北米連邦選挙と経済・通商政策の変遷:2026年3月16日時点の分析

2026年3月16日、北米大陸では連邦選挙の動向が経済・通商政策に与える影響が注目されている。米国の中間選挙、カナダの総選挙、そしてメキシコの経済パッケージとUSMCA見直しは、それぞれが複雑に絡み合い、地域の経済情勢に不確実性をもたらしている。

米国:2026年中間選挙とトランプ政権の経済政策

2026年11月に予定されている米国中間選挙に向けて、政治情勢は緊迫の度を増している。2026年3月16日に公開されたPwCのレポートによると、トランプ政権の支持率は2026年1月20日時点で42%を記録している。しかし、2026年3月26日から30日に実施された調査では、トランプ氏の経済政策に対する支持率が過去最低の31%に落ち込んだことが明らかになった。

現在、物価高対策(アフォーダビリティ)が中間選挙の主要な争点となっており、国民の生活に直結する経済問題への関心が高まっている。トランプ政権下では、保護主義的な貿易政策が継続する可能性が高いと見られており、これが国際経済に与える影響が懸念されている。

米国:貿易政策の動向と関税問題

トランプ政権の貿易政策は、引き続き国際社会の注目を集めている。特に、鉄鋼、アルミニウム、銅に対する232条関税の修正が発表され、含有量に基づく課税が廃止された。しかし、新たな一律関税の導入を巡っては、2026年3月5日には米国の24州がトランプ大統領の一律10%関税に対して提訴に踏み切った。さらに、2026年3月4日には国際貿易裁判所が「相互関税」で徴収した関税の返還を命じるなど、関税政策に対する逆風が続いている。

2026年7月には、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直し協議が予定されており、その行方が注目される。米国は貿易政策を移民や安全保障問題の交渉材料として利用する可能性も指摘されており、北米地域の貿易環境は依然として不確実性が高い状況にある。

カナダ:2025年総選挙後の経済・通商政策

カナダでは、2025年4月28日に実施された総選挙の結果、マーク・カーニー首相率いる自由党政権が政権を維持した。この選挙は、トランプ米大統領の貿易政策への対抗を主要な争点として前倒しで実施された経緯がある。カーニー首相は、過去の経済危機対応における実績が国民の支持を集め、自由党は169議席を獲得し第一党を維持した。

新政権は、AI商業化に向けて年間1,200万カナダドルの予算を計上し、中小企業向けAI導入税額控除を導入するなど、新たな経済政策を打ち出している。これは、技術革新を通じた経済成長と競争力強化を目指すカナダの姿勢を示している。

メキシコ:2026年度経済パッケージとUSMCA見直し

メキシコでは、クラウディア・シェインバウム政権が2026年度経済パッケージを提出した。このパッケージでは、2026年の経済成長率見通しを2.3%とし、財政赤字の漸進的な縮小を目指している。また、デジタル課税の強化を含む税制改正も盛り込まれており、財政基盤の強化を図る方針が示されている。

政治面では、2026年3月4日にメキシコ政府が連邦下院に選挙制度改革法案を提出した。経済面では、USMCAの見直しがメキシコ経済に与える影響が懸念されている。貿易の不確実性が高まることで、メキシコ経済の回復が制約される可能性が指摘されており、今後の動向が注視される。

Reference / エビデンス