高市政権の財政・税制改革動向:PB目標見直しと増減税議論の現状(2026年3月)

財政健全化目標の変遷と高市首相の新たな方針

高市首相は、国と地方を合わせたプライマリーバランス(PB)の黒字化目標について、単年度での達成から複数年度でバランスを確認する方向へ見直す方針を示しています。この方針は、2026年1月22日の経済財政諮問会議で内閣府が示した、2026年度のPBが8000億円程度の赤字になるという試算を受けたものです。首相は、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げることを新たな目標として重視する姿勢を改めて表明しています。

防衛増税と復興特別所得税の見直し

2026年3月12日の衆議院予算委員会において、高市首相は防衛力の強化に向けた安定的な財政基盤を確保するため、「防衛特別所得税」の創設が必要であるとの見解を示しました。同時に、家計への負担増を避ける目的で、復興特別所得税の税率引き下げと、その課税期間を10年間延長する案が検討されていると説明しました。これらの税制措置は、防衛費増額と国民負担のバランスを考慮したものです。

消費税減税議論の現状:飲食料品ゼロ税率の可能性

2026年3月12日の衆議院予算委員会では、飲食料品に対する消費税を2年間ゼロ税率とする案が議論されました。これは、給付付き税額控除の導入に時間を要することから、それまでのつなぎ措置として一時的な負担軽減を目的としたものです。片山さつき財務大臣は、消費税減税の制度設計に関する中間取りまとめを夏前に行い、必要な法案の早期提出を目指す考えを示しています。このゼロ税率案は、インボイス制度導入後の事業者への影響や、複数税率による事務負担の増加、そして財源確保の課題といった側面から議論されています。

経済指標と市場の反応

2026年3月10日から12日にかけて、複数の経済指標が発表されました。3月10日には、2025年第4四半期の実質GDP2次速報値が前期比0.3%、前期比年率1.2%と予想されました。翌3月11日には、2月の国内企業物価指数が前月比0.2%、前年比2.2%で発表されています。3月12日の東京時間には、特筆すべき経済指標の発表はありませんでした。

この期間中、日経平均株価はイラン情勢などを背景に乱高下しました。3月10日には前日の急落から一転し一時1900円以上上昇。翌11日には一時1200円超上昇し、5万5000円台を回復する場面もありました。しかし、3月12日には円安進行と原油高による生産コスト上昇懸念から、再び一時1200円程度下落しました。こうした不安定な経済・市場環境は、財政健全化や増減税に関する政府の議論に対し、複雑な背景を提供しています。

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Reference / エビデンス