2026年3月 東アジア経済の最新動向:政策、貿易協定、インフラ投資、地政学的影響

中国、2026年の貿易・投資協定推進を表明:DEPA・CPTPP加入交渉に意欲

2026年3月5日から12日に開催された中国の第14期全国人民代表大会(全人代)第4回会議で発表された政府活動報告において、中国は2026年に二国間および多国間の貿易・投資協定の締結を推進する方針を示しました。特に、デジタル経済パートナーシップ協定(DEPA)および環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加入交渉を積極的に推進する意向が示されています。また、この報告ではデジタル貿易とグリーン貿易の発展も掲げられました。

ASEAN経済大臣会合、2026年経済戦略を議論

2026年のASEAN議長国であるフィリピンは、3月に開催予定のASEAN経済大臣会合で、ASEANを世界第4位の経済圏とすることを目指す2026年経済戦略を提案しています。この戦略には、貿易・投資のシームレスな域内統合深化、デジタル市場の発展、中小零細企業(MSME)の能力強化、グリーン経済への移行加速、そしてクリエイティブ経済の推進という5つの主要な柱が含まれます。ASEAN経済共同体(AEC)戦略計画2026-2030においても、地政学的緊張や気候変動の影響などが経済統合に影響を与えることが認識されており、地域のエネルギー安全保障とレジリエンス強化が重要な課題として位置付けられています。

広域経済圏構想の進展と課題:RCEP、一帯一路、デジタル経済

東アジアにおける広域経済圏構想では、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)の加盟拡大プロセスが本格化しています。2025年9月の第4回RCEP閣僚会合でプロセスが開始され、現在、香港、スリランカ、チリ、バングラデシュの4つの国と地域が新規加盟を申請しています。同閣僚会合では、協定の一般的な見直しに向けた取り組みの重要性が確認され、電子商取引の利用促進に向けた取り組みの継続が促されました。一方、中国が提唱する「一帯一路」構想は、2026年時点で約150カ国が参加し、提唱から10年以上が経過し質的な転換期を迎えていますが、「債務の罠」問題やプロジェクトの遅延・中止といった課題も指摘されています。デジタル経済統合の動きとしては、ASEAN経済共同体(AEC)理事会が2025年10月24日にASEANデジタル経済枠組み協定(DEFA)交渉が実質妥結したと発表し、2026年の協定の完全妥結と署名に向けた取り組みが進められています。

地政学的リスクとサプライチェーンへの影響

2026年3月11日付のサプライチェーンニュースレポートでは、地政学的リスクによるサプライチェーンの脆弱化と多様化推進が主要トレンドの一つとして挙げられています。特に、ホルムズ海峡の緊張高まりによる石油危機の懸念も浮上しており、東アジア地域のエネルギー安全保障とサプライチェーンに与える影響が注視されています。

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Reference / エビデンス