東アジアの海洋資源権益を巡る地政学:ASEAN戦略と中東情勢、米軍再配置の影響を分析

東アジアの海洋資源権益:ASEANの新たな経済戦略とサプライチェーンの強化

東アジア地域において、ASEANは2026年の新たな経済戦略を策定し、その詳細が明らかになっています。2026年2月12日付のタイ商務省・貿易交渉局の報告によると、1月にフィリピンのボホール島で開催された高級経済実務者会合(SEOM)にて、ASEANを世界第4位の経済圏とすることを目標とする5つの戦略が策定されました。これらの戦略は、2026年3月に開催予定のASEAN経済大臣会合で提案される見込みです。特に注目されるのは、貿易・投資のシームレスな域内統合の深化を目指す戦略であり、食品、エネルギー、重要鉱物、半導体といった潜在産業におけるサプライチェーン統合の強化に重点が置かれています。これは、海洋資源を含む重要資源の安定供給を確保し、地域内の経済協力体制を強化する意図を示すものと考えられます。

米軍の再配置と東アジアの地政学的バランスへの影響

2026年3月、米国防総省はイラン情勢の急速な緊迫化を受け、沖縄に駐留する第31海兵遠征部隊(約2500人)を中東へ派遣する決定を下しました。この部隊は西太平洋に常時展開する米軍の即応戦力の中核を担っており、その再配置は東アジア地域の安全保障環境に影響を及ぼす可能性があります。この戦力の不在により、一部からは東アジアにおける「戦力の空白」が生じうるとの指摘も見られ、海洋資源権益を巡る沿岸国の政治的動向や、地域の地政学的バランスに潜在的な影響を与える動向として注視されています。

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Reference / エビデンス

  • ASEAN、2026年の経済戦略を策定、3月の経済大臣会合に提出(ASEAN、タイ) | ビジネス短信 2026年2月12日、タイ商務省・貿易交渉局は、2026年のASEAN議長国であるフィリピンのボホール島で1月19日から25日にかけて開催された高級経済実務者会合(SEOM)に参加したと報告しました。この会合で、ASEANを世界第4位の経済圏とすることを目標に5つの戦略が策定され、2026年3月に開催予定のASEAN経済大臣会合で提案されることになりました。その戦略の一つに、貿易・投資のシームレスな域内統合の深化があり、特に食品、エネルギー、重要鉱物、半導体といった潜在産業のサプライチェーン統合に重点を置くことが含まれています。
  • AMRO、中東情勢を踏まえたASEAN+3の経済成長率予測を発表(ASEAN、韓国 2026年4月6日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)は、2026年のASEAN+3地域(中国・香港、日本、韓国)の実質GDP成長率予測を前年比4.0%に据え置きましたが、世界的なエネルギー価格上昇を背景にインフレ率を1.4%に引き上げました。この予測は、2026年2月下旬に始まった中東の地政学的情勢を反映しており、原油価格(ブレント)が1バレル当たり90ドルを超える高水準で数カ月続くと見込んでいます。
  • 韓国政府、公共部門乗用車の運行規制などのエネルギー節約対応計画を発表 - ジェトロ 2026年3月24日、韓国の気候エネルギー環境部は、中東情勢を受けた資源安全保障危機警報の「注意」段階発令に伴い、エネルギー節約計画を発表しました。これには、液化天然ガス(LNG)消費を最小限にするための電源構成調整(石炭火力発電の運転制限緩和、原発5基の再稼働)や、公共部門での車両5部制の義務的実施、再生可能エネルギー普及による輸入エネルギー依存度引き下げなどが含まれます。韓国政府は3月5日に「関心」段階、3月18日には「注意」段階に危機警報を格上げしていました。
  • 中国が「米軍中核部隊が消えた日本」を狙う…イラン危機で迫る「原油高」どころではない"最悪シナリオ"(プレジデントオンライン) - Yahoo!ファイナンス 2026年3月、イラン情勢の急速な緊迫化を受け、米国防総省は沖縄に駐留する第31海兵遠征部隊(約2500人)の中東派遣を決定しました。この部隊は西太平洋に常時展開する米軍の即応戦力の中核であり、その不在は東アジアの安全保障環境に影響を与える可能性があります。
  • 国連、情勢悪化によりアラブ地域で1500億ドルの損失と報告、世界銀行は支援を表明 - ジェトロ 2026年3月19日、国連西アジア経済社会委員会(ESCWA)は、2月末以降の中東情勢悪化により、アラブ地域で1カ月あたり1,500億ドル(地域GDPの3.7%相当)の損失が発生する可能性があると推計しました。この報告では、ホルムズ海峡を通る商業船舶への攻撃により通航量が急減し、貨物輸送の混乱による損失が1日あたり約24億ドルに達すると推定されています。