東アジア:権威主義体制による経済統制と資本市場の推移(2026年3月18日時点)

2026年3月18日、東アジアの権威主義体制国家は、経済統制を強化しつつ、それぞれの資本市場において異なる動向を見せている。中国は全国人民代表大会(全人代)で新たな経済目標と統制強化の姿勢を示し、ベトナムは資本市場の国際化と格上げへの期待を高めている。一方、北朝鮮は経済と国防の二兎を追う予算拡大を打ち出した。これらの動きは、中東情勢の緊迫化や主要国の金融政策といった外部要因と複雑に絡み合い、東アジアの資本市場に多大な影響を与えている。

中国:全人代で示された経済統制と成長目標

2026年3月5日から12日にかけて開催された中国の全国人民代表大会(全人代)では、今後5年間の経済運営の指針となる「第15次5カ年計画(2026-2030年)」が採択された。この計画では、2035年までに一人当たりGDPを2020年比で倍増させる目標の達成に向け、内需拡大とハイテク産業振興を柱とした経済構造の転換が打ち出されている。また、2026年の実質GDP成長率目標は「4.5~5.0%」と、前年の「5%前後」から引き下げられた。これは、不動産不況や消費低迷といった構造的課題を抱える中国経済の現状を反映したものとみられる。

最新の経済指標を見ると、2026年3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.4%に上昇し、景況感の改善を示唆している。また、2025年末時点での実行ベース外資導入額は16年連続で7000億元を超え、外資の安定的な流入が続いている。しかし、米国との貿易摩擦は依然として中国経済の重しとなっており、全人代で採択された「民族団結進歩促進法」は、少数民族の文化や言語の統制強化につながる可能性が指摘されている。中国は「質の高い成長」や「新たな質の生産力」の確立を掲げ、ハイテク分野での「自立自強」を進める方針だが、その道のりは平坦ではない。

ベトナム:資本市場の国際化と格上げへの期待

ベトナムの資本市場は、国際資本の流れの増加と格上げ条件の整備により、「ブームポイント」段階に入っているとの見解が、2026年3月20日に開催された会議で示された。特に、外国人投資家の取引が約50%増加し、機関投資家の取引シェアが2023年の8%から約13%に増加するなど、具体的な数値にもその活況が表れている。

市場関係者の間では、FTSEラッセルによる新興市場への格上げに対する期待が高まっている。2026年3月の中間評価を控える中、この格上げが実現すれば、最大60億ドルの受動的・能動的資金流入をもたらす可能性があると予測されている。FTSEラッセルは、2026年3月の株式市場分類評価期間における中間レビューの結果、ベトナム証券市場をフロンティア市場から二次新興市場に格上げする計画を維持することを認めた。これは、グローバルな証券会社を通じた市場へのアクセス可能性の進展が評価されたためである。また、2026年2月5日に公表された「ベトナム企業統治原則2026」は、市場の質向上と投資家信頼強化を目指す動きとして注目されている。

北朝鮮:経済・国防の二兎を追う予算拡大

北朝鮮は、2026年の国家予算を前年比で5%以上増加させる方針を示した。この予算拡大は、経済の低迷脱却と国防力強化という二つの目標を同時に追求する、強気な姿勢を反映していると分析される。北朝鮮は、深刻な経済的困難に直面し、人権状況も改善されない中にあっても、軍事面に資源を重点的に配分し続けている。2026年に開催予定の朝鮮労働党第9回大会を控え、経済と軍事の5カ年計画の完遂に向けた実行力向上を図っているものとみられる。

東アジアを取り巻く地政学リスクと主要国の金融政策

2026年3月18日前後に顕在化した中東情勢の緊迫化は、原油価格の急騰とインフレ警戒感を引き起こし、東アジアを含むグローバルなサプライチェーンに不安心理をもたらしている。特に、韓国では2026年第2四半期の製造業景況感指数(BSI)が76に下落し、輸出企業指数が20ポイント低下するなど、経済活動への影響が顕著に表れている。

主要国の中央銀行の金融政策スタンスも、東アジアの資本市場に大きな影響を与えている。米連邦準備制度理事会(FRB)は3月18日に政策金利を3.5-3.75%に据え置くことを決定した。FRBは、発表した最新の経済見通しで今年と来年のインフレ率を上方修正し、年内の利下げはあと1回のみと予測している。中東情勢の混乱と原油価格の激しい変動が続くなか、FRBは雇用の下振れとインフレ高止まりの双方のリスクを見極める姿勢を示している。日本銀行も3月19日の金融政策決定会合で政策金利を据え置いた。中東情勢の緊迫化が交易条件の悪化や企業収益の下押し、マインドの慎重化などを通じて国内景気に与える影響に留意する必要があるとの見解が示されている。

Reference / エビデンス