北米:対外経済制裁と特定企業への輸出規制措置の動向(2026年3月17日時点)

2026年3月17日、北米地域では米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しを巡る貿易摩擦の激化、米国によるロシア産石油に対する一時的な制裁緩和、および中国関連企業への輸出規制強化の動きが顕著となった。これらの動向は、北米のサプライチェーンおよび国際貿易環境に多大な影響を与えており、今後の国際経済の行方を占う上で重要な局面を迎えている。

USMCA見直しと北米貿易摩擦の激化

北米地域では、2026年7月に期限を迎えるUSMCAの共同見直しを巡り、貿易摩擦が激化の一途を辿っている。2026年3月17日には、メキシコと米国がUSMCA見直しに関する二国間協議を行うことを公表した。そのわずか2日後の3月19日には、米通商代表部(USTR)がメキシコとのUSMCA見直し協議を正式に開始した。これらの動きに先立ち、カナダ政府は3月5日、米国による追加関税に対する大規模な報復措置の準備を本格化させると発表しており、北米一体型サプライチェーンの崩壊への懸念が高まっている。

特に、米国がUSMCA見直しにおいて「中国資本排除」の条文化を試みていることは、メキシコに進出している日本企業にとって深刻な影響を及ぼす可能性がある。サプライチェーンの再編を余儀なくされる企業も出てくることが予想され、今後の協議の行方が注目される。米国の貿易政策は、相互貿易協定に基づく取り組みを重視しており、2026年版「外国貿易障壁報告書」でもその姿勢が示されている。

米国によるロシア産石油制裁の一時緩和とエネルギー市場への影響

2026年3月12日、米国財務省外国資産管理室(OFAC)は、ロシア産原油および石油製品の配送・販売を一時的に許可する一般ライセンス134号を発行した。この措置は4月11日まで有効であり、イラン情勢の緊迫化を背景とした世界のエネルギー市場の安定化を目的としている。米国によるロシア産石油に対する制裁は継続されているものの、今回の限定的な緩和は、国際的なエネルギー供給網への配慮を示すものとみられる。この一時的な制裁停止は、タンカーに積載済みのロシア産石油に適用される。

米国の輸出管理規則(EAR)と特定企業への規制強化

米国は、特定企業への輸出規制を強化する動きを継続している。2025年9月29日には、米国商務省産業安全保障局(BIS)が輸出管理規則(EAR)の適用範囲を拡大し、エンティティー・リスト(EL)に掲載された事業体が50%以上所有する事業体も対象とすることを発表した。これは、中国関連企業への技術流出を阻止するための措置とみられている。さらに、2026年3月13日には、トランプ大統領が「米国製」をうたう広告の運用厳格化を命じる大統領令を発し、国内産業保護の姿勢を鮮明にした。

一方で、2026年3月14日には、AI半導体輸出に関する規制案が撤回されるという動きも見られた。これは、米中間の技術競争が激化する中で、規制のバランスを模索する米国の姿勢を示すものとして注目される。

米国による追加関税措置の修正と貿易政策の動向

米国の貿易政策は、保護主義的な傾向を強めている。2026年4月2日、トランプ米大統領は鉄鋼、アルミニウム、銅に対する232条関税の修正を発表した。これにより、4月6日からは金属含有量に関わらず、輸入申告価格全体に50%の追加関税が課されることになった。この措置は、国内産業の保護を目的としたものであり、関連産業に大きな影響を与えることが予想される。

また、2026年3月31日に公表された2026年版「外国貿易障壁報告書」では、米国の貿易相手国における貿易障壁が詳細に記述されており、相互貿易協定に基づく取り組みが強調されている。これらの動きは、米国が今後も自国の利益を最優先する貿易政策を推進していく姿勢を示唆している。

Reference / エビデンス