2026年3月 グローバル重要鉱物市場の動向:グローバルサウスの戦略と政策を分析
チリ新政権発足とリチウム戦略の再編
2026年3月11日、ホセ・アントニオ・カスト大統領がチリの新政権を発足させました。この政治的移行は、世界の主要なリチウム生産国の一つであるチリのリチウム部門の中長期的な方向性に影響を与える可能性があります。新政権の初期の構造的決定として、鉱業省と経済省が単一のポートフォリオに統合されたことは、鉱業政策と広範な経済的・投資目標を連携させる意図を示唆しています。南米は2026年までに世界の塩水由来リチウムの60%以上を供給すると予測されており、チリは引き続き主要なリチウム生産国であり続ける見込みです。既存の操業は、2026年の生産量増加を支えるものと見られています。グローバルサウスにおける資源外交の多層化:米ブラジル間の事例
2026年3月、ブラジルで開催された米国との重要鉱物フォーラムにおいて、ブラジル連邦政府関係者が外交儀礼上の懸念から参加を辞退し、外交的緊張が生じました。しかし、このような状況にもかかわらず、100社以上の企業がサンパウロの米国商工会議所でのイベントに参加を表明し、民間セクターの連携への強いコミットメントを示しました。この事例は、重要鉱物資源に関する外交が、連邦政府レベルの外交だけでなく、州レベルのエンゲージメントや民間セクターの協力といった複数のレベルで同時に進行する複雑な様相を呈していることを浮き彫りにしています。実際に、2026年3月11日にはFastmarketsとNet-Zero Circleが南米のリチウム市場における課題と機会を議論するイベントを共催しました。主要国・地域の政策動向:供給網確保に向けた動き
世界各国・地域は、重要鉱物資源の安定供給網確保に向け、戦略的な政策動動を進めています。 **中国の投資戦略** 中国は2023年以降、海外の鉱業および上流加工に1200億ドル以上を投資し、リチウム、銅、ニッケル、レアアースといった重要鉱物資源のグローバルサプライチェーン再構築を推進しています。2026年3月に行われた再編により、中国はインフラ開発へのコミットメントを強化しつつ、資源アクセスを維持する姿勢を強化しました。 **インドネシアのニッケル輸出関税延期** インドネシアでは、2026年4月1日に導入が予定されていた石炭・ニッケル輸出関税が延期されることが決定しました。この決定は、国内の供給と需要のバランスを維持し、市場価格の安定化を図るインドネシア政府の意図を示すものです。 **EUの重要原材料法改正** 欧州連合(EU)加盟国は2026年3月4日、重要原材料法(CRMA)改正の交渉権限を採択しました。この改正は、新たな地政学的緊張と供給リスクに対するEUのレジリエンス強化を目的としています。グローバルサウスにおける重要鉱物資源の戦略的価値と課題
グローバルサウス諸国は、世界の重要鉱物資源供給において極めて重要な役割を担っています。南米はリチウムの主要な供給源であり、コンゴ民主共和国(DRC)は世界のコバルト供給の60%以上を占めると予測されています。また、インドネシアはニッケル生産を支配し、アフリカ諸国はレアアースを含む多様な重要鉱物のポテンシャルを有しています。 これらの国々は、資源の付加価値化、国内産業育成、そして環境・社会・ガバナンス(ESG)基準の遵守といった複雑な課題に直面しつつ、国際的な資源権益争奪の主要な舞台となっています。アフリカ大陸では、高品位の鉱床、プロジェクト経済性の改善、迅速な開発タイムラインにより、世界の重要鉱物市場への戦略的供給国としての位置付けを強めており、マラウイではKangankundeレアアースプロジェクトが2026年後半の生産開始に向けて進められています。 こうした背景の中、国連安全保障理事会は2026年3月5日に「エネルギー、重要鉱物、安全保障」について議論を行い、リチウムやコバルトなどの重要鉱物がゼロカーボン経済への移行の中心であると強調しました。同理事会は、グローバルな重要鉱物競争における公正な競争の必要性を訴え、人権、環境保護、および公平な開発を推進する方法でこれらの資源が抽出・利用されるための措置を提案しました。 [ Advertisement ]Reference / エビデンス
- Beijing's $120B Critical Minerals Investment Strategy - Discovery Alert 中国は2023年以降、海外の鉱業および上流加工に1200億ドル以上を投資しており、これはリチウム、銅、ニッケル、レアアースなどの主要鉱物資源のグローバルサプライチェーンを再構築する大規模な戦略の一環です。2026年3月の再編により、中国はインフラ開発へのコミットメントを強化しつつ、資源アクセスを維持する姿勢を強化しました。
- What to expect from the lithium markets in South America - Fastmarkets 2026年3月11日水曜日、FastmarketsとNet-Zero Circleが共催したイベントでは、南米のリチウム市場における課題と機会が議論されました。南米は低コストのリチウム生産で知られていますが、各国や企業にはそれぞれ特有の特性があります。
- India Expands Access to Critical Minerals With Mining Rule Changes - MiningFeeds インドは2026年3月30日に発効した新たな規則を導入し、電気自動車、エレクトロニクス、防衛製造などの現代産業で使用される重要鉱物へのアクセスと生産を容易にしました。この改正は、国内供給を強化し、需要増加に対応することを目的としています。
- US Hosts Brazil Critical Minerals Event Amid Tensions - Discovery Alert 2026年3月のブラジル・米国重要鉱物フォーラムでは、ブラジル連邦政府関係者が外交儀礼違反を理由に参加を辞退し、外交的緊張が生じました。しかし、100社以上の企業がサンパウロの米国商工会議所でのイベントに登録し、政治的変動とは独立した民間セクターの連携へのコミットメントを示しました。
- Government Revises Mining Rules to Boost Access to Critical Minerals インド政府は、電気自動車、エレクトロニクス、防衛製造などの急成長産業に不可欠な重要鉱物へのアクセスを改善するため、新たな鉱業規則を導入しました。これらの改正は2026年3月30日に発効し、国内サプライチェーンの強化と輸入依存度の低減を目指しています。
- FLASH: Indonesia postpones implementation of coal and nickel export duties | Mysteel インドネシアのエネルギー鉱物資源省は、2026年4月1日に予定されていた石炭およびニッケル輸出関税の導入を延期しました。この政策は、エネルギー鉱物資源省と財務省による共同調査の結果を待っており、国内需要を優先し、供給と需要のバランスを維持することで市場価格の安定化を図る意図があります。
- How Indonesia's ban on raw nickel exports provides lessons for fiscal and economic policy in the low-carbon transition - CETEx インドネシアは、国内産業を強化し、グローバルサプライチェーンからより大きな価値を獲得するため、豊富なニッケル資源を活用する国家戦略プロジェクトを推進しています。2020年にはニッケル鉱石の輸出禁止を再導入し、電気自動車バッテリーのサプライチェーンへの統合を深める政策目標を推進しました。
- Big Tech Cobalt: 7 Mining Cobalt Impacts In DRC 2026 - Farmonaut 2026年には、世界のコバルト供給の60%以上がコンゴ民主共和国(DRC)から供給されると予測されており、コバルト採掘は資源抽出と環境持続可能性の交差点に位置しています。コバルト需要の急増は、バッテリー、エレクトロニクス、電気自動車の成長によって推進されています。
- Salar de Atacama expansion set to lift Chile lithium output in 2026 - Mining Technology 2026年3月11日、ホセ・アントニオ・カスト大統領がチリの政権を引き継ぎ、同国のリチウム部門の中長期的な方向性に影響を与える可能性のある政治的移行を示しました。新政権の初期の構造的決定の一つは、鉱業省と経済省を単一のポートフォリオに統合することでした。
- Congo gives cobalt miners until end-April to use 2025 export quotas - MINING.COM コンゴ民主共和国(DRC)の鉱業規制当局は、2025年第4四半期の未消化コバルト輸出割当を2026年4月30日までに使用するよう鉱山会社に指示し、未使用分は没収され戦略的備蓄に再配分されると警告しました。2026年第1四半期の割当は6月30日まで出荷可能であり、これらの措置は2026年3月31日に発効しました。
- Revision of regulation on critical raw materials - Member States approve their negotiating mandate | AGENCE EUROPE 2026年3月4日、EU加盟国は重要原材料法(CRMA)改正の交渉権限を採択しました。この改正は、RESOURCEEU計画の一部であり、新たな地政学的緊張と供給リスクに対するEUのレジリエンス強化を目的としています。
- Ministry of Mines Notifies Mineral Concession Rule Changes to Expand Critical Mineral Mining - Asia Pacific | Energetica India Magazine インド鉱業省は、2026年3月30日に鉱物利権(第2改正)規則を通知し、鉱業リースエリアの拡張や既存リースへの追加鉱物組み入れを可能にする詳細な枠組みを導入しました。これは、産業およびクリーンエネルギー部門に必要な重要鉱物、戦略鉱物、深部鉱物の探査と生産を増やすことを目的としています。
- Malawi targets 2026 rare earth production - Africa Briefing マラウイは、オーストラリアのLindian Resources社がKangankundeレアアースプロジェクトを2026年後半の生産開始に向けて進めていることから、重要鉱物資源の世界的な競争の中心に位置付けられています。このプロジェクトは、電気自動車、再生可能エネルギー、防衛システムで使用されるレアアース元素の需要が急増する中、アフリカがグローバルなサプライチェーンにおいて重要性を増していることを示しています。
- Mines Ministry Notifies New Auction Rules for Faster Mine Operations - PSU Connect インド鉱業省は2026年3月30日に鉱物(競売)第2改正規則を通知し、実行不可能なブロック部分の除外、統一された鉱業ポータル、鉱業リース実行の厳格な期限など、鉱山操業の迅速化を目的とした主要な変更を導入しました。
- Critical Minerals Strategic Intelligence Report 2026: Energy Transition Acceleration Driving Unprecedented Demand - Opportunities in Lithium, Cobalt, Copper, Nickel, and REEs - GlobeNewswire 2026年の重要鉱物戦略情報レポートによると、エネルギー転換の加速がリチウム、コバルト、銅、ニッケル、レアアースに対する前例のない需要を牽引しています。これらの重要鉱物は特定の地域に集中しており、南米には世界の大部分のリチウム埋蔵量があり、DRCは世界のコバルトの多くを供給し、インドネシアはニッケル生産を支配しています。
- Africa's Rare Earth Momentum Builds As Global Demand Triples By 2035 - Eurasia Review 2035年までに世界のレアアース需要は3倍に増加すると予測されており、アフリカは探査と掘削活動を加速させ、2029年までに世界の生産量の9%を占めると予測されています。高品位の鉱床、改善されたプロジェクト経済性、迅速な開発タイムラインにより、アフリカは世界の重要鉱物市場への戦略的供給国として位置付けられています。
- Brine Lithium Mining: 7 Key 2026 Trends In South America - Farmonaut 2026年までに、南米は世界の塩水由来リチウムの60%以上を供給すると予測されており、電気自動車の成長を促進しています。リチウム三角地帯(アルゼンチン、ボリビア、チリの一部)は、持続可能な採掘、水利用の最適化、環境保護、責任ある開発の革新を体現しています。
- UN calls for fair play in the global race for critical minerals | UN News 2026年3月5日、国連安全保障理事会は「エネルギー、重要鉱物、安全保障」について会合を開き、リチウムやコバルトなどの重要鉱物がゼロカーボン経済への移行の中心であると強調し、グローバルな重要鉱物競争における公正な競争の必要性を訴えました。国連は、人権、環境保護、公平な開発を推進する方法で重要鉱物が抽出・利用されることを確実にするための措置を提案しています。
Vantage Politics