2026年3月 グローバルサウス発の通貨多極化:非米ドル決済網構築と国際金融秩序への影響

加速する非米ドル決済網構築の動き:2026年3月の主要動向

2026年3月、国際金融市場ではグローバルサウスを中心とした非米ドル決済網の構築に向けた具体的な動きが加速している。BRICS諸国は、2026年の段階的な稼働を目指す統一決済システム「Brics Pay」の導入計画を具体化している。これと並行して、ロシアとインドの間では、2026年3月の石油・液化天然ガス(LNG)貿易の約96%が自国通貨で行われるなど、ドル依存からの脱却が顕著に進展した。

また、日本銀行は2026年3月12日に「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」第10回会合の議事要旨を公表し、CBDCを巡る国際的な動向について議論が行われたことを明らかにした。これらの動きは、国際金融秩序の多極化が現実のものとなりつつある現状を示唆している。

BRICSの「脱ドル化」戦略と新決済システム「Brics Pay」の進展

新興国グループBRICSは、国際金融秩序の再編を加速させる中で、「脱ドル化」戦略を推進している。この戦略は、米ドルへの依存を減らし、自国通貨や代替システムでの取引を増やすことを目的としている。2026年3月9日時点の動向として、BRICS諸国はこの取り組みを強化している。

特に、2026年の段階的な稼働を目指す統一決済システム「Brics Pay」の導入計画が具体化していることは注目に値する。これは、ドルや国際銀行間通信協会(SWIFT)に依存してきた従来の決済体制に対し、段階的かつ現実的な代替モデルを構築しようとするものである。

具体的な事例として、2026年3月にはインドによるロシア産原油の輸入が日量約206万バレルに急増し、その貿易の約96%が自国通貨で行われた。この非ドル決済の拡大は、ホルムズ海峡の供給混乱を受け、インドが代替供給源としてロシアのウラル原油を求めたことが背景にある。BRICS同盟は現在、世界のGDPの35%以上と世界人口の45%を代表しており、その経済的影響力は大きい。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)の国際決済における役割拡大と中国の先行事例

中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、国際決済の多極化においてその役割を拡大している。中国はデジタル人民元の導入で先行しており、2026年1月から利息付与を開始し、世界初の利息付きCBDCとなった。この動きは、デジタル人民元が「デジタル現金」から「デジタル預金通貨」へとその性格を変える重要な転換点と認識されている。中国は、国際決済における影響力拡大を目指す戦略の一環として、CBDCを活用したクロスボーダー決済で「国際標準」を確立したいという強い意欲を示している。

実際、マルチCBDCプラットフォーム「mBridge」における越境決済業務では、デジタル人民元の取引額が全体の約95.3%を占めている。一方、日本銀行は2026年3月12日に公表した「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」第10回会合の議事要旨で、2026年2月2日に開催された会合において、CBDCのパイロット実験の進捗状況や、デジタルユーロのクロスボーダー利用に関する検討など、海外の動向が説明されたことを明らかにしている。

グローバルサウスにおける通貨多極化の経済的含意と今後の展望

グローバルサウスにおける非米ドル決済網の構築と通貨の多極化は、世界経済に広範なマクロ経済的含意をもたらす。米ドル基軸通貨体制への挑戦は、貿易決済、資本移動、金融安定性、そして地政学的バランスに影響を及ぼす可能性がある。新興国が自国通貨での貿易決済を拡大する動機としては、国際取引におけるドル為替変動リスクの軽減や、金融制裁の影響を回避する狙いが挙げられる。

しかし、この動きには潜在的なメリットと同時にリスクも伴う。自国通貨での決済拡大は、貿易相手国の通貨に対する為替変動リスクや、十分な流動性が確保できない流動性リスクなどの課題を提起する可能性がある。これらの進展は、国際金融システムが多極化の時代へと移行しつつある現状を示しており、今後の国際経済秩序のあり方を再考させるものとなる。

[ Advertisement ]

Reference / エビデンス