グローバルサウス、経済共同体発展と貿易障壁の狭間で進む変革

2026年3月16日、世界経済の新たな牽引役として注目される「グローバルサウス」は、地域経済共同体の発展と貿易障壁の複雑な推移の中で、その存在感を一層高めている。日本政府による協力事業の進展、主要国の貿易政策の動向、そして地域経済の具体的な指標は、この巨大な経済圏が直面する機会と課題を浮き彫りにしている。

地域経済共同体の発展と日本の協力動向

グローバルサウスにおける地域経済共同体の発展は、日本の積極的な協力によって加速している。2026年3月10日時点で、経済産業省が推進する「グローバルサウス未来志向型共創等事業」の令和7年度補正予算(小規模実証・FS事業)の執行団体公募が進展を見せた。特に、2月20日にはTOPPAN株式会社が採択予定先として決定されたことが注目される。さらに、3月30日には令和7年度補正事業の公募に関する事前周知が行われるなど、日本政府のグローバルサウスへの関与は継続的に強化されている。

グローバルサウスの経済規模は、国際通貨基金(IMF)の予測によると、2025年の23.1兆ドルから2030年には32.0兆ドルへと大幅に拡大する見込みだ。これに伴い、世界GDPに占める比率も2025年の19.7%から2030年には21.4%に上昇すると予測されており、その経済的影響力は増大の一途を辿るだろう。

貿易障壁の推移と保護主義の動向

一方で、グローバルサウスを取り巻く貿易環境は、保護主義的な動きと自由貿易推進の動きが交錯し、複雑な様相を呈している。2026年3月26日から30日に実施された調査では、米国民の58%がトランプ氏の貿易政策に関する判断力を信頼しないと回答し、彼の経済政策に対する支持率は31%と過去最低を記録した。トランプ氏が全ての国・地域からの輸入品に15%の追加関税を課す可能性が指摘されており、これにより中国の実質GDPへの押し下げが0.73%から0.55%に縮小すると試算されている。

これに対し、中国は2026年にデジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加入交渉を積極的に推進するなど、より多くの貿易・投資協定の締結を推進する方針を明確にしている。これは、保護主義の台頭に対抗し、多国間協力による経済成長を目指す姿勢の表れと言える。

主要地域の経済動向と貿易状況

グローバルサウスの主要地域では、経済動向に顕著な変化が見られる。ブラジルの2026年2月の経常赤字は前年同月比で約45%減少し、56億ドルとなった。特に貿易収支は、2025年2月の11億ドルの赤字から2026年2月には35億ドルの黒字に転換し、経済の回復力を示した。

ベトナムでは、2026年3月の輸出入総額が過去最高を記録したものの、1~3月期全体では輸入超過となった。これは、国内需要の拡大と生産活動の活発化を示唆する一方で、貿易バランスの維持が今後の課題となる可能性を示している。

中東情勢の悪化は、地域経済に深刻な影響を与えている。2026年2月末以降の情勢悪化により、アラブ諸国は1カ月間で推定1,500億ドルの損失を被り、これは地域全体のGDPの3.7%に相当すると報告されている。また、ホルムズ海峡を通る貨物輸送の混乱による貿易損失は1日あたり約24億ドル、2週間で約300億ドルに達したとされ、国際貿易への影響も懸念される。

グローバルサウスにおける金融協力とグリーン経済

グローバルサウスは、持続可能な開発目標達成に向けた金融協力とグリーン経済への移行において、重要な役割を担いつつある。2026年3月26日に開催された「2026年グローバルサウス金融フォーラム」には、30以上の国・地域の政府関係者、銀行関係者、ビジネスリーダー、国際機関の代表が集結した。このフォーラムでは、より包摂的で持続可能な金融協力の強化、特にグリーン開発への連携が図られた。

中国の金融機関は「一帯一路」パートナー国においてグリーン・低炭素投資を行うよう奨励されており、グローバルサウスがグリーン投資における重要な拠点になりつつあることを示している。これは、気候変動対策と経済成長を両立させる新たなモデルとして、グローバルサウスが世界に貢献する可能性を秘めていることを示唆している。

Reference / エビデンス