2026年3月 グローバルサウスの資源政策と地政学:投資環境への影響

2026年3月:グローバルサウスにおける資源政策と投資環境の転換点

2026年3月までに、米国は「FORGEイニシアティブ」を立ち上げ、グローバルサウス諸国とのパートナーシップを強化し、重要鉱物資源のサプライチェーンの脆弱性を低減することを目指しました。これには、回復力のある調達を促進するための新たな二国間協定の締結が含まれています。

一方、2026年3月12日にはイラン紛争が激化し、世界のエネルギー市場に大きな影響を与え、原油価格の急騰とインフレ懸念の増大を引き起こしました。特に、世界の石油供給の約5分の1を占めるホルムズ海峡の事実上の閉鎖は、世界の石油供給に深刻な混乱をもたらしました。

これらの動きは、グローバルサウスの資源政策と投資環境が、主要国による資源確保戦略と地政学的要因に強く影響される現状を示しています。

資源国有化の新たな波:ラテンアメリカとアジアの事例

ラテンアメリカでは、ブラジルが2026年に鉱業・エネルギー省による国家鉱業計画2050の更新に向けた公開協議を開始しました。この見直しでは、持続可能な開発とリチウム、レアアース、銅などの重要鉱物資源の潜在力に重点が置かれています。

2026年3月2日には、ブラジル最高連邦裁判所が、先住民の土地での鉱物探査を規制する法律の制定期限を24ヶ月と定め、暫定規則を設けました。この規則は、影響を受けるコミュニティとの自由で事前の情報に基づいた協議と、先住民が経済的収益に直接参加することを義務付けています。

アジアのインドネシアでは、ニッケル産業の成長の多くが中国からの投資によって推進されています。

重要鉱物を巡る地政学的競争と主要国の戦略

重要鉱物資源を巡る国際的な競争が激化する中、米国は2026年2月4日に「FORGEイニシアティブ」をミネラルセキュリティパートナーシップ(MSP)の後継として立ち上げました。米国政府はアルゼンチンを含む11カ国と新たな二国間重要鉱物枠組みまたは覚書に署名し、戦略的鉱物プロジェクトを支援するために300億ドル以上の資金を動員しています。これにより、グローバルサウス諸国との連携を通じて重要鉱物資源のサプライチェーンの脆弱性を低減し、中国の市場支配に対抗しようとしています。

一方、中国は世界のコバルトとリチウムの70%以上、ほぼ全てのグラファイトの抽出・加工を支配しており、20の主要な工業用鉱物のうち19の主要な精錬国です。これは、2000年から2021年にかけてアフリカ、ラテンアメリカ、アジアの約20カ国に570億ドル近くを投じた数十年にわたる戦略的投資の結果です。

2026年3月現在、世界の鉱業・金属セクターは地政学的競争の中心にあり、各国政府はサプライチェーンの脆弱性が深まる中で、供給に影響を与えるために鉱業事業に直接的な財政的関与を強める傾向が見られます。

グローバルサウスの投資環境:課題

2026年3月、中東紛争の激化とホルムズ海峡の事実上の閉鎖は、世界のエネルギー市場に大きな混乱をもたらしました。ブレント原油先物は60%以上急騰し、WTI原油は1バレル100ドルを超え、2022年以来の高値を記録しました。この危機は、世界の石油供給の約5分の1を占めるホルムズ海峡を通る船舶輸送を大幅に制限し、石油・ガス価格を急騰させました。

米国とイスラエルによるイランへの軍事作戦の激化は、石油インフラやペルシャ湾の商船を標的とし、中東全域でエネルギーの流れを寸断しました。中東の産油国は日量約1,000万バレルの生産量を削減し、大規模な供給途絶が発生しました。この史上最大の石油ショックは、世界のエネルギー供給に大きな混乱をもたらし、インフレ懸念を増大させました。

その結果、世界の株式市場は急落し、ソブリン債も下落しました。この状況は、化石燃料サプライチェーンの脆弱性を露呈させ、ほとんどの国が混乱にいかに脆弱であるかを示しました。

結論:多極化する世界におけるグローバルサウスの資源戦略と投資の未来

2026年3月現在、多極化する世界情勢の中で、グローバルサウスの資源政策は変化の只中にあります。ブラジルにおける国家鉱業計画の見直しや先住民の権利尊重の動きに見られるように、国内資源の持続可能な管理と付加価値向上への意識が高まっています。インドネシアのニッケル産業における中国からの投資の役割は、この地域の資源開発における国際的な関与の側面を示しています。

重要鉱物を巡る国際的な競争は激化の一途をたどっています。米国は「FORGEイニシアティブ」を通じてサプライチェーンの多様化と強靭化を図る一方、中国は長年の戦略的投資により主要な工業用鉱物の抽出・加工・精錬において圧倒的な支配力を維持しています。各国政府が鉱業事業への直接的な財政的関与を強める中、グローバルサウス諸国は主要国間の影響力争に直面しています。

中東紛争の激化とそれに伴うエネルギー市場の混乱は、グローバルサウスの投資環境における地政学的リスクの大きさを浮き彫りにしました。これらの複合的な要因が、今後のグローバルサウスの資源戦略と投資の方向性を決定づける重要な要素となるでしょう。

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Reference / エビデンス

  • South Sudan to take over oil operations in nationalization drive - Oil & Gas Advancement 2026年3月28日、南スーダンは国際石油企業の事業を5年間で引き継ぎ、収益シェアを増やす計画を発表しました。これは、アフリカ諸国が自国の石油・ガス田でより積極的な役割を果たすという広範な動きを反映しており、国営ナイル・ペトロリアム・コーポレーションの役割を強化し、契約満了時に資産を引き継ぐことを含みます。専門知識がない分野では、一時的に外国人を雇用し、その間に現地の人材を育成する方針です。
  • US Pursuit Critical Minerals Global South Impact March 2026 - The Green Blueprint 2026年3月14日までに、米国は「FORGEイニシアティブ」を立ち上げ、グローバルサウス諸国とのパートナーシップを強化し、重要鉱物資源を確保することを目指しています。これには、サプライチェーンの脆弱性を低減し、回復力のある調達を促進するための新たな二国間協定(アルゼンチン、モロッコ、フィリピンなど)が含まれ、中国の市場支配に対抗するための外交関係と連携が重視されています。
  • Africa's critical minerals boom: The rise of a new resource nationalism 2026年3月16日、多くのアフリカ諸国は、豊富な重要鉱物資源(リチウム、コバルト、銅)からより多くの付加価値を得るため、原材料輸出だけでなく、加工を求める新たな政策を実施しています。この「新たなナショナリズムの波」は、数十年にわたる「雇用なき成長」への不満から生じており、「ピット・トゥ・ポート」モデルから産業大国への転換を目指しています。
  • Between the margins March 2026 - Empower 2026年3月12日、イラン紛争の激化は、世界のエネルギー市場に大きな影響を与え、原油価格の急騰とインフレ懸念の増大を引き起こしました。特に、ホルムズ海峡の事実上の閉鎖は、世界の石油供給に深刻な混乱をもたらしました。
  • Market moves & themes that mattered: March 2026 - Janus Henderson Investors 2026年3月、中東紛争の激化とホルムズ海峡の事実上の閉鎖により、ブレント原油先物は60%以上急騰し、WTI原油は1バレル100ドルを超え、2022年以来の高値を記録しました。これにより、世界の株式市場は急落し、ソブリン債も下落しました。
  • March 2026 | Carbon Minefields Oil and Gas Exploration Monitor 2026年3月、米国とイスラエルによるイランとレバノンへの軍事作戦の激化により、石油インフラやペルシャ湾の商船が標的となり、中東全域でエネルギーの流れが寸断されました。これにより、世界の石油供給の約5分の1を占めるホルムズ海峡を通る船舶輸送が大幅に制限され、石油・ガス価格が急騰しました。中東の産油国は日量約1,000万バレルの生産量を削減し、大規模な供給途絶が発生しました。
  • The great oil and gas reckoning of 2026 - Zero Carbon Analytics 2026年3月、米国とイスラエルがイランを攻撃し、イランがホルムズ海峡をほぼ閉鎖したことで、史上最大の石油ショックが発生しました。この危機は化石燃料サプライチェーンの脆弱性を露呈させ、ほとんどの国が混乱にいかに脆弱であるかを示しました。
  • Global National: March 19, 2026 | Middle East war spreads to Gulf oil and gas sites 2026年3月19日、米国とイスラエルによるイランへの攻撃の結果、イランが湾岸諸国を攻撃し、エネルギー施設に打撃を与えました。イスラエルは世界最大の天然ガス田であるイランのサウスパルスを爆撃し、イランはカタールのラスラファン工場を攻撃しました。これにより、原油価格は一時1バレル120ドルに達しました。
  • Nickel Miners News For The Month Of March 2026 | Seeking Alpha 2026年3月、世界最大のニッケル生産国であるインドネシアは、バッテリー金属の海外出荷に課税することに合意した後、ニッケル価格が急騰しました。イラン紛争による原油価格高騰で予算が逼迫する中、インドネシアはコモディティへの臨時課税を検討していましたが、3月27日には石炭とニッケル輸出に対する臨時課税を延期したと報じられました。インドネシアのニッケル産業の成長の多くは中国からの投資によって推進されています。
  • 2026: A Year of Mining Policy Overhauls Across the Americas - Investing News Network 2026年、南北アメリカ大陸の各国政府は、重要金属の探求が激化する中で、鉱業政策の見直しを進めています。ブラジルでは、鉱業・エネルギー省が国家鉱業計画2050の更新に向けた公開協議を開始し、持続可能な開発と重要鉱物(リチウム、レアアース、銅など)の潜在力に重点を置いています。
  • Mining Newsletter | March 2026 - Lefosse 2026年3月2日、ブラジル最高連邦裁判所は、先住民の土地での鉱物探査を規制する法律の制定期限を24ヶ月と定め、暫定規則を設けました。この規則は、影響を受けるコミュニティとの自由で事前の情報に基づいた協議と、先住民が経済的収益に直接参加することを義務付けています。
  • 2026 Critical Minerals Ministerial - U.S. Embassy & Consulates in China 2026年2月4日、米国は「FORGEイニシアティブ」をミネラルセキュリティパートナーシップ(MSP)の後継として立ち上げ、アルゼンチンを含む11カ国と新たな二国間重要鉱物枠組みまたは覚書に署名しました。米国政府は、戦略的鉱物プロジェクトを支援するために300億ドル以上の資金を動員しています。
  • America needs partners to challenge China's critical mineral chokehold - Chatham House 2026年3月16日の分析によると、中国は世界のコバルトとリチウムの70%以上、ほぼ全てのグラファイトの抽出・加工を支配しており、20の主要な工業用鉱物のうち19の主要な精錬国です。これは、2000年から2021年にかけてアフリカ、ラテンアメリカ、アジアの約20カ国に570億ドル近くを投じた数十年にわたる戦略の結果です。
  • Mining News Summary March 2026 2026年3月、世界の鉱業セクターは地政学的競争の中心にあり、各国政府はサプライチェーンの脆弱性が深まる中で、供給に影響を与えるために鉱業事業に直接的な財政的関与を強めています。
  • 2026 Global South Financiers Forum held in Beijing - Xinhua 2026年3月25日、北京で開催された「2026年グローバルサウス金融家フォーラム」では、気候変動への対応と持続可能な開発を推進するために、グローバルサウス諸国間のグリーンファイナンス協力の深化が不可欠であると強調されました。中国は、高い水準の金融開放を通じて、グリーン産業におけるグローバルサウス諸国との協力を深め、世界の持続可能な開発に貢献する意向を示しました。
  • Global South eyes vast opportunities in green finance cooperation - Xinhua 2026年3月27日、北京で開催された「2026年グローバルサウス金融家フォーラム」では、グローバルサウス諸国間のグリーンファイナンス協力の深化が、気候変動への対処と持続可能な開発を推進する上で不可欠な道筋であると指摘されました。中国農業銀行の王志恒総裁は、グローバルサウスのグリーンセクターへの資本流入が顕著になっており、豊富な資源と広大な開発潜在力がグリーン投資の主要な目的地となっていると述べました。
  • Economic Watch: Global South eyes vast opportunities in green finance cooperation - China.org 2026年3月26日、北京で開催された「2026年グローバルサウス金融家フォーラム」では、気候変動への対処と持続可能な開発の推進において、グローバルサウス諸国間のグリーンファイナンス協力の深化が重要な道筋であると参加者が指摘しました。
  • Developing countries are being priced out, in struggle for affordable finance | UN News 2026年3月30日、国連は、発展途上国が持続可能な開発に不可欠な手頃な資金から締め出されており、ソブリン信用格付けがリスクを過大評価し、長期的な経済潜在力を見過ごしていることが多いと発表しました。発展途上国全体で年間約1.4兆ドルの債務返済費用がかかり、34億人以上が保健や教育よりも債務利払い費に多くを費やしている国に住んでいます。
  • MC14: CSE, African Future Policies Hub's new policy brief calls for equitable trade-climate agenda in run up to WTO's 14th Ministerial Conference - Down To Earth 2026年3月24日、科学環境センターとアフリカ未来政策ハブによる新たな政策提言は、貿易と気候変動の連携がグローバルサウスの発展途上国の不平等を深めるリスクがあることを強調しました。商品依存と限られた産業能力により、発展途上国は新たなグリーン経済への参加に障壁を抱えています。