東アジア情勢分析:中国の新経済政策、資本市場の変動、北朝鮮経済の現状と中東情勢の影響

中国:全人代で示された新たな経済政策の方向性

2026年3月12日に閉幕した中国の全国人民代表大会(全人代)では、2026年の経済成長率目標が「4.5~5.0%」に設定されました。この目標は前年の「5%前後」から3年ぶりに引き下げられたものであり、過度な投資から消費を重視する政策への転換が打ち出されたことを示唆しています。李強首相は、消費のてこ入れを図るとともに、半導体や航空宇宙産業の育成を急ぐ方針を表明し、「非効率な投資は断固として防ぐ」と強調しました。

同時に採択された第15次5カ年計画(2026~2030年)は、「質の高い成長」への移行を定着させるための重要な時期と位置づけられています。計画では具体的な成長率数値目標は示されず、「経済構造の最適化と質の向上を基盤として、GDPの伸びを合理的な範囲内に保つ」と表現されました。主要目標には「科学技術の自立自強」が含まれ、半導体など先端技術の国産化推進が挙げられています。また、人口減が進む中での介護や子育て支援拡充による消費喚起も掲げられています。

全人代では、経済成長率目標や第15次5カ年計画とともに「民族団結進歩促進法」が可決・承認されました。この法律は標準中国語での教育をさらに進める方針などを定めており、少数民族独自の文化や言語が失われる可能性や、当局による統制がさらに強まる可能性が指摘されています。

中東情勢が影を落とす中国資本市場の動向

2026年3月の中国株式市場は大きく調整しました。上海総合指数は-6.5%、香港ハンセン指数は-6.9%の下落を記録しました。特にハンセンテック指数は、2025年10月2日の高値から約30%の大幅な下落となりました。

この調整の主な要因として、米国・イスラエルによるイランへの攻撃の影響による原油価格の急騰が市場全体を冷え込ませたことが挙げられています。中国は消費する原油の約7割を海外からの輸入に頼り、そのうち約4割を中東4ヶ国から輸入しているという構造的な脆弱性を抱えています。中東情勢の緊迫化は、中国にとってコストプッシュ型インフレのリスクを高め、回復基調にある内需に悪影響を与える可能性があります。

北朝鮮:予算拡大と停滞する対外経済交流

北朝鮮は2026年の国家予算を前年比5%以上増やす方針を示しました。

一方で、北朝鮮は観光客の受け入れを依然として認めていない現状にあります。これにより、中朝間の人的交流の回復は、経済的側面や北朝鮮側の慎重な姿勢によって依然として制約を受けています。

Reference / エビデンス