グローバルサウスにおける非米ドル決済網と通貨多極化の最新動向(2026年3月11日時点)

グローバルサウスの脱ドル化戦略と国際金融秩序の変容

2026年3月9日、BRICS諸国による脱ドル化の動きが加速していることが報じられ、これが世界経済と暗号通貨市場に影響を与えています。BRICSは米ドルへの依存を減らしつつも、西側諸国との経済的結びつきを維持する「二重戦略」を推進しているとされています。これにより、代替金融システムの台頭と、非中央集権型資産への需要増加の可能性が指摘されています。

同日、日本の財務省は国際シンポジウム「流動化する国際経済・通貨秩序と世界経済の未来」を開催しました。このシンポジウムでは、貿易政策の転換、通貨体制の変容、財政政策の役割と課題という視点から世界経済の今後が議論され、特に地政学的緊張や技術革新が基軸通貨である米ドルに与える影響について多角的な議論が行われました。これらの動きは、国際通貨の多極化に向けた重要な兆候として注目されています。

BRICSの非米ドル決済網構築に向けた具体的な動き

BRICS諸国は国際金融秩序の再編を加速しており、2026年の段階的な稼働を目指す統一決済システム「Brics Pay」の導入計画が具体化しています。長期的には、独自の決済インフラや超国家的な計算単位の創設も視野に入れ、従来のドルやSWIFTに依存する決済体制からの脱却を図っています。2026年にはBRICSの加盟国が拡大し、世界のGDPの35%、人口の45%を代表するブロックとなることで、脱ドル化の動きは一層推進されると見られています。

統一されたBRICS通貨については議論が継続中であるものの、当面の焦点は決済チャネルの多様化と加盟国間の通貨主権の強化に置かれています。

主要国における中央銀行デジタル通貨(CBDC)戦略の進展

中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する国際的な動向としては、日本銀行が2026年2月2日に開催した「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」の会合で、パイロット実験の進捗状況やCBDCを巡る海外の動向について説明がありました。この会合では、欧州でのデジタルユーロのクロスボーダー利用に関する検討や、中国のデジタル人民元が中銀負債から商銀負債に転換する方向性が示された点などが議論されています。

中国のデジタル人民元(e-CNY)は世界で最も実用化が進んでいるCBDCであり、2026年1月には世界初となる利息付与制度を開始しました。これにより、デジタル人民元の位置づけは現金通貨のデジタル版から銀行預金のデジタル版へと変更され、準備金制度、利息付与、預金保険の対象となっています。その開発背景には、国内の資金把握に加え、人民元の国際化や米ドル基軸通貨体制への対抗という戦略的な狙いがあるとされます。

各国・地域のリテール領域におけるデジタル通貨戦略を見ると、米国はステーブルコインを活用して民間主導で米国債需要を喚起し、ブロックチェーン領域における米ドルと米国政府の影響力維持・拡大を目指しています。EUはリテール決済における域外事業者への依存を課題と捉え、デジタルユーロの導入を目指し、ユーロ圏共通で利用可能な決済基盤の構築を図っています。中国はデジタル人民元の利用拡大を視野に、国際標準の確立を通じて影響力の拡大を図る強い意欲を示しています。

グローバルサウスにおける日本企業の機会と課題

経済産業省は「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」を推進しており、2026年3月10日時点で、令和7年度補正予算の「小規模実証・FS事業」の執行団体公募が完了し、TOPPAN株式会社が採択予定先となりました。この補助金は、グローバルサウス諸国の社会課題解決と日本企業の海外展開、新市場開拓を後押しするものです。

非米ドル決済網の構築や通貨の多極化が進む中で、日本企業は新たなビジネス機会を捉える一方で、現地パートナーとの調整、規制対応、データ取得、そして将来の商用展開主体といった実務面の整理が重要な課題となると考えられます。

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Reference / エビデンス