東アジア:権威主義体制による経済統制と資本市場の推移

2026年3月17日、東アジア地域では権威主義体制下の経済統制が資本市場に与える影響が引き続き注目されている。特に中国では、全国人民代表大会(全人代)で発表された新たな経済政策が域内の市場に波紋を広げ、地政学リスクの高まりも相まって、各国の資本市場は複雑な様相を呈している。

中国の経済統制と2026年全人代の政策方向性

2026年3月5日から12日にかけて開催された中国の第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議では、政府活動報告と第15次5カ年計画(2026-2030年)が採択され、今後の経済政策の方向性が示された。注目すべきは、2026年の経済成長率目標が「4.5~5.0%」に設定されたことである。これは4年ぶりの引き下げとなり、経済の安定と質の高い成長への転換を重視する姿勢が鮮明になった。

同時に、国防予算は前年比7.0%増と発表され、安全保障への重点的な投資が継続されることが示された。経済政策の柱としては、「質の高い発展」の追求、内需拡大、そして技術革新への重点が挙げられている。これは、過度な輸出依存からの脱却と、国内市場の活性化、そして自立した技術力の確立を目指す中国政府の強い意志を反映している。

中国資本市場の動向と地政学リスクの影響

2026年3月の中国資本市場は、地政学リスクの高まりにより大きく調整局面を迎えた。中東情勢の緊迫化、特に米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃の可能性が報じられたことで、原油価格が急騰。これを受け、上海総合指数は月間で6.5%下落し、香港ハンセン指数も6.9%の大幅な調整を記録した。

しかし、このような市場の不確実性の中でも、興味深い動きが見られる。中東諸国の政府系ファンドが、香港の新規上場(IPO)市場に積極的に投資しているという動向が指摘されている。これは、地政学的な緊張が高まる中でも、香港市場の流動性と成長性に対する一定の期待が維持されていることを示唆している。

東アジア他国の経済統制と資本市場の展望

東アジアの他の権威主義体制下の国々でも、経済統制と資本市場の動向は多様である。ベトナムでは、ファム・ミン・チン首相が2026年のGDP成長率目標を10%以上、一人当たりGDPを5,400ドルから5,500ドルに引き上げることを目指すと表明し、高い経済成長への意欲を示している。しかし、ベトナム株式市場も3月には調整局面に入り、世界的な市場の変動の影響を受けている。

一方、北朝鮮では、ITワーカーによる月額約100万ドル規模の不正な仮想通貨スキームが指摘されており、権威主義体制下における経済活動の不透明性と、国際社会の制裁を回避するための動きが続いていることが示唆されている。これらの動向は、東アジアにおける権威主義体制が、それぞれの国の経済発展と資本市場に異なる影響を与えつつも、国際情勢や地政学リスクと密接に絡み合っている現状を浮き彫りにしている。

Reference / エビデンス