています。デジタル市場法(DMA)の本格的な執行が進行する中、AI法やサイバーレジリエンス法といった新たな規制の動向も活発化しており、デジタル経済全体に大きな影響を与えています。

デジタル市場法(DMA)の執行とゲートキーパーの動向

デジタル市場法(DMA)は、巨大IT企業を「ゲートキーパー」と指定し、その市場支配力を制限することで競争を促進することを目的としています。3月18日現在、DMAの執行は着実に進展しており、指定されたゲートキーパー企業(Alphabet、Amazon、Apple、ByteDance、Meta、Microsoftなど)は、その義務遵守に向けた対応を迫られています。特に、3月9日には各ゲートキーパーがDMA遵守に関する更新報告書を提出し、その内容が注目されています。

欧州議会は、DMAがAI駆動型サービスやクラウドベースのインフラにどのように適用されるかについて、3月27日に質問を提出する予定であり、規制の適用範囲に関する議論が深まっています。

個別の動きとしては、欧州委員会は1月27日に、Googleに対し相互運用性やオンライン検索データ共有に関する特定手続きを開始したことを公表しました。

一方で、2月5日にはApple AdsとApple MapsがDMAの指定対象外とされた決定も下されており、個別のサービスに対するDMAの適用判断が慎重に進められていることが伺えます。

また、3月20日にはDMAハイレベルグループの会議が開催される予定であり、今後の執行方針や課題について議論される見込みです。

AI法とAIガバナンスの進展

EU AI法は、AI技術のリスクに応じた規制を導入し、信頼できるAIの発展を目指しています。3月13日には、EU理事会がAI規則の合理化に関する立場を合意しました。

さらに、3月26日には欧州議会がAIオムニバスに関する立場を採択し、特にAIによる「ヌード加工アプリ」の禁止を提案するなど、倫理的な側面への強い姿勢を示しています。

高リスクAIシステムの規則適用延期に関する議論も継続されており、技術革新と規制のバランスが模索されています。

ディープフェイク技術の規制もAIガバナンスの重要な側面であり、3月18日にはその最前線に関する記事が公開され、EU AI法が日本企業に与える影響についても分析されています。

サイバーセキュリティとデジタルレジリエンスの強化

デジタル化が進む中で、サイバーセキュリティの確保はEUの喫緊の課題となっています。3月3日には、欧州委員会がサイバーレジリエンス法(CRA)に関するガイダンス案の意見募集を開始しました。

本日3月18日には、欧州データ保護委員会(EDPB)と欧州データ保護監察官(EDPS)が、サイバーセキュリティ法2.0(CSA 2.0)とNIS 2指令改正案に関する共同意見を採択し、サイバーセキュリティ規制の強化に向けた連携が図られています。

金融分野におけるデジタルオペレーショナルレジリエンス法(DORA)も2026年中にその影響が具体化すると見られており、金融機関のサイバーレジリエンス強化が求められます。

また、3月16日には、デジタルネットワーク法(DNA)が技術主権とサイバーセキュリティ強化に果たす役割について言及され、EUがデジタルインフラの安全性と自律性を高めるための戦略を推進していることが示されました。

データガバナンスとデータ法の適用

2025年9月12日に施行されたEUデータ法は、IoT製品やクラウドサービスから生成されるデータの取り扱いルールを確立し、データ共有を促進することを目的としています。

3月6日にはデータ法の施行に関する記事が公開され、その具体的な適用範囲や欧州域外企業への影響について詳細な解説がなされています。

データ法は、企業が生成するデータの公正なアクセスと利用を保証することで、新たなビジネスモデルの創出を促すと期待されています。また、3月12日にはDMAとGDPRの相互作用に関する共同ガイドライン協議も行われ、異なるデジタル規制間の整合性が図られています。

広範なEUデジタル戦略と国際協力

EUは、デジタル主権の確立を目指し、広範なデジタル戦略を推進するとともに、国際的な協力も強化しています。3月23日から30日にかけて東京で開催される第2回日・EUデジタルウィークでは、AI、半導体、デジタルインフラ、標準化、サイバーセキュリティなど多岐にわたるテーマが議論される予定です。

一方で、4月9日に公表される予定の米国USTRの2026年外国貿易障壁報告書(EU編)では、EUのデジタル規制が新たな貿易障壁として指摘される見込みであり、EUのデジタル戦略が国際貿易に与える影響についても注視が必要です。

Reference / エビデンス